コンテスト写真の撮り方

出場者の第一印象は、彼らの写真が美しければ一層引き立ちます。コンテストで、魅力的な顔写真、ポートレート、スナップショットを撮影する方法を学びます。

馬の横でドレスを着て立つミスコン応募者の写真

撮影:セバスチャン・ベルストレイト

コンテスト用写真とは?

コンテスト用写真には、コンテスト申し込み用の魅力あふれる写真や、実際のコンテストでの写真などが含まれます。コンテスト用写真は、単に写真を撮るというだけでなく、コンテストの世界において重要な役割を果たします。

 

コンテストの内容にかかわらず、出場者は自分をSNS で存在感を印象付け、コンテストのプログラムやWeb サイトでより多くの写真が出るように、 本格的なレベルのポートレートを必要としています。コンテスト業界において、この特殊なタイプのポートレートを撮影する写真家は、スタイリスト、メークアップアーティスト、コーチ、チアリーダーなどさまざまな役割を果たします。

 

個性的なコンテスト用写真

メリーランドの田舎の美人コンテストでも、国際的なミスユニバースでも、コンテスト出場者は、ありとあらゆる年齢と性別から構成されています。人気のあるコンテストには、ミス・アメリカ、ナショナルアメリカン・ミス、ミスUSA、ティーンUSA、インターナショナルジュニア・ミス(IJM)、アメリカズリトル・ミス、ミスインターナショナル・クイーン、ミズ・アメリカ、ミス・シニアアメリカ、ユニバーサルロイヤリティ、オールアメリカン・ガールアンドボーイ・パジョン、ミスター・ワールド、ミスター・インターナショナル、などがあります。

スパンコールジャケットを着るコンテスト応募者の写真
ポートレート写真でポーズをとるコンテスト応募者

このようなコンテストに出場するには、プロレベルの顔写真が必要条件となります。このようなタイプの写真では何が理想的なのかは、対象人物の年齢とコンテストの趣旨によってまちまちです。

 

この分野で写真を撮る写真家を目指す場合、それぞれのコンテストの性質や趣旨をリサーチします。コンテストに合う撮影スタイルとしては、グラマラス、ナチュラル、ライフスタイル、ファッション、シングルスタイル、またはバラエティスタイルなどが挙げられます。出場者の年齢によっても、どのようなスタイルの写真が適しているか異なります。 

 

コンテスト写真のタイプ

出場者は、他の出場者との差をつけるために他の人たちとは違うタイプの写真を必要とします。このようなタイプには、顔写真やポーズを取ったファッション写真や、普段の生活空間にいるライフスタイルなどが含まれます。コンテスト用写真のタイプを下記のように分類しました。

 

顔写真:コンテストのプログラムや Web サイト用の頭から肩までの従前からの写真。

 

ポートレート: 審査員との面接の際に、審査員が写真を見てその人の個性を感じるようなポートレート。

 

ファッション写真:コンテストで歩き方を審査する場合、審査員が参考にするための全身のファッションポートレート。

 

SNS用の写真: 出場者のポートレート、ライフスタイル写真、コンテストでの写真、そしてコンテストのWeb サイトとSNS 用に使う写真。

ティアラをつけてポーズをとるコンテスト応募者の写真

撮影:リサ・G・アーティストリー 

ポーズを取った写真、ライフスタイル写真、スタジオ写真

ほとんどのコンテスト出場者は、自分のSNS用プロフィール写真に使うため、またコンテストのプログラム、Webサイト、SNSで使うために グラマー写真を必要とします。この写真には顔写真と衣装を着た全身ファッション写真の混合が含まれます。そして、他のコンテストで優勝していた場合、その時の王冠や、今回出場するコンテストのサッシュも付けると良いでしょう。

 

楽しげなポートレートにすること、または個性を出すためのライフスタイル写真にすることなども考慮します。出場者の趣味や過去の経験などがわかる写真は、SNS のプロフィール写真に向いています。「多くのコンテスト主催者は、出場者のSNS プロフィールを見て写真の質を確かめます。顔写真や、コンテストでの写真だけで判断しません。コンテストに至るまでのすべての情報を見ています」とベルストレイトさんは言います。

 

コンテスト開催中の写真

出場者であるクライアントによっては、コンテストの開催中にも写真家に撮影を依頼することがあります。出場者はこのような写真を、WebサイトやSNSで使うそうです。どのようなイベント写真もそうですが、どのようなコンテストなのか、しっかりとリサーチすることが肝心です。

 

「準備を整えるためには、どのようなコンテストなのか理解する必要があります。そうすれば、いつどのような事が起きるのか予想することができ、写真を撮ることができるのです」とベルストレイトさんは言います。

 

大半の出場者はコンテスト中、常時審査員を見ていますが、重要な場面ではカメラの方を何度か向いてもらうと良いでしょう。どの位置から撮影しているか、出場者に教えておきます。そうすれば、コンテストの間、何度かカメラの方を向いてもらえます。

 

出場者が歩いている時、または、優勝した場合、王冠を頭に乗せてもらっているシーンなどは、コンテストのポートフォリオ写真として最高のコレクションになります。コンテスト中に何らかの動きがある場合、連続して撮りましょう。タイミング次第で、出場者を優雅に見せることができます。

 

優雅な歩く姿を写すには、その人の前足が地面に着き、後ろ足が次の手順を踏むために地面から上がった、その瞬間を捉えましょう。

 

コンテスト撮影のための準備

クライアントがコンテスト用のポートレートを撮影するためにスタジオに来る前に、撮影ついて説明しておきます。コンテストに出場した経験がない人の場合、撮影には何を持ってくるか、どのようなスタイルにするべきかなど、写真家に尋ねるかもしれません。「私は、撮影の予約が入ると、クライアントにはどの程度の経験があるのか聞きます」とベルストレイトさんは言います。

 

準備するものは、大抵の場合、4種類から5種類の首の線が綺麗に見える衣服です。そして、今までに出場したことのあるコンテストのサッシュや王冠があり、それが今回の撮影にも向いていれば、それらも持ってきてもらいます。クライアントのメークアップやスタイリングを誰がするにしても、クライアントの好みを明確にしておくのが重要です。

 

「つまり、赤い口紅が嫌いな人に赤い口紅をつけたら、その人はその写真が大いに嫌うということです。ですから、前もってしっかりコミュニケーションをとります。私は、クライアントが好きなメークアップ、髪型、服などの写真を送ってもらいます」と写真家でメークアップアーティストのリサ・ G・ サイモン(アーティストリー)さんは言います。

 

クライアントをリラックスさせる

最適なポートレート写真を撮るには、クライアントに自信を持ってもらい、リラックスしてもらうことが大切です。できれば、誰かに着る衣服のスタイリングなどを手伝ってもらうと撮影がはかどります。クライアントが高校生や若い人の場合は、親などの保護者に依頼します。成人のクライアントの場合は、その人の友達等に加わってもらうと、より一層楽しい雰囲気でリラックスできます。

 

ポートレート用のポーズを上手く撮影するには、クライアントが楽しく、リラックスしていることが肝心です。クライアントへの指示は明確に行い、できれば自分でポーズを取って見せてあげます。そうすれば、なぜ特定のポーズが良く見えるのか、クライアントが理解しやすくなります。クライアントに話しかけるときは、常に支えの精神と自信に満ちた態度で接します。クライアントに厳しい目で見る親がいる場合は、そのような態度が一層重要になります。

 

「意見や感想は、常にクライアントを励ますような感で伝えます。クライアントにそのやり方は良くないと言うと、彼らは大変緊張することでしょう。そういう雰囲気は避けるべきです」とベルストレイトさんは言います。

 

疲れている空腹のクライアントは、写真写りが良くありません

撮影前にクライアントが、食事と水分を十分とり、疲れていないことを確かめます。撮影はあまり長くかからないようにします。笑い顔は修正できます。髪も編集で直せます。しかし、クライアントの気分を変えることはできません。彼らが空腹で、疲れていて、しかも厳しく批評されたら、それは表情に出てきます。撮影で真に大切なことは、クライアントを良い気分にしてあげることです」とサイモンさんは言います。

 

「私はクライアントに、なるべくたくさんの衣服を持ってくるように頼みます。しかし、撮影は2時間以内に収めるべきです。2時間以上になると、人は疲れてしまい、良い写真が撮れません」とベルストレイトさんは言います。

ポートレート写真でポーズをとるコンテスト応募者

撮影:リサ・G・アーティストリー 

色々試して作品をレベルアップ

コンテスト用写真のポートフォリオを作成しながら、色々と試して、自分と被写体にとって最適な、新しいスタイルを発見します。人目を引くスタイルや効果は、新しいクライアントを増やし、自分の作品をアピールすることができます。色の付いたジェルを照明に塗る、またはスモークマシンやフォグマシン、ボケ効果、ユニークな道具など使ってみましょう。

 

「いつもやっていることから脱却することが大切です」とサイモンさんは言います。新しいことに挑戦する時は、それが上手くいかないかもしれないと思っても、何枚か写真を撮るようにします。「カメラから見える画像だけで判断してはならないことを学びました。大きな画面で見るまでは、何が上手くいったのかそうではないかが分かりません」とサイモンさんは言います。

 

コンテスト写真をレタッチするコツ

後処理の編集は、コンテスト写真の料金に大きく影響します。クライアントは、素晴らしい写真はもちろんのこと、写真の編集も期待しています。しかし、コンテスト用写真を依頼する通常のクライアントやその他のクライアントは、きれいに写った写真以上のものを求めています。

 

出場者は彼らの最高の日に、自分らしく見せることを望みます。そのため、気高く見せるレタッチが必要になっていきます。編集のしすぎで、写真の人物がクライアントとは違う人物に見えるようになることに注意します。このタイプのポートレートの目標は、その人の個性を出しながら、コンテストに相応しい華やかさを出すことです。

 

出場者がステージに上がる時、審査員は写真を見てすぐにその人だと判別できなければなりません。「今は色々なアプリがあって、誰でもかなり良い写真を撮れますが、その人物とは異なるように見えます。その人物の最高の姿を捉え、しかもその人らしさが出ている写真というのは、なんとも言えないくらい魅力があります」とサイモンさんは言います。

 

Adobe Photoshop Lightroom で写真を整理、共有する

写真をLightroom にアップロードして整理し、露出、コントラスト、影などを調整します。Lightroom でアルバムを作り、右側クリックをして「共有および招待」を選択すると、クライアントはコメントを書き込んだり、写真家にレタッチを依頼したりするなどの指示を出すことができます。

 

Adobe Photoshopで写真をレベルアップ

百万枚に1枚しかないような特別な写真にするには、Photoshop の上級者向け編集機能を使ってみましょう。画像の背景を取り替える、色を微調整する、要らない要素を削除するなどさまざまな機能が揃っています。

 

「Photoshop の機能を良く理解すると、この業界で他の同業者を引き離すことができます。私はPhotoshop を20年使っていますが、今でもチュートリアルを見て、新たなことに挑戦しています。とても楽しくやっています。普段着でコーヒーを片手に仕事をしています。楽しく、かつクリエイティブでないといけません」とサイモンさんは言います。

カメラのモニターに写るコンテスト応募者の写真

被写体の目を確認する

コンテスト優勝者のポートレートは、女性でも男性でもその目が魅力的です。「私は、目が完璧なまでにクリアであるように撮影します。編集する時には、まず目をズームして目にピントが合っているか確認します。そして、他の部分も見て、髪に光が通り抜けているような部分に色を入れます」とベルストレイトさんは言います。 

 

コンテスト用写真の経験を積む

なるべく多くのコンテストに出かけて行き、出場者がどのような体験をするのか、彼らが写真家に何を求めるのか把握するようにします。「ほとんどの人は、コンテストがどのようなものか、ある程度の考えは持っています。多くの人は綺麗なドレスを着ているぐらいにしか考えないでしょう。でも、それ以上のものがコンテストにはあります」とベルストレイトさんは言います。

 

リサーチを十分行うと、自分の作品がどのようなタイプのコンテストに向き、成功するのかがわかります。しかし、その前に、自分の殻を破って、今まで試みたことのない撮影のスタイルに挑戦してみましょう。「自分とそのビジョンに自信を持って進んでいきましょう。それは、とても重要なことだと思います」とサイモンさんは言います。

 

コンテストの写真家として経験を積めば、出場者にアドバイスと素晴らしい写真を提供できるようになり、彼らを単なる出場者から優勝者へと、さらには全国レベルのコンテスト優勝者へと導くことができるかもしれません。 

協力

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Adobe Lightroom のプリセットで写真を簡単に編集し、クラウドの写真ストーレージ管理を使えば、どこにいても自分の作品にアクセスできます。

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