
「注文書」は、ビジネスから個人の買い物まで幅広い場面で使用される重要な文書です。依頼の内容や条件を明確に示す役割があり、取引における誤解やトラブルを防ぐうえで欠かせません。
とはいえ、「注文書を発行してください」と依頼されても、ゼロから作成すると手間がかかったり、どのような項目を記載すべきか迷ったりすることも多いでしょう。
そこで本記事では、無料で使えるPDF形式の注文書テンプレートを紹介します。あわせて、注文書の基本的な役割や他の文書との違い、必要な記載項目と例文、よくある質問についてもまとめました。
文書作成のポイントを押さえて、スムーズかつ正確に注文書を作成できるようにしましょう。
【無料】注文書のPDFテンプレート
適切な注文書を作成するには、法律や商慣習などの知識が必要で、専門家ではない人にとっては少しハードルがあります。しかし、テンプレートを使えば、必要な情報を漏れなく網羅した注文書をカンタンに作成可能です。ぜひ、以下のPDFテンプレートを活用してみてください。
さらに、以下で紹介する内容をテンプレートと見比べながら確認すれば、理解が深まり注文手続きをスムーズに進められます。
なお、テンプレートへの入力やカスタマイズには、PDFのトータルソリューション「Adobe Acrobat Pro」がオススメです。
Acrobat ProはPDFの編集から電子契約まで、PDFに関連する充実した機能が搭載されており、直感的な操作で誰でも安心して利用できます。
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注文書とは
注文書は、取引の際に注文者(購入者)が受注者(販売者)に対して、特定の商品やサービスを注文する意思を正式に伝えるための文書です。
主に以下の3つの目的で使用されます。
- 取引の正式な依頼
- 注文内容の明確化
- 下請法の遵守
以下で、各項目ついて具体的に説明します。
【役割1】取引の正式な依頼
注文書によって、相手に「この内容で注文します」という意思を正式に伝えられます。受注側にとっても、商品の提供後に「頼んでいない」や「キャンセルしたい」といった不当な対応をされてしまうリスクをなくせるため、安心して取引を進められます。
口頭だけでも契約は成立しますが、証拠となる書類を残しておけば発注(注文)・受注の根拠が明確になるので、後で確認や説明が必要になった時にも困りません。
【役割2】注文内容の明確化
商品やサービスの詳細を注文書に記載することで取引の内容が明確になり、納品トラブルを防止できます。口頭発注(注文)の場合、数量や品番などの基本的な情報に誤解が生じる可能性があります。また、メールでの発注(注文)では依頼内容がテキストとして残るものの、事前に定めるべき項目が網羅できずに、例えば納期や支払い条件などが不明瞭なままで取引が進行してしまう恐れがあります。こうした問題は、注文書で取引の詳細を明記しておけば防ぐことが可能です。
注文書に記載すべき項目は、「注文書に最低限記載する11項目」の章で解説しています。
【役割3】下請法の遵守
注文書の発行は一般的には義務ではありません。
しかし、「下請法(※)」に該当する場合は、下請事業者に対して発注書面を交付する義務があります。具体的には、注文者や注文日、納品物の内容、代金などの必要事項を明記した書面を発行しなければなりません。必要事項が適切に記載された注文書を発行することで、下請法を遵守できます。
※ 下請法とは
親事業者(注文する側)が下請事業者(注文を受ける側)に対して不当な取扱いをすることを防止し、公正な取引関係を担保することで下請事業者を守るための法律です。下請法の対象になるかどうかは、取引当事者の資本金の規模と取引の内容によって決まります。
なお、下請法の対象となる親事業者と下請事業者の資本金は、以下のとおりです。
物品の製造委託や修理委託を行う場合
情報成果物作成委託・役務提供委託を行う場合
この章では、注文書の基本的な意味や発行の目的を解説しました。ここからさらに知識を広げて、注文書を用いた取引業務を円滑に進めるには、関連性の高い他の文書への理解も欠かせません。次の章では、「発注書」や「注文請書」を取り上げ、それらを注文書と比較しながらわかりやすく説明します。
他の文書との違い
注文書と関連性が高く、時には混同されやすい文書に、以下のものがあります。
- 発注書
- 注文請書
これらの文書の役割や意味を正しく理解することで、発注・受注に関する業務がより円滑になり、取引先とのトラブルを防ぐことができます。以下で、それぞれの文書についてわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
発注書との違い
発注書は、「発注者が依頼の意思や具体的な発注内容を明確にするための文書」であり、注文書と同様の役割を果たします。一般的には、発注書と注文書は同義として扱われ、法的な違いはありません。
ただし、「注文」が個人の日常生活でも頻繁に用いられるのに対し、「発注」は主に法人どうしの取引で使用される傾向がある言葉です。この違いは、「注文書」と「発注書」のニュアンスにも影響します。
例えば、「注文書」は小売業や飲食業などの日常的で比較的小規模な取引に用いられることが多いのに対し、「発注書」は建設業や製造業などの大規模な業務依頼も含めて広く見られます。
とはいえ、これらはあくまで一般的な傾向に過ぎず、どちらの言葉を使用するかは勤務先の企業のルールや業界の慣習に基づいて判断すれば問題ありません。
注文請書との違い
「注文請書」は、受注者が注文内容を確認し「その条件でお引き受けします」という合意の意思を示す文書です。つまり、双方が「取引の成立」を正式に確認できます。
一方、「注文書」はあくまで注文の意思を示す文書であり、これだけで契約が成立するわけではありません。通常は、受注者が注文書を受け取り、内容に問題がなければ「注文請書」を提出して合意の意思を示すことで、正式な発注・受注関係が成立すると考えられます。
なお、前述のとおり注文書と発注書は法律上は同義とされているため、注文請書を「発注請書」と呼ぶ場合もあります。
次の章では、実際に注文書を作成する際の参考になるよう、必要な記載項目を具体的に解説します。
注文書に最低限記載する11の項目
注文書を作成する際、重要な項目を見落としてしまうと誤解やトラブルの原因となり、せっかくの取引がスムーズに進まないことがあります。
そんな不安を解消し、安心して取引を進めるために、この章では注文書に最低限必要な11の項目を例文とともに紹介します。
これらのポイントをしっかり押さえて、信頼性の高い取引を実現しましょう。
受注者ならびに発注者の名称
例.
(受注者)
株式会社〇〇御中
(発注者)
株式会社△△
東京都品川区大崎1丁目11番2号ゲートシティ大崎イーストタワー
電話番号:03-△△△△-△△△△
メールアドレス:△△△@example.com
発注の年月日
例.2025年1月14日
発注する商品の合計金額
例.110,000円(税込)
品名や規格など
例.ノートパソコン(型番:ABC12345)
発注する商品の単価
例.11,000円(税込)
発注する商品の数量
例.10個
納品物を発注者に提出する期日や、役務提供の期間など
例.2025年1月31日
商品を納める場所
例.
〒141-0032
東京都品川区大崎1丁目11番2号ゲートシティ大崎イーストタワー
納品物の検査が完了する期日
例.2025年2月7日、納品から1週間以内
発注金額を支払う期日
例.2025年2月28日、納品月の翌月末日
金融機関名や、手形や電子記録債権で支払う場合はその金額や満期日
例.
銀行振込
振込先:〇〇銀行 渋谷支店 普通預金 1234567
口座名義:カ)〇〇
上記に加えて、注文書番号や備考欄なども設けると便利です。
また、下請法に該当し、かつ下請事業者に材料を有償で支給する場合は、その品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日および決済方法を記載しましょう。
次の章では、注文書に関して多く寄せられる疑問とその回答を紹介します。
注文書に関するよくある質問と回答
注文書を作成する際に発生しやすい疑問とその回答を紹介します。注文書にまつわる業務をより深く理解して、取引をスムーズに進めるとともにトラブルを未然に防ぎたい方は、ぜひ続きをお読みください。
- 注文書の発行は義務ですか?
- 法的効力はありますか?
- 注文者・受注者どちらから発行しますか?
- 注文書はどのように送付すればよいですか?
- 注文書に押印は必要ですか?
それでは具体的に見ていきましょう。
注文書の発行は義務ですか?
すべての取引において、「注文書を発行する義務」があるわけではありません。
しかし、下請法が適用される取引では書面を交付する義務が定められています。これは、「不明瞭な契約条件によるトラブルを防ぎ、下請事業者の立場を保護するためのルール」です。
また、下請法が適用されない取引であっても、注文内容を文書で記録しておくことは契約内容の根拠を明確に示すうえで重要な意味を持ちます。書面を残しておけば、口頭での注文による「言った・言わない」のトラブルを未然に防ぐことが可能です。
なお、下請法の詳細は「【役割3】下請法の遵守」で詳しく解説しています。
法的効力はありますか?
すべての注文書が法的効力を持つわけではありません。文書が法的効力を持つか否かは、文書の内容や作成・発行された際の状況などによって個別に判断されます。
例えば、注文に対して受注者からの承諾の意思表示がない場合、最終的な契約の成立には至りません。また、記載された取引条件が曖昧であれば、契約内容の特定ができないため効力が認められない可能性があります。加えて、注文内容に違法性のある要素が含まれていれば、その依頼は無効とみなされます。
注文者・受注者どちらから発行しますか?
注文書は、注文者が受注者に対して「注文する意思」や「具体的な注文内容」を伝えるために発行する文書です。そのため、注文者の名義で発行されます。
ただし、注文者が注文業務に不慣れな場合は、受注者が用意した雛形を用いて、注文者が必要事項を記入して発行するケースもあります。
注文書はどのように送付すればよいですか?
取引先や自社のルール、該当案件の取引条件などによって異なるため、個別に取り決めを確認しましょう。
ただし、一般的には以下のような方法が考えられます。
メール添付
注文書をPDFファイルで作成しメールに添付して送付する方法は、広く利用されている手段の一つです。紙の用意や郵送費が不要で、相手にすばやく送付できる点にメリットがあります。一方、ファイルサイズの制限や誤送信などの送信時のトラブルには注意が必要です。
こうしたリスクを抑えつつ注文書をPDFで送るには、「Adobe Acrobat オンラインツール」がオススメです。Acrobat オンラインツールはブラウザー上でカンタンに使える無料のツールで、PDFに関する25以上の機能を備えています。例えば、「PDFを圧縮」を使えばファイルサイズをコンパクトにできます。また、「PDFを保護」を使えばPDFにパスワードを設定できるので安全性も高まります。以下の機能も、注文書を作成・発行する際にとても便利です。
- 「PDFを編集」:PDFに文字を入力できる
- 「PDFをWordに変換」「PDFをExcelに変換」:PDFを他のファイル形式に変換できる
- 「様々な形式からPDFに変換」:他のファイル形式からPDFに変換できる
郵送
業界慣習や企業のルールとして紙での送付や保管が必要な場合によく利用されます。物理的に印鑑が押された書類を届けられるため、重要な取引では安心感があります。一方、 発送・到着に時間がかかるため、緊急の取引には向かないことや、郵送費や印刷代がかかる点はデメリットといえるでしょう。
FAX
FAXでのやりとりが日常的に行われている業界では、注文書の送付方法としてFAXも選択肢に入ります。相手がFAXを受信すればすぐに注文書を確認できる点はメリットです。
一方、回線トラブルや番号間違いによる送信ミスが発生する可能性には注意が必要です。
なお、最近では「電子FAX」も普及しています。これは、FAX機を使わずに、インターネットを介してFAXの送受信ができるサービスです。電子FAXを使用している場合、Acrobatと併用すれば、PDFで効率的に作成した注文書を相手にはFAXで届けたり、FAXで送られてきた注文書が電子に変換された後にクラウドで管理したりできるようになります。
注文書に押印は必要ですか?
法律上、注文書への押印は必須ではありません。
ただし、押印されていることで「正式な社内プロセスを経て発行された書類」だと視覚的に伝えられるため、相手に安心感を与えやすくなります。また、社内の規定で押印が義務付けられていることもあるため、事前に確認することをオススメします。
注文書に押印する際に便利なのが、「Adobe Acrobat オンラインツール」(無料)と「Acrobat Pro」です。「Acrobat オンラインツール」の「入力と署名」を使えば、任意の印影画像をPDFに配置できます。物理的なハンコを押す手間を省け、カンタンにキレイな印影を再現できるので便利です。 さらに、有償版の「Acrobat Pro」を使えば、デジタルIDによって本人性や非改ざん性が保証された電子署名が可能になります。法的な有効性が求められる押印には、Acrobat Proをぜひお試しください。
Acrobat Proを7日間無料で試す
次の章では、「Acrobat オンラインツール」と「Acrobat Pro」、そして「Adobe Scan」という便利なスキャンアプリを取り上げて、それぞれの特徴を紹介します。注文書の作成・管理業務を効率化したい方はぜひご覧ください。
Adobe Acrobatなら注文書の作成・管理がカンタン
PDFの開発元であるアドビが提供するツール「Acrobat オンラインツール」「Adobe Acrobat Pro」「Adobe Scan」を使えば、効率よく注文書を作成・発行・管理できます。
無料のPDF編集ツール「Adobe Acrobat オンラインツール」
Acrobat オンラインツールは、ブラウザー上でPDFの編集や変換ができる無料ツールです。ソフトのインストールは不要で、インターネット環境があれば、PCやスマホ、タブレットで手軽に利用できます。基本操作は、ファイルをドラッグ&ドロップするだけと非常にカンタンです。
例えば、PDF形式のテンプレートを編集したい場合、「PDFをWordに変換」や「PDFをExcelに変換」などの機能を使うことで、編集可能な形式に変換できます。必要な文字を入力した後は、「様々な形式からPDFに変換」を利用して再びPDF形式で保存することも可能です。さらに、有償版を契約してログインすると、「PDFを編集」機能でPDFファイルをWordやExcelに変換することなく、直接編集できます。
発注書のPDFを送付する際は、「PDFを圧縮」でファイルサイズをコンパクトにしたり、「PDFを保護」でパスワードをかけたりするのも、安全性が向上するためオススメです。
多機能なPDF編集ツール「Adobe Acrobat Pro」
Acrobat Proなら、Acrobat オンラインツールのすべての機能を回数無制限で使えることに加えて、電子署名や差分確認といったAcrobat Proならではの高度な機能も活用できます。(※ Creative Cloudのコンプリートプランを既にご契約中の方も、回数の制限なく全機能をお使いいただけます)。
7日間の無料お試し期間があるので、この機会にぜひお試しください。
無料のスキャンアプリ「Adobe Scan」
https://www.youtube.com/embed/_R6yojUGUJ0?si=7Nb_ax-ynem5DkaL
Adobe Scanは、スマホで手軽に紙の書類をスキャンしてPDFに変換できる無料アプリです。
操作が非常にシンプルで、アプリを起動してスキャンしたい書類にカメラをかざすだけで自動的にスキャンが完了します。
注文書は、電子で管理したいと思っていても、取引先から紙で送られてくることも少なくありません。そんな時には、Adobe Scanで電子化するのがオススメです。スキャン後のPDFファイルはクラウドに保存したり、メールで送信したりできるため、注文書の整理や共有がスムーズになります
【iOS版】Adobe Scanをダウンロードする
【Android版】Adobe Scanをダウンロードする
この記事では、注文書のPDFテンプレートをご紹介するとともに、注文書の目的や記載項目などの基礎知識について解説しました。
注文書を適切に作成・発行・管理するうえで、フォーマットが崩れにくく、電子管理や共有に適したPDFは非常に有用です。
そして、PDFを最大限に活用するためにはAdobe Acrobatが欠かせません。
今回ご紹介したとおり、AcrobatにはPDFに関する多彩な機能が備わっています。
煩雑になりがちな文書作成業務を効率化できるだけでなく、強力なセキュリティ対策が施されているため、重要なファイルも安心して扱えます。
Acrobatによる快適なドキュメントソリューションを、ぜひ体感してください。
(編集:ウェブライダー)
https://milo.adobe.com/libs/img/mnemonics/svg/acrobat-pro-64.svg
ぜひAdobe Acrobatオンラインツールをお試しください
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