HDRとは?
HDRとはハイダイナミックレンジの略称です。HDRとSDRの写真の違いについてや、明るい光や暗い部分の影もくっきりと描写するHDRの撮影方法を学びましょう。
撮影:アーロン・ラシッド
HDR とは?
ダイナミックレンジという言葉は、最も明るい部分と最も暗い部分との比率を表しています。HDR とは、ハイダイナミックレンジのことで、SDR(HDRフォーマットではない、スタンダードダイナミックレンジ)カメラセンサーよりも、幅広いダイナミックレンジを捉えることができるカメラやテクニックを意味します。
HDR動画
ほとんどの人は動画の分野でHDR に馴染みがあるかもしれません。Sonyや Nikon などの最新のデジタル動画カメラや、iPhone 12のカメラでさえもHDRで撮影できるようになり、さらに多くのコンテンツ制作者がHDRで動画を撮影しています。現在、Amazon Prime Video と Netflix などのストリーミングサービスは、 HDR10 と Dolby Vision HDR をサポートしていますが、Netflix の場合UHD Premiumプランの契約が必要です。HDR のテレビコンテンツは、HDCP 2.2 以上をサポートしているHDMIポートに接続した、ウルトラHD Blu-rayでも見ることができます。
こうした動画をフルコントラストの比率で楽しむには、HDR のコンテンツを再生できる高品質の8Kまたは4Kテレビが必要です。これらのテレビには、従来のLCD ( 液晶ディスプレー[liquid crystal display])のバリエーションである OLED (有機発光ダイオード[organic light-emitting diode])スクリーンと、QLED (量子ドット[quantum dot light-emitting diode])スクリーンがあります。
HDR 写真
写真撮影においてHDR とは、1枚の写真では捉えられないダイナミックレンジを画像の中に収めるタイプの写真を意味します。
「カメラにこのツールが内蔵されるようになる前、人々はブラケティングをしてカメラの限界を乗り切ってHDR写真を作成しました。ブラケティングをする時は、まず露出不足にして1枚撮り、中ぐらいの露出で1枚撮り、露出オーバーにしてもう1枚撮ります。そして後処理でその写真を重ねて、1枚の完全な写真に 結合するのです」と写真家のチェルシー・ルジエロさんは説明します。
なぜ HDR 画像を作るのか?
写真家がカメラの機能以上の写真を撮影したい時、HDR のプロセスを用いれば、完全なダイナミックレンジを捉えることができます。それぞれ違う露出を統合することで、ほとんどのピクセルを表現でき、人間の目が見るのとほぼ同じような画像を作成できます。「私はHDR を日の入りやブルーアワーの時間帯、そして 風景写真を撮影する時に使います。夜の撮影はほとんどHDRです」と写真家のアーロン・ラシッドさんは言います。
オート HDR 写真を試す
ほとんどのデジタル一眼レフとスマートフォンにはHDR モードが内蔵されているので、後処理時に数枚の画像を結合させる必要がありません、オートHDR モードは、ビギナーがHDR 画像の外観と感覚を知るには最適なツールです。ただし、画像を好きなように作成したり、最高の質を求める場合は、 RAW 画像をマニュアルモードでブラケット撮影(数枚撮る)して、編集ソフトを使って結合します。
撮影:アーロン・ラシッド
1.写真を撮る
最初は、明るい部分と暗い部分の間のミッドレンジを捉える基本から始めます。次に、そのシーンの最も明るい部分にシャッタースピードを合わせて露出を設定し(暗い所は影になります)、その後で、暗い部分にシャッタースピードを合わせて(明るい所は白飛びします)、もう1枚撮ります。その結果、適切な露出の写真、露出オーバーの写真、露出不足の写真を撮ったことになります。
2.写真を結合させる
Adobe Photoshop Lightroomで写真を結合させるには、まず画像をインポートします。その中から、スタックしたい画像を選びます。次に「写真/写真の結合/HDR」を選択します。または Mac の場合、Command + H を、Windows の場合は Control + Hを押します。自動トーンを調べて、スタート地点で均一したトーンの良い画像になっているようにします。自動整列を使うと、写真間でカメラのズレが少しでもあれば、Lightroom が自動的に補正します。
3.必要に応じてゴーストを除去する
写真を結合させたら、少し透明になる部分が発生するかもしれません。不自然な部分はLightroom HDR 結合メニューでゴーストを除去します。最初は低い設定で初め、それでも上手くいかない場合は高い設定にします。プレビューでゴーストの現象が見られなければ、この機能を使う必要はありません。「もし道路を写す場合、私だったらゴーストの除去のレベルを高くし、車のヘッドライトがよく写るようにします。道路を撮影しない場合は、ゴーストの除去は行いません」とラシッドさんは言います。
編集のしすぎに注意する
HDR の場合は、細かく編集すると良い効果が出ます。画像を編集しすぎると、彩度が高すぎ非現実的な感じになりますので軽くタッチを加えます。編集しすぎの時に現れるハローなどの現象に注意します。コントラストと鮮明さは控えめにして、必要かどうか確認します。何かが早く動いている様子、たとえば人々の動きや、道路の交通状態などの撮影は避けるべきです。
携帯電話でブラケティングしたHDR写真を撮る
「Lightroom モバイル版で撮影し、Photo Merge を使って、それぞれ違う露出の複数の写真を圧縮することができます。写真ファイルはDNG ファイルになります。これはアプリで処理され、1枚のHDR写真となります。(どのスマートフォンでも、DNGファイルを処理できるわけではありません。)
撮影:アーロン・ラシッド
重要なのは練習
HDR やその他の写真テクニックに挑戦する時は、とにかく何でもよいので試してみることです。「写真というのは、何か新しいものを創り出し、自分の物事への見方を一般に知ってもらうことです。ですから、恐れずに新しいことに挑戦しましょう。練習をすればするほど、上手くなります。外に出て色々撮影してみましょう」
協力
Adobe Photoshop Lightroom の多彩な機能
Adobe Lightroom のプリセットで写真を簡単に編集し、クラウドの写真ストーレージ管理を使えば、どこにいても自分の作品にアクセスできます。
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