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顧客第一主義の老舗百貨店ノードストロームが明かす、デジタルでも成功を収める理由


【POINT】

  • 「ノードストロームは私を理解している」と顧客に感じてもらうことを、すべての施策の核とする
  • データによって、在庫管理などのビジネスプロセスを改善
  • データを活用して「顧客をより深く知る」ことにより、デジタルならではの接客が可能になる

ノードストロームは、北米を中心に事業を展開する大手百貨店だ。創業以来、顧客満足度を高く維持する経営方針で知られ、“タイヤの返金に応じた話”は有名だ。

同社は、早くからオンライン通販にも乗り出しており、現在オンラインアパレル販売ランキングでは米国3位(Internet Retailer reportより)だ。小売とオンライン販売がビジネスの両輪となった今、同社はどうやって顧客満足度を高く維持しているのだろう。マーケティング アナリティクス&テクノロジー担当 バイス プレジデント、ジェイソン ゴウワンズ氏に話を聞いた。

顧客第一主義の企業文化

――ノードストロームと言えば、顧客満足度を大切にする経営で世界的に知られています。なかでも、タイヤの話が有名です。服と靴しか販売していないノードストロームの店舗にタイヤを返品しに訪れた顧客に返金したというストーリーでした。

ゴウワンズ氏 あれはアラスカ州で本当にあった話なのですよ。出店した場所が、タイヤを扱っていた店の跡地だったのです。お客様は、「ノードストロームを試してやろう」と悪意をもって返金を要求してきたわけではなく、確かに「この場所」でタイヤを2輪買っていました。店が変わったことに気づいていなかったのかもしれません。お客様のご希望が返品でしたので、お望みどおり返金に応じました。

――それはいつごろの話でしょう。

ゴウワンズ氏 いまから30年ほど前のことですね。当時は西海岸で積極的に店舗を展開していた時期です。タイヤの話は印象的ですが、私たちのお客様第一主義は創業以来の文化で、規模を拡大しても「お客様に喜んでいただくこと」をすべての店舗で実践してきました。

顧客に「ノードストロームは私を理解している」と感じてもらうために

――現在、事業は大きく拡大していますね。

ゴウワンズ氏 創業以来の高級路線を「NORDSTOROM」ブランドが担い、高品質ながら低価格のブランド群を「NORDSTOROM Rack」として別店舗で展開しています。それぞれにECサイトがあるため、店舗とECに分けて4つのカテゴリーになります。

北米のアパレルは2,240億ドル規模の市場で、2016年の売上は145億ドル。当社ブランド別売上の内訳はNORDSTOROMが7割、NORDSTOROM Rackが3割。オンライン販売は2010年に売上全体の8%でしたが、2016年には23%へと拡大しました。

――販売がECになっても、店舗と同様の顧客第一主義の文化は根付いているのでしょうか。

ゴウワンズ氏 すべてのチャネルでお客様を最上位に置いて戦略を立てています。店舗では優秀なスタッフが接客できますが、オンラインでもアドビのソリューションを最大限に活用し、お客様に「ノードストロームは、私を理解している」と思っていただけるような提案をできるようにしています。DMP(データ管理プラットフォーム)を基盤とし、いわゆるマーケティングオートメーションや、電子メールによるプロモーション、レコメンドなど、さまざまな技術を用いています。さらに、お客様のデータは店舗のものと統合し、あらゆるチャネルで同一のサービスを提供することをめざしています。

予算はすべてお客様のために使う

――新規顧客も獲得していかなければいけません。マーケティング予算は、どのように配分していますか。

ゴウワンズ氏 80%は既存顧客向けのロイヤルティプログラムで、キャンペーンなどに使います。残りの20%が新規顧客獲得のためのものです。Adobe Media Manager(編注:Adobe Advertising Cloudに含まれる広告自動取引プラットフォーム)を活用しているため、簡単な設定でメディア選定を行って、リターゲティングを含む戦略的な広告出稿を実現できています。広告は結果が出てきていますので、新規向けの割合を増やす方向で考えています。

――広告を打つにあたって工夫しているのはどのようなことですか。

ゴウワンズ氏 ターゲットを絞り込むために、オンラインメディアを活用するなど、戦略的に打っています。コンテンツでは、チュートリアルビデオが好評です。スカーフの結び方などの実用的なものは、多くのお客様に見ていただいています。広告対象から従業員を除外していることも、珍しい取り組みかもしれません。

――従業員は広告を見られないのですか?

ゴウワンズ氏 マーケティング予算はすべてのお客様に均等に使うようにしています。たとえば、あるカテゴリーのお客様だけにキャンペーンが大量に実行されると、お客様間の公平性が損なわれるという考え方です。予算は1円たりともムダにせず、お客様のために使いたいと考えた結果、従業員には広告を配信しないようにもしました。Adobe Media Managerの簡単な設定で、広告を出さないようにできます。

データによって、在庫管理などのビジネスプロセスを改善

――取り組みの中で、顧客の獲得や売上の向上だけでなく、内部のビジネスプロセス改善に役立った例などもあるのでしょうか。

ゴウワンズ氏 最大の成果は、商品補充のタイミングを最適化できたことでしょうか。私たちは化粧品などの美容カテゴリーも取り扱っているのですが、それらの商品はお客様ごとに使用期間が異なります。あるお客様が30日で使いきる化粧水を、別のお客様は40日ごとに使いきる、また別のお客様は100日周期で3本まとめ買いする、などのデータが蓄積されています。

現場では、それに合わせて在庫調整をすることで、売り逃しのリスクを最小化しながらコストを圧縮できました。また、私たちマーケティング担当側では、お客様ごとに最適なタイミングで個別にプロモーションメールを配信するのですが、美容商品のコンバージョンレートは他のカテゴリー平均の2倍以上になっています。

お客様の好みをより深く理解する

――ほかに、何か面白い取り組みを行っていますか。

ゴウワンズ氏 デジタルならではの取り組みがあります。データとしての画素を、レコメンドに結びつけているのです。お客様の選ばれた服の色を、黒が35%、パウダーブルーが21%、ライトブルーが20%……と画素に分解するのです。

多くのレコメンド手法では、似た色をおすすめするのでしょうが、私たちはその色と組み合わせやすい色をレコメンドできるようにしています。

「以前お買い上げいただいたシャツに、このパンツを合わせてみてはいかがでしょう」という提案をECでもできるのです。さらに、色の要素にシーズンやトレンドを加味して考えることもできます。

たとえば「このお客様は流行に敏感で、はやりの色を選びたがる」ことがわかれば、そのお客様に次回に提案するのは、同系色ではなく、流行のカラーにできます。

これらの取り組みで、多くのお客様に、「ノードストロームは、私を理解している」と感じていただければうれしいですね。

――本日は、どうもありがとうございました。

 

UNITE編集部


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