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相手に伝わる提案書の書き方・構成のコツを徹底解説

#EBEBEB

提案書とは「課題に対する解決策を提案する資料」です。

社内向けであれば商品開発や新規事業などを提案し、社外向けであれば商品やサービスなどを提案します。

ビジネスシーンにおいて、提案書の作成スキルはとても重要です。

なぜなら、提案書の作り方次第で、提案の説得力や、相手の納得感が大きく変わるからです。

しかし、提案書に関するノウハウを教わる機会はそう多くありません。

そこで今回は、提案書の作成方法、書き方のコツなどをご紹介します。

最後までお読みいただければ、「相手に伝わる提案書」を作成できるようになるでしょう。

提案書作りは「作る目的=ゴール」を明確にしてから始める

まずは、提案書作りの肝となる「プランニング」について説明します。

提案書作成において陥りがちな罠に、資料を作ることが目的となってしまい、提案書を通じて本来達成したい目的がぼやけてしまうことがあります。

これはいわゆる「手段と目的をはき違える」という状態です。

キレイな資料を作るのは悪いことではありませんが、提案書は「目的」を達成するために作るものです。

デザインにこだわるあまり、何のための提案書かわかりづらくならないよう、目的から逆算した提案書作成を行いましょう。

そのためには、提案書作成に取り掛かる前に、提案書を作るそもそもの「目的」、すなわち「ゴール」を明確にすることをオススメします。

提案書作りの基本は、目的を明確にすること

「3W1H」フレームワークで方向性を明確にする

提案書を作る目的を明確にすれば、どんな資料を作ればよいかの方向性が決めやすくなります。

そして、この「目的」と「方向性」を考えるためにオススメなのが、「3W1H」というフレームワークを用いたプランニングです。

「3W1H」のフレームワークは、以下の4つの疑問詞で構成されています。

1.Why(なぜ、提案書を作成するのか?)

2.Whom(誰に向けて、提案書を作るべきか?)

3.What(何を、提案書に記載すべきか?)

4.How(どのように、内容を伝えるべきか?)

例えば、あなたがSaaS製品の営業担当者で、とある文章校正ツールの導入提案書を作る場合、3W1Hは以下のようになります。

1.Why(なぜ、提案書を作成するのか?)

顧客に自社の製品(文章校正ツール)を導入してもらうため

2.Whom(誰に向けて、提案書を作るべきか?)

顧客企業の広報担当者、Web担当者、部門の責任者、経営陣

3.What(何を、提案書に記載すべきか?)

・製品を導入するメリットやベネフィット

・製品の特長や機能

・ご利用までの流れや料金プランなど

4.How(どのように、内容を伝えるべきか?)

・製品の特長や独自性を具体的なデータや事例で示す

・提案書の構成を整理し、顧客にとって重要なポイントがわかりやすく伝わるようにする

・提案書は様々な環境で閲覧しやすいよう、PDFファイルにする

このように「3W1H」のフレームワークを用いてプランニングすることで、どんな提案書を作るべきかという要件を整理できます。

では続いて、この「3W1H」のフレームワークを活用するために、「Why」「Whom」「What」「How」、これら4つの疑問詞をどう捉えればよいかを解説していきます。

1.Why(なぜ、提案書を作成するのか?)

Why(なぜ、提案書を作成するのか)

「3W1H」を構成する4つの疑問詞のうち、1つ目は「Why」です。

この疑問詞は、「なぜ、提案書を作成するのか?」という問いを投げかけ、提案書を作る「本来の目的=ゴール」を明確にします。

実は、この目的の明確化こそが提案書作成において最も重要です。

なぜなら、目的によって、提案書の作り方が変わってくるからです。

目的が明確になることで、このあと取り上げる「Whom(誰に)」「What(何を)」「How(どのように)」といった項目を、より詳細に考えられるようになります。

目的を具体的にするには、「誰」に「何」をしてもらいたいのか?をしっかり言語化します。

例えば、先の例では「顧客企業の担当者や経営陣」に「自社の文章校正ツールを導入してもらう」のが目的で、「誰」に「何」をしてもらいたいかが明確です。

そのため、単なる提案ではなく、「導入のための意思決定につながる」提案をすべきであり、担当者や経営陣の意思決定を促せるよう情報を構成する必要があることがわかります。

では続いて、「3W1H」の2つ目の疑問詞「Whom」について解説します。

2.Whom(誰に向けて、提案書を作るべきか?)

Whom(誰に、提案書を見せるべきか)

「3W1H」の2つ目の「W」は「Whom」、つまり「誰に向けて、提案書を作るべきか?」です。

提案書を見せる「対象者」を表します。

先の文章校正ツールの例でいえば「顧客企業の広報担当者、Web担当者、部門の責任者、経営陣」が該当します。

ここで決めた「Whom」は、「3W1H」フレームワークの残りの「What」や「How」の内容に大きく影響します。

対象者が定まったら、「相手はどんな立場なのか?」「相手がもっている前提知識はどの程度か?」「相手は意思決定するためにどのような情報を必要とするのか?」などを考えましょう。

そのうえで、相手にどんな情報(What)を、どのように伝えるべきか?(How)を踏まえて提案書を作成します。

では続いて、「3W1H」の3つ目の疑問詞「What」について解説していきます。

3.What(何を、提案書に記載すべきか?)

What(何を、提案書に記載すべきか)

3W1Hの3つ目の「W」は「What」、つまり「何を、提案書に記載するのか?」です。

先の新製品導入の例でいえば、以下のような内容(情報)が「What」に当たります。

・製品を導入するメリットやベネフィット

・製品の特長や機能

・ご利用までの流れや料金プランなど

先ほどもお伝えしたとおり、この「What」は、「Why(提案書で達成すべきゴール)」や「Whom(提案書を見せるべき相手)」によって決まります。

目的達成のためには、提案書を見せるべき相手が「まず何を知りたいのか?」を想像しましょう。

そのうえで、「自分たちが伝えたい情報」と「相手のニーズ」とのマッチング精度を高めることが大切です。

相手が知りたいことと自分が伝えたいことのマッチング精度を高める

先ほどと同様、文章校正ツールの提案書を作る場合で考えてみましょう。

例えば、相手が経営陣という立場であれば、製品の細かな仕様よりも「その製品がどれだけ会社の業績に貢献するのか?」「現場の業務をどれだけ効率化するのか?」といったことに興味がいくはずです。

大切なのは、提案書を読んでほしい相手の「頭の中を想像する」ことです。

相手の頭の中を想像して提案書を作るコツについて、以下に3つまとめてみました。

■相手の頭の中を想像して提案書を作成する3つのコツ

1.相手の立場や役割を理解する

相手が企業内でどんな立場や役割を担っているのかを把握し、それに配慮した情報を提供しましょう。

例えば、新製品導入の提案の場合、経営陣であれば費用対効果や競合との差別化要素に注目するでしょう。

一方、現場の責任者は、現場で活用できるかや導入の手間を気にする可能性があります。

2.相手の前提知識を考慮する

提案書で使う専門用語や専門知識について、相手がどの程度理解しているかを考慮しましょう。

専門知識に詳しくない相手であれば、できるだけ平易な言葉で情報を伝えます。

必要に応じて、補足説明や補足資料も用意しましょう。

3.相手の課題や関心事を考慮する

相手の抱える課題や関心事を理解し、それらに寄り添った情報を軸に提案しましょう。

例えば、相手がコスト削減に関心があるのなら、売上アップではなくコスト削減の軸で提案書を作ります。

上記のように、相手の頭の中を想像すれば、提案書に記載すべき情報の方向性がわかります。

BtoBの提案書の中で記載すべき内容例

以下の12項目は、一般的なBtoB向け提案書によく記載されるものです。

以下の項目をベースに、相手が求める情報をしっかり取り入れましょう。

BtoBの提案書の中で記載すべき内容の例

1.提案内容の概要

何を目的とした提案資料なのか、どんな内容を取り上げているのかがすぐにわかるように、概要を用意します。

2.提案書の構成・目次

提案書全体の内容を目次で示します。

また、読み手が忙しい場合、どこを重点的に見ればよいのかも伝えます。

3.提案内容が生まれた背景

提案内容が生まれた理由や、背景にどんな課題やニーズがあるのかを伝えます。

4.提案内容の詳細

提案内容を詳細に説明します。

5.業界の現状とトレンド

「3.提案内容が生まれた背景」と近い内容ですが、業界の市場規模や競合状況、トレンドについて伝えます。

6.提案内容の信頼性を担保するデータやリサーチ結果

提案内容に関連するデータやリサーチ結果を提示し、その提案内容がなぜ信頼できるのかを伝えます。

(外部からデータを引用する場合は、信頼できる機関が発表しているデータに限定します)

7.導入事例や成功事例

自社製品や類似の他社製品の「導入事例」や「成功事例」を紹介し、提案内容の実現性や効果を伝えます。

8.製品・サービスの価格設定

製品やサービスの価格に関する情報は、意思決定に大きく影響します。

よって、項目を独立させて、なぜその価格なのかをしっかりと説明するとよいでしょう。

9.競合比較

競合製品との違いや自社製品の「市場での優位性」について伝えます。

10.導入時のROI(投資対効果)

製品に投資した場合のリターン(利益や効果)を伝えます。

コストを気にする相手の場合は、コストを回収できる時期の目安も伝えます。

11.導入までのプロセスとサポート体制

製品の導入から運用までのプロセスを明確にし、具体的なスケジュールを伝えます。

サポート体制やアフターサービスについても説明します。

12.FAQと問い合わせ方法

提案資料を読んだ人から寄せられる「よくある質問」に対する回答をまとめておきます。

また、導入を検討された方向けの「問い合わせ先」や「申込先」の情報を提示します。

ここまで、「3W1H」のフレームワークのうち、「Why(目的)」「Whom(対象者)」「What(内容)」の3つについて解説してきました。

続いて、最後の疑問詞「How」について取り上げます。

4.How(どのように、内容を伝えるべきか?)

How(どのように、内容を伝えるべきか)

3W1Hの中で最後にご紹介する「How」は、「どのように、内容を伝えるべきか?」です。

これまでの「Why」「Whom」「What」の解説はプランニングに関するものでしたが、この「How」は提案書の構成や体裁といった見せ方、すなわちアウトプットのためのノウハウです。

提案の内容が完璧だとしても、提案書の構成によっては、読みづらく使いづらい資料になることがあります。

例えば、相手が忙しい場合、提案書の内容がどれだけ充実していたとしても、隈なく見てもらえません。

よって、重要な箇所をすぐに把握できるような提案書の構成が大切です。

そこで、相手に合わせて最適なアウトプットをするためのポイントを以下に10項目まとめました。

ひとつずつ見ていきましょう。

提案書のアウトプットで配慮すべき10のポイント

提案書のアウトプットで配慮すべき10のポイント

1.提案書が「使われる場面」を考える

まず何よりも重要なのが、提案書が使われる場面を考えることです。

資料を「配付目的」で使うか、それとも「プレゼンテーション目的」で使うかによって、ドキュメント形式とスライド形式のどちらにすべきかが変わってきます。

ドキュメント形式とは、WordやGoogleドキュメントで作られる、テキスト情報がメインとなる文書だと考えてください。

配付目的の場合はドキュメント形式にするのが一般的です。

一方、セミナーや発表会などのプレゼンテーション目的の場合、スライド形式にして、プレゼンテーション後にスライド資料を配付することが多いでしょう。

2.提案書の内容に合った「形式」を考える

ここでいう形式には「コンテンツの提示形式」と「データ形式」の2つの面があります。

「コンテンツの提示形式」には、WordやGoogleドキュメントなどの文書作成ツールで作ったドキュメント資料や、PowerPointやGoogleスライドで作られたスライド資料があります。

数値やデータを中心とした提案書の場合は、ExcelやGoogleスプレッドシートなどのワークシートの形式を採用するとよいでしょう。

カジュアルな提案書でも問題ない場合は、マンガを採り入れるのもよいアイデアです。

また、映像で訴求したほうがよい場合は動画形式も検討します。

続いて「データ形式」についてです。

提案書のデータを共有する際は、WordやPowerPointのファイルをそのまま渡す方法もありますが、多くの人に提案書を見てもらいたいのであれば、PDF形式での共有がオススメです。

PDF形式であれば、相手の端末にインストールされているアプリケーションに依存せず、資料を開けます。

WordやPowerPointでつくられた提案書をPDFに変換したい場合は、「Adobe Acrobat オンラインツール」を用いるのがオススメです。

WordやPowerPoint形式のファイルをオンライン上でカンタンにPDFに変換できます。

以下のリンクから、Acrobat オンラインツールをぜひお試しください。

3.相手のニーズを意識した「構成」を考える

相手の知りたい情報は、できるだけ提案書の「前半」にもってきましょう。

また、情報を伝える際は「PREP法」を意識し、できるだけ早く結論を伝えましょう。

PREP法とは、Point(ポイント=結論)、Reason(理由)、Example(例)、Point(ポイント=結論)という4つの言葉の頭文字を取って名付けられた構成法です。

PREP法では最初に「結論」を伝え、続けて結論に至った「理由」を示します。

次に「具体例」や「補足」を伝え、最後にもう一度「結論」をもってきます。

そうすることで、情報を論理的にわかりやすく伝えられるようになります。

4.相手の前提知識に配慮する

専門用語や専門知識に詳しくない相手の場合、できるだけ噛み砕いて情報を伝えましょう。

ただし、相手が専門家の場合は、情報を噛み砕いて伝えることが、かえって相手の時間を奪うケースがあります。

情報をどれだけ噛み砕けばよいのかは、相手に合わせて判断してください。

5.文体や表現を相手の好みに合わせる

相手が堅苦しい文章を好まない場合は、あえてカジュアルな文体を用いるのもよいでしょう。

また、文章を読むのが苦手な方の場合は、「図解」や「イラスト」といったビジュアル要素を多く用いることもオススメです。

データを示す場合は「グラフ」も積極的に活用しましょう。

6.自社ならではの印象が伝わるよう「ブランド」を体現する

提案書では「自社らしさ」を伝えることで、他社との差別化ができます。

ブランドガイドラインによってデザインのレギュレーションが決まっている場合は、そのレギュレーションに沿って、提案書をデザインしましょう。

また、資料の全ページに自社のロゴを入れるのもオススメです。

7.提案書のアクセシビリティに配慮する

資料のフォントサイズや色使い、コントラストなどを適切に調整し、読みやすくしましょう。

また「アクセシビリティ」を考慮し、多様な状況やデバイスでも利用できるようにします。

例えば、視覚に障害をもつ方に資料を渡す場合、音声読み上げソフト(スクリーンリーダー)への対応は必須です。

動画を用いる場合は、聴覚に障害をもつ方が内容を把握できるよう、字幕を付けておきましょう。

8.文化や言語の違いに配慮する

異なる文化や言語の相手に対しては、その文化や言語に適した表現やイラストを用いることが重要です。

また「翻訳版」を用意しておくことで、相手の翻訳する手間を省けます。

9.提案書のアップデートとバージョン管理を行う

提案書の内容が常に最新になるよう、定期的にアップデートしましょう。

また、バージョン管理を行い、過去の提案書と新しい提案書の差分を把握しましょう。

複数のバージョンの提案書を管理するためには、ファイルの命名ルールや保存場所のルールを決め、ひとつの共有プラットフォームを活用することをオススメします。

ファイルの命名ルールの一例としては、ファイル名に「230504」といった日付を加えたり、「v2」といったバージョン番号を付ける方法があります。

10.様々な人からフィードバックをもらう

案書を作るときだけでなく、提案書が完成した後も周りからフィードバックを集め、改善点や新たなニーズを掘り起こしましょう。

そこでオススメなのが、他者からのフィードバックを集めるためのツールを用いることです。

例えば、Acrobat オンラインツールを用いれば、関係者にPDFを共有したのち、オンライン上でコメント(テキストの注釈)を書き込んでもらえます。

また、コメントの入力だけでなく、気になる箇所を線で囲む描画ツールも使ってもらえるため、さまざまな形でのフィードバックを集められます。

以下のリンクから、Acrobat オンラインツールの注釈機能を無料でお試しいただけますので、ぜひチェックしてください。

上記の10項目を意識しながら提案書を作成すれば、伝わりやすい提案書が完成します。

さて、ここまで「3W1H」というフレームワークをご紹介してきました。

先ほど、文章校正ツールに関する提案書の3W1Hの例をご紹介しましたが、ここまでのノウハウを踏まえて、3W1Hをより細かく記述すると以下のようになります。

1.Why(なぜ、提案書を作成するのか?)

自社の文章校正ツールを導入してもらうため

2.Whom(誰に向けて、提案書を作るべきか?)

顧客企業の広報担当者、営業担当者、部門の責任者、経営陣

3.What(何を、提案書に記載すべきか?)

1.提案内容の概要(提案の目的や取り上げている内容を端的に記載する)

2.提案書の構成・目次

3.提案内容が生まれた背景(現場の課題を記載する)

4.提案内容の詳細(課題解決の手段として製品を紹介し、特長や機能を説明する)

5.業界の現状とトレンド(多くの企業が文章校正ツールを業務で活用し始めている現状を伝える)

6.提案内容の信頼性を担保するデータやリサーチ結果(文章校正ツールを用いて、実際にどれだけ業務時間が短縮できたかの実験結果を提示する)

7.導入事例や成功事例(これまでの導入実績や、お客様の声などを紹介する)

8.製品・サービスの価格設定(初期費用や料金プランなどを記載する)

9.競合比較(競合製品と自社製品との違いを説明する)

10.導入までのプロセスとサポート体制(ご利用いただくまでの流れ、製品に関する保証や、導入後のサポートなどを紹介する)

11.FAQと問い合わせ方法(顧客が疑問や懸念を持ちやすい点に回答する)

4.How(どのように、内容を伝えるべきか?)

・提案書は「ドキュメント形式」と「スライド形式」の2つを用意する(前者は配付用に、後者はプレゼンテーションで用いる)

・相手にとって重要なポイントがわかりやすく伝わるように構成する

・専門用語を使う際は、補足説明を入れる

・PREP法を意識して結論を最初に明示する

・情報量が多い場合、図解やイラストを多めにし、文字だらけの印象を緩和する

・海外の関係部門にも共有できるよう、英訳版を用意する

・提案書は様々な環境で閲覧しやすいよう、PDFファイルにする

・提案書の中の情報を常に最新にするため、共有プラットフォーム上にファイルを設置する

上記のように、「3W1H」のフレームワークを用いて提案書の方向性を言語化しておけば、たとえ自分で提案書を作成せずとも、他のメンバーが提案書を作成する際の指示書にもなります。

ぜひ、この「3W1H」のフレームワークを積極的に活用してください。

提案書が採用されない10の理由

続いて、提案書の採用率を高めるために、提案が通らないパターンを知っておきましょう。

提案書が採用されない大きな理由としては、相手の前提条件をしっかりと把握できていないことがあります。

提案する前に、相手の予算や状況を知るために、いわゆる「BANT」と呼ばれる以下の4つの情報を得るようにしましょう。

B(Budget)・・・予算はどれくらいか?

A(Authority)・・・決裁権者は誰か?

N(Needs)・・・必要性はどれくらいか?

T(Timeframe)・・・導入時期はいつか?

以下では、BANT条件が把握できていないことで起こるミスマッチを含め、提案書が不採用になってしまう10個の理由をまとめました。

1.提案の目的が不明確

提案の目的が不明確な場合、提案を採用するメリットが曖昧となり、採用されにくくなります。

相手が提案を受け入れることで、どのようなメリットやベネフィット(恩恵)があるのかをしっかりと伝えましょう。

2.説得力が不十分

提案書の論理構造がわかりづらかったり、根拠やデータが不足したりしている場合、説得力が不十分で採用されにくくなります。

提案内容がわかりやすい構成を考え、事前調査やデータの収集を徹底しましょう。

3.ニーズが低い

提案内容が組織の目標やニーズと関連性が低い場合、採用されにくくなります。

相手がどんなことを求めているのかという前提条件を把握するために、必要に応じて提案前のヒアリングを行いましょう。

4.競合に負けている

競合の提案のほうに優位性がある場合、採用されにくくなります。

競合と比較して自社の提案にどんなメリットがあるのかを明確にアピールしましょう。

5.決裁権者に十分な情報が伝わっていない

担当者に提案内容が伝わったとしても、決裁権者に提案内容が十分に伝わっていない場合、提案が採用されにくくなります。

決裁権者が多忙な場合は、提案書を流し読みするだけで提案内容が十分に理解できるような構成を意識したり、決裁権者向けにプレゼンテーションする機会をもらったりするとよいでしょう。

6.既存プロジェクトと整合性がとれない

提案内容が既存のプロジェクトと整合性がなかったり、組織全体の戦略に適さなかったりする場合は採用されにくくなります。

相手の組織でどんなプロジェクトや戦略が進んでいるかを事前に把握しておくことが大切です。

7.コストが高い

提案内容を採用した際にかかるコストが高く、費用対効果が見込めない場合は採用されません。

相手の予算に応じて、提案の導入コストを調整できないか検討しましょう。

8.実行可能性(実現性)が低い

提案内容が現実的でない場合や、実現のためのリソースが不足している場合は採用されません。

相手の状況やリソースに合わせて、実行可能性(実現性)の高い提案内容を考えましょう。

9.タイミングが悪い

提案するタイミングが、組織の状況やフェーズに適していない場合は採用されません。

その場合は、適切な時期を見極めてあらためて提案するか、相手の状況に合わせた提案内容を考えましょう。

10.他の優先事項がある

相手の組織に他の優先事項があり、提案内容の優先度が低いと判断された場合は採用されません。

自分の提案のほうが優先度が高いのであれば、その理由がきちんと伝わるように、提案書の内容を工夫しましょう。

提案書の作成手順

続いて、提案書作成の流れをご紹介します。

以下の手順を踏むことで、わかりやすい提案書を作れるようになります。

1.構成を作成する

まずは提案書のアウトラインとなる構成から作ります。

各ページの見出しや、おおまかな内容から書き出しましょう。

提案書のアウトライン・目次の例

いきなり本文から書き始めることはおすすめしません。

全体の構成が決まっていないと、書いているうちに方向性がブレてしまうためです。

構成とは、どんな情報をどんな順序で伝えるかという優先度付けのための骨組みです。

骨組みがしっかりしていない提案書は、自分が伝えたいことを一方的に伝えるような印象になりやすいため、まずは構成をしっかりと整えましょう。

ちなみに、提案書はできるだけ少ないページ数のほうが、相手の時間を奪いません。

そのため、提案内容はコンパクトに収めるのが理想ですが、専門的な技術を解説するような提案書の場合は、内容を噛み砕いて伝えるためにページ数の多い提案書が必要となることもあります。

2.本文を作成する

構成案を考えたあとは、続いて本文を作成していきます。

アウトラインに沿って本文を書いていけば、一貫してわかりやすい内容にすることができます。

なお、言葉の選び方や文章の書き方として、以下の3つのポイントを意識しましょう。

1. 誰にでも伝わるようなシンプルな言葉を使う

2. できるだけ短く、簡潔な文章で書く

3. 必要に応じて箇条書きをうまく用いる

また、以下のような場合は、図表やグラフ、写真、イラストなどを使用しましょう。

・文章の説明だけではわかりづらい場合

・視覚的に理解を促したい場合

・相手の関心や注目を引きたい場合

ただし、提案書の主体はあくまで文章ですので、必要以上に図表や画像を用いることはやめましょう。

3.デザインを整える

最後にデザインを整えていきます。

ただし、提案書が採用されるかどうかが、見た目の装飾によって左右されることは基本的にありません。

デザインを派手にする必要はなく、シンプルで見やすいデザインさえ意識しておけば大丈夫です。

提案書で重要なのはあくまでも「中身」の情報です。

見た目の装飾に時間をかけることは本末転倒ですので、気を付けてください。

フォントは読みやすいものに統一する

提案書作成では、読みやすいフォントを選ぶことが重要です。

また、フォントはできるだけひとつに統一します。

意図もなく複数のフォントが混在していると、読みづらくなるだけでなく、資料が洗練されていない印象を与えてしまいます。

フォント選びに困ったら、まずは各OSに最初から用意されている以下のフォントを選びましょう。

■各OSで用意されているオススメフォント

1.メイリオ(Windows)

Windows用のフォントで、丸みを帯びた形状と幅広なつくりが特徴です。

モニター画面でも紙面上でも視認性が高く、読みやすいフォントです。

2.游ゴシック(Windows&Mac共通)

WindowsとMacの両方で使用可能なフォントです。

字面が小さめで文字間に適度な余白があるため、小さなサイズで使っても一字一字をはっきりと識別できるのが特徴です。

Medium以上の太さで使うことで、視認性が向上します。

3.ヒラギノ角ゴ(Mac)

AppleのMacOSやiOSに標準搭載されているフォントです。

やや大きめの文字面が特徴で、現代的で明るさを感じるオーソドックスなフォントです。

ウエイト(太さ)のバリエーションが豊富で、デザインの用途に応じて最適な太さを選べます。

提案書に向いているフォントの種類と印象

フォントについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。

フォント(日本語・英語)の種類・選び方と定番フォントを紹介

配色は4色以内に抑える

提案書で使用する色の割合と役割

スライド資料に使用する色は、文字色を含め4色(3色+文字色1色)に抑えましょう。

配色は提案書の見た目を左右する重要な要素ですが、色は増えれば増えるほどコントロールが難しくなります。

そのため、慣れないうちは、色数を多くても4色(3色+文字色1色)以内に抑えましょう。

4色のうち3色は「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」という3つのカラータイプを指します。

それぞれのカラータイプの解説は、以下をお読みください。

1.ベースカラー

スライド全体の背景色や基調となる色です。

一般的に、スライド全体の70%程度を占めます。

黒・白・グレーといった、ニュートラルカラー(無彩色)が選ばれることが多く、文字色が黒の場合、白やグレーを用います。

2.メインカラー

スライド全体で最も目立ち、スライドの印象に大きく影響する色です。

一般的に、スライド全体の25%程度を占めます。

例えば、この記事で挿入されているスライドは、背景色が白のスライドですが、メインカラーは緑色です。

そのため、この記事を読まれた方は、スライド内の緑色が強く印象に残っているはずです。

メインカラーは、タイトルや見出しをはじめ、強調したい箇所で用いられます。

通常、製品のブランドカラーやコーポレートカラーなどがよく使われるため、社内向けの資料であれば自社のカラーを、社外向けの資料であれば相手の会社のカラーを選ぶとよいでしょう。

ただし、ブランドカラーが鮮やかすぎる場合は、メインカラーとして使いづらい場合があります。

その場合は、メインカラーの彩度を少し下げるか、白を混ぜるなどして、適宜カラーバランスを調整してください。

3.アクセントカラー

メインカラーを既に使っていて、スライドの一部をより目立たせたいときに使う追加色です。

例えば、この記事で挿入されているスライドでは、オレンジ色がアクセントカラーとして使われています。

アクセントカラーは目立つ分、使い過ぎは禁物です。

スライド全体の5%程度を占めるイメージで使いましょう。

レイアウトデザインの4原則を意識する

スライド資料に使用する色は、文字色を含め4色(3色+文字色1色)に抑えましょう。

配色は提案書の見た目を左右する重要な要素ですが、色は増えれば増えるほどコントロールが難しくなります。

そのため、慣れないうちは、色数を多くても4色(3色+文字色1色)以内に抑えましょう。

1. 整列:要素を揃える

2. 近接:関連する情報は近づける

3. 反復:要素や特徴を繰り返す

4. 対比:情報の優先度に合わせて強弱を付ける

1.整列

見やすく洗練された提案書を作るためには、以下に挙げる「レイアウトデザインの4原則」を意識することが大切です。

「整列」とは、要素を揃えて配置すること

2.近接

「近接」とは、関連する要素をグルーピングすることです。

グルーピングすることで、情報のまとまりや流れを伝えやすくなります。

関連性の高い要素は近づけ、関連性の低い要素は意識的に離して配置しましょう。

「近接」とは、関係する要素を近づけること

3.反復

「反復」とは、要素や特徴を繰り返すことです。

資料内で共通のデザイン要素(色、形、フォント、レイアウト)を反復することで、統一感が生まれ、洗練された印象が高まります。

「反復」とは、同様の要素を繰り返すこと

4.対比

「対比」とは、情報の重要度に合わせて強弱を付けることです。

重要な情報は目立つようにデザインし、それ以外の情報は控えめにします。

対比を用いることで、デザインにメリハリが生まれるだけでなく、重要なポイントをすぐに把握できるようになります。

「対比」とは、要素に強弱をつけること

完成した提案書はPDFで共有

提案書を共有する際には、ファイル形式にも気を配りましょう。

そこでオススメしたいのが、PDF形式での共有です。

PDFにした文書は、改ざんされにくく、フォントやレイアウトがデバイスやOSなどの環境に影響されないため、特に社外の人に共有する際にオススメです。

Acrobat オンラインツールを使えば、Wordで作った提案書をオンライン上でカンタンにPDFへ変換できます。

PDF変換後は、編集ツールで注釈コメントを入れることも可能です。

そのほか、メール添付やファイル共有の際に役立つファイルサイズの圧縮・軽量化など、20を超える便利な機能が使えます。

Adobe Acrobatの有料プランを契約している方なら、利用は無制限。

有料プランを契約していない方でも、30日ごとに2回まで無料でオンラインツールをお使いいただけます。

提案書作成に役立つ機能をリストアップしましたので、ぜひ以下のリンクからチェックしてみてください。

Adobe Acrobat オンラインツール 総合TOP

Acrobat オンラインツールの各機能を確認できるTOPページです。

Word形式のファイルをPDFに変換

Word形式のファイルをPDFファイルに変換できます。

PowerPoint形式のファイルをPDFに変換

PowerPoint形式のファイルをPDFファイルに変換できます。

PDFのファイルサイズを圧縮

PDFの資料を圧縮して軽量化できます。

複数のPDFを結合する

複数のPDFを結合し、ひとつのPDFファイルにまとめられます。

PDF内の不要なページを削除

PDFの中から不要なページを削除できます。

PDFのページを入れ替え、並び替え

PDFのページ順序を入れ替え、構成を変更できます。

PDFにページを挿入・追加

PDFに新しくページを追加できます。

PDFにパスワードを設定して保護・暗号化

パスワードをかけることで、機密情報を含む資料であっても安心して関係者に共有できます。

また、Acrobat オンラインツールの詳しい使い方については、以下の記事で解説されています。

はじめてのAdobe Acrobat オンラインツール完全ガイド(概略版)

Acrobat オンラインツールを用いて、提案書作りを柔軟に進めましょう。利用して、マニュアル作りを柔軟に進めましょう。

(執筆:ウェブライダー)

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https://milo.adobe.com/libs/img/mnemonics/svg/acrobat-pro-64.svg

ぜひAdobe Acrobatオンラインツールをお試しください

無料で始める

https://main--cc--adobecom.hlx.page/jp/fragments/seo/product-blade/acrobat

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議事録の上手い人が実践している書き方【メモ取りのコツや作成例も】

議事録の基本的な構成や、効率的に作成するコツを紹介します。会議前・会議中・会議後に意識すべきポイントを理解し、わかりやすく見やすい議事録を作成しましょう。

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