効果的なグリーンバック撮影方法と編集アドバイス

グリーンスクリーンは映画制作者にとって、予算の節約やジャンル映画の撮影に使える便利なアイテムです。 Adobe Premiere Pro によるグリーンスクリーンの合成画像について詳細を学びます。

スタジオ内のグリーンバックと撮影機材

グリーンスクリーン動画の映像

怪獣が登場する映画やSF映画など、スペシャルエフェクトが使用されている映画を見たことがあれば、グリーンスクリーンの映像を経験しています。しかし、それば巧緻に制作されていたら、それには気づくことはないでしょう。実際にロケに出かけて行って撮影するのが理想的ですが、多くの場合、それは予算が許しません。「ロケ撮影が理想的ですが、それには撮影クルー、俳優、トレーラー、機材など全部、撮影場所に運ばなければなりません」と語るのは、監督でありシネマトグラファーのスティーブン ・バーンスタインさんです。

 

卓越したアイデアはあるが、予算が少ない場合、グリーンスクリーンは大きな味方になります。

 

グリーンスクリーンを使うと、背景を全く違うものやモーショングラフィックと交換できます。グリーンスクリーン は、良質または高額なものである必要はありません。スクリーン自体はシンプルなグリーンの布です。これは編集時に、Adobe Premiere Proなどのツールで簡単に除去できるので使われています。

 

グリーンスクリーンは、クロマキーの関連技術のひとつです。クロマキーは、「合成」、または2枚の画像を重ねる、または動画ストリームを別の動画でストリームするなどの技術を指します。例えば、勇敢な探検家が荒野を歩いているシーンなどでは、背景にファンタジー的な風景や城郭などを入れると、それらが登場人物と一緒にスクリーンに映し出されます。

 

背景にグリーンスクリーンが必要な動画

映画撮影には必ず難しさが伴います。予算、ロケーション、時間の制約などのため、どのシーンも思い通りに撮影できるわけではありません。グリーンスクリーンは、そんな制約を跳ね除け、さまざまな問題に対処できる頼もしいツールです。

 

解説動画とハウツー動画

教育動画や解説動画など、人がカメラに向かって話している状況では、グリーンスクリーンが効果的です。モーショングラフィックの背景やストック動画の無料画面で合成を試してみます。

 

小さな背景と動き

建物の中で撮影して、背景の窓や開いているドアを編集で除去しなければならない場合、グリーンスクリーンは大変役に立つツールです。窓の外に、邪魔な看板や景色がある場合などがその例です。車を運転しているシーン(またはSF映画のコクピットの内装)の場合、グリーンスクリーンは、車の動きとその場所の感覚を表現するのに欠かせないツールです。グリーンスクリーンは、携帯電話の画面を映す時にもよく使われます。その場合はオーバーレイを作って、それをiPhoneの画面にします。

 

特殊効果とアイテム

特殊効果 (SFX)のアーティストや撮影監督は、特殊効果やCGで作った生き物や人間、動物などが出てくる動画を撮影する場合、衣類やモーションキャプチャにグリーンの素材を使用します。例えば、グリーンの衣服を着ている登場人物は、後でCGのキャラクターになります。アイテムや小道具に特殊効果を使う場合、そのアイテム自体をグリーンの素材で塗り、後処理で編集します。

 

グリーンスクリーンでは、適切な色と色合いを選択すれば、特に決まりはありません。通常、後処理の担当者は一定の色合いのグリーン(「グリーンスクリーンの緑」と呼ばれます)を好み、それが撮影リストの中に記載され、実際に映像を撮影するスタッフにとって必要な情報となります。

 

グリーンスクリーンの使用を避ける

実際に俳優が演じるシーンでは、グリーンスクリーンが絶対に必要な場合を除き、あまり使わない方がよいでしょう。俳優が関わらないシーンでは、グリーンスクリーンを使用することができます。「グリーンスクリーンに向かって演じるのは簡単なことではありません」とバーンスタインさんは説明します。多くの物や小道具がグリーンになっていて、それに囲まれたシーンで演技をするのは難しいことでしょう。しかし、グリーンスクリーンが必要な場合は、俳優にそのことを明確に説明します。

俳優をグリーンバック前で撮影する様子

グリーンスクリーンを使う場合、注意すべき技術的な事柄が多くあります。グリーンスクリーンを使って質の良い作業をするには、カメラを扱う優れたスキルが必要です。

 

例えば、俳優の頭が極端に小さく縮んで見えてしまうシーンを撮影するには、正確にカメラを動かさなければなりません。そのシーンは2回撮影する必要があるからです。1回目は、俳優の頭がグリーンスクリーンの前にある状態で撮影します。これはエフェクトを使うためです。2回目は、俳優なしで撮影しますが、カメラの動きは全く同じにしなければなりません。俳優の頭の後ろのスペースが歪んだり、空間ができたりしないようにするためです。このような理由から、グリーンスクリーンを使ったズームや早いパニングの場合、カメラには極めて精巧な動きが求められます。

 

スモークなど実際の物を使ったエフェクトを使用する場合、グリーンスクリーンは適していません。このようなエフェクトはグリーンスクリーンの色に影響を与えるので、編集作業の時間が非常に長くなります。

 

ブルースクリーン動画の使用時期

ブルースクリーンは、グリーンスクリーンと全く同じ機能を果たしますが、あまり使われません。理由は簡単です。グリーンという色の方がシーンに出現する確率が少ないからです。しかし、シーンに植物や木、その他の葉類が多くある場合、ブルースクリーンの使用も考えます。その方が、後処理での編集作業が相当楽になります。スクリーンとスクリーンの前にある撮影対象のオブジェクトとのコントラストは、動画エフェクトを与える際には重要なポイントとなります。

 

Premiere Proでリアルなシーン

Premiere Pro には、映像の合成をより簡単にする動画編集ツールがあります。特に、Ultra Key エフェクトは、Premiere Pro の主なグリーンスクリーン合成ツールです。 洗練されたグラフィックスやSFX のある作品を手がける場合は、加工したエフェクトをPremiere Proに移す前に、Adobe After Effects で処理することを推奨します。

 

背景の合成にUltra Key を使用する

背景を完全合成するには次の2つが必要です。まず、グリーンスクリーンを背景にした映像と、次に前景の後ろ側に来る映像、つまりグリーンスクリーンの代わりになる動画映像またはエフェクト(プレートとも呼ばれます)です。

グリーンバックで撮影した人の背景画像をAdobe Premiere Proのグリーンスクリーンツールを使用して建物の画像に変更するイメージ

Adobe Stock ライブラリの動画クリップ、テンプレート、ストックグリーンスクリーン 動画のいずれかを試してみましょう。以下の手順に従ってください。

 

1. Ultra Keyエフェクトをタイムラインのグリーンスクリーンのクリップにドロップします。グリーンスクリーンのクリップは、背景の要素を含むトラックの上に置きます。Premiere Proでトラックを追加することもできます。編集タイムラインで右側クリックをして、「動画トラックの追加」を選択しますが、タイムラインには通常、最初からトラックが3つ用意されているので、心配する必要はありません

 

2. タイムラインで動画クリップを選択しましたら、ソースウィンドウでエフェクトコントロールのパネルを選択します

 

3. エフェクトコントロールでスポイトツールを見つけ選択します。プログラムモニターで動画クリップのグリーンキーカラーをクリックします

 

4. 次に背景の映像かエフェクトをV1トラックにドロップし、クリップの長さを揃えます

 

5. 必要に応じて、ぼかし効果を入れ、Lumetri カラーを使って2つの動画クリップのカラーパレットを一致させます

 

Ultra Key で小さなオブジェクトを変換する

Ultra Keyを使えば、背景全体を変えなくても小さな部分のみ変換することができます。上記のチュートリアルの手順を踏んだ後、エフェクトコントロールウィンドウのスケール設定を使って、背景を調整またはスケールを合わせます。小さなオブジェクトは、「現実」のシーンにうまく溶け込んでいないと、余計に目立ってしまうので、ぼかし効果を使用します。

 

エフェクトの調整

Ultra Key を使う場合、設定で微調整をすることができます。よく使われる設定は、エフェクトコントロールのパネルの Ultra Key の下にある「マットのクリーンアップ」メニューオプションです。このメニューの「ソフトにする」を調整して、グリーンスクリーンで違和感が出てしまう粗いエッジをクリーンにします。

 

試してみることが重要

特殊効果を使う場合、コスチューム、カメラワーク、編集、グリーンスクリーンなどを巧みに組み合わせていく必要があります。グリーンスクリーンのみに頼ると、映像に人工的な感覚が残ってしまいます。一方、エフェクトが本物のように見えなければ、グリーンスクリーンだけの時より、より悪く見えます。このエフェクトの目的は溶け込んだような感じを出すことです。真実味と深さのある映像を作るには、なるべく多くのカメラトリック、さまざまな景色、色々な特殊効果を盛り込むことです。

 

「さまざまなタイプのエフェクトを多く使えば使うほど、エフェクトに真実味が出ます。なぜなら、人間の思考は一定量の情報しか処理できないからです。映像の各要素のクオリティが、映像の真実味を生み出すのに重要です」とバーンスタインさんは述べます。

 

映像作品を手掛ける時は、豊富なエフェクトを作り、それらを撮影方法、サウンドデザイン、編集と融合させて、そして、いわゆる映画のマジックと呼ぶテクニックのシームレスで魅力的なコンビネーションを作り出しましょう。Premiere Pro はそれを可能にします。— 今すぐ、その可能性を追求しましょう。

協力

Adobe Premiere Pro の多彩な機能

どどこにいても映画、テレビ、Web サイトに使える魅力的な映像を作成できます。

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