きれいなポートレート写真の撮りかた

最高の光で被写体を捉え、美しいポートレート写真を撮る方法をプロの写真家の話を通して紹介していきます。

黒を背景にした、そばかすのある女性のポートレート写真

 

Anthony Pidgeon

 

Anna Goellner

 

 

被写体と関係を築く

 

 

Shawn Ingersoll130使Pidgeon 

ファッションモデルのポートレート写真を撮る写真家
大笑いする女性のポートレート写真

Pidgeon使

 

Naba ZabihZabih

 

 

ストーリーにふさわしい光を見つける

 

ポートレート写真を成功させる要素の多くは、技術的なコントロールよりも直感に依るところが大きいと言えます。そのため、ポートレートセッションにぴったりのライティングを早めに特定し、準備しておけるとよいでしょう。スタジオ撮影の場合なら、十分に事前に準備を行なうことができます。「ドラマチックでコントラストの高いポートレートにしたい場合、自然光の場合でも人工光の場合でも、より直接的な光を使用することになるでしょう。プロの顔写真のように、ドラマチックさがあまり求められない写真の場合は、複数の光源を使用してより拡散した光のもとで撮影します。通常はもっとも明るい主光源を使用し、被写体の顔の片側を明るくします。次に顔の反対側を照らして2灯目の光源としますが、これを行なわない場合、写真は非常に印象的なものになります。3灯目を使用するかどうかは任意です。3灯目で髪の毛や背景を照らすこともできます」(Ingersollさん)

 

使調Pidgeon2調Pidgeonさん)

ポートレート写真モードで捉えられたグレーのシャツの男

自然光を使用して屋外のポートレート写真を撮影する場合は、ちょっとした工夫が必要です。屋外で結婚式を撮影したときの経験から、Goellnerさんは一日のなかで最悪の撮影時間帯は真昼であると知りました。「太陽が真上にあるので、目の下に影ができてしまうのです。そうなるとポートレート用の照明が必要になります。多くの結婚式がそうですが、真昼の結婚式の場合、必ず木を探すことになります」(Goellnerさん)

 

 

目に注目する

 

Goellner使Goellner

 

Goellner85ミリPacific Northwest」Derek Boyd200ミリ30使Boydさん)

ポートレート写真モードで捉えられたグレーのシャツの男
眼鏡をかけ髭を蓄えた男の白黒ポートレート写真
オレンジ色のシャツを着た赤褐色の髪をした女のポートレート写真

ここでカギとなるのは、ピントを選び取る能力です。

 

「一眼レフカメラで撮影する前は、すべてにピントの合う自動露出でしか撮影していませんでした。それがスナップショットと、被写体を強調するリアルな芸術写真との違いなのだと思います。いつでも被写界深度を浅くして撮影しなければならないという意味ではありません。しかし、プロスタイルのポートレートではそれが必要になります。被写界深度を浅くしてきれいな背景ボケを作る、その効果を自分で初めて確かめたときには、魔法のように感じることでしょう。私はその仕上がりを大変気に入っています。ぼやけきった背景の中で、目が光をとらえ、素敵なきらめきを放っている様子が大好きなのです」(Boydさん)

 

 

ルールを自分のものにしたら、それを破ってみる

 

多くの写真家は最初、撮影モードを「オート(自動)」にして撮影を開始します。これは被写体との関係を築き、ライティングに集中する時間を確保できるという点で非常に役立ちます。ですがPidgeonさんはオートモードが結果的に技術の向上を妨げる恐れがあると指摘します。

 

「プログラムオートは基礎的な準備としては便利ですが、創造性を高める助けにはなりません。プログラムとは『いい写真が撮れる範囲』を教えてくれるものですが、写真の世界に深く入ってゆくと『いい写真』以上のものを望むようになります。そのニュアンスをつかむためには、マニュアルモードを使用しなければなりません。同時にこれは怖いことでもあります。多くの人は『このプログラムモードはいい具合に機能するね。この状況ですばらしい写真が撮れた。もう手放せない』と感じるからです。そのプログラムは撮影者に代わって、すべての計算を行ない、多くの決定を下しています。しかし、突然、ある状況でうまく機能しなくなったりするのです。『いい写真』以上のものを望むのなら、原点に立ち返り、露出がどのように機能するかを理解し、プログラムが行なっていた計算を自分で行ない、決定しなければなりません」

 

Alex Tan31

友だちとおしゃべりする男の屋外で撮影したポートレート写真

「これはおそらく多くの写真に当てはまる経験則だと思いますが、もっとも重要なのはストーリーなのです。それこそが、モノづくりの理由、デザインする理由、映画を作る理由、物語を書く理由なのです。私はこのことを忘れないようにみなさんにすすめています」(Tanさん)

 

Zabihさんはこの考えをさらに強調します。「ポートレート写真がおもしろいのは、常識を無視することが多いからです。ある種の感情を写真に捉えることができれば、大きな成功だと思います。だから私はシャッタースピードを下げたり、普段は行なわない方法でトリミングしたり、わざとめちゃくちゃに写真を撮ってみたりします。写真の中に感情が息づいている限り、それは成功したと言えます。ポートレート写真のすばらしいところは、完璧な画像でなくても最高の作品になり得るところなのです」 (Zabihさん)

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