Adobe PDF Print Engine
Adobe PDF Print Experienceを得るためのレンダリングプラットフォーム
インクジェット印刷の分野は、急速な進歩を遂げてますますその価値を高めており、昨今の成長に乗じて利益を上げようとする印刷サービスプロバイダーが競争を激化させています。過去5年間で、この分野は隆盛を極め、少量生産のマルチパスプリンターや高速のシングルパスプリンターの導入により生産能力が拡大しました。
2000年代にテキスタイル印刷の分野に参入したインクジェットは、当時は間違いなく価格破壊を引き起こす技術でしたが、今日見られるような完全なソリューションには程遠いものでした。アナログ印刷に比べて印刷速度が遅かったため、当初は導入が遅れました。機器のコストが高く、プリンターの信頼性に疑問があったため、この技術は主に印刷のサンプルに限定して用いられました。
デジタルテキスタイル印刷の3大要素であるプリント機構とプリントヘッドとインクを強化するために、これまで多くの研究開発が行われてきました。印刷サービスプロバイダーが高品質な出力を望むならば、これら3つの要素の共存が不可欠です。Adobe PDF Print Engine(ラスターイメージプロセッサーソフトウェア)なら、それらを最大限に活用できます。
過去10年間で、デジタルテキスタイル市場では超高速印刷が現実のものとなり、技術の拡大を妨げていた大きな障壁が取り除かれました。それにより、OEMメーカーが世界中の大量印刷サービスプロバイダーに出力機を提供できるようになりました。印刷サービスプロバイダーにとって、ファッション業界は最も収益性の高い市場ですが、多くのインクジェット機器ではファストファッションに要求される大量の印刷をこなすことができませんでした。この問題にいち早く着目したアドビは、リッチグラフィックスの最速レンダリング技術であるPDF Print Engineを開発しました。レンダリングアルゴリズムは継続的に最適化されており、Adobe Creative Cloudアプリケーションの最新機能で作成した複雑なエフェクトも最速で出力できます。
分光光度計が利用できるにもかかわらず、インクジェットテキスタイル印刷業界は長い間、カラーマネジメントの問題に悩まされてきました。ブランドや消費者の要求が高まる中、正しい色で初ロットを生産する事は非常に重要です。現在も印刷サービスプロバイダーは、効率的なカラーマネジメントができず、貴重なリソースの浪費により利益を逸しています。
アドビでは、使用するインクの違いによらず複数の種類のファブリックでカラーを正確に、かつ一貫して再現するには、従来のカラーマネジメント技術と洗練されたカラーエミュレーションとを融合させる必要があると考えています。PDF Print Engineでは、まさにこの点を強化しました。アドビの最大の目標は、デザイナーが画面上で作成したものを、テキスタイル印刷サービスプロバイダーがそのまま印刷できるようにすることです。
PDF Print Engineには、カラーマネジメントを向上させるための機能もあります。このレンダリング技術はAdobe Color Engineを搭載しており、サードパーティー独自の外部カラーマネジメントモジュール(CMM)と統合することもできます。どのような組み合わせのカラースペースでプロファイリングされたジョブ要素でも、出力プロファイルに従って希望する印刷条件に変換できます。
また、黒点補正(BPC)、Spectral data for spot colors、ページレベルの出力インテントなどの最新のPDFのカラー機能は、今後もPDF Print Engineでサポートされます。長さに関係なく、連続した色合いがスムーズに表現されます。チャネルあたり最大16ビットまで、任意のビット深度を含む画像およびグラフィックスのカラープレーンを、わずかなカラーシフトでレンダリングし、厳密なカラー精度を実現します。
カラーマネジメントに加えて、PDF Print Engineはワンランク上のパフォーマンス、堅牢性および多様性を引き出します。