動画台本の作り方

マーケティング動画からYouTube まで、画面で見るものはすべて、台本の1ページから始まります。効果的な動画台本はそのような内容になっています。

動画を撮影するカメラマンと後ろで動画の台本を持って立っているディレクター

動画台本とは?

優れたい動画には、計画とアイデア、そしてフレムワークがあります。つまり、動画は台本から始まるという意味です。それがハリウッドの映画であれ、宣伝用のショート動画であれ、台本は作品を完成品として仕上げるためのガイダンスです。「台本は文字の形をした設計図です」と脚本家のメグ・スワートローさんは述べます。セリフは通常、台本の大部分を占めますが、それは動画全体を通して、場所、時間、アクションなどを知らせるガイダンスの役目も果たします。

 

台本は、撮影作業の最初から撮影後の編集まで作品に関わるほとんどすべての人を導いていきます。優れた動画脚本家は、台本の草案から 本番用の台本を書き上げるまで、常に制作の各手順を念頭に置きながら書いています。

 

動画台本の基本事項

台本を書こうとする時には、そのゴールを念頭に入れて書きます。ターゲットとする視聴者を見極め、視聴者が作品を見た時に、何をして、どう感じてもらいたいかを考えます。動画作品は、方法で視聴者に情報を与え、そして楽しませるべきです。

 

それがマーケティング用動画の場合、視聴者にはCTA(行動喚起)に反応してもらいたいでしょう。教育動画であれば、講義のキーポイントをいくつかしっかりと理解してもらい、納得して講義を終了してもらうのが理想です。自分のブログがある場合、視聴者には1個人としてのつながりをもちたいでしょう。映画であれば、観客の感情を呼び起こし、スクリーンから何かを感じてもらいたいと思うでしょう。どのタイプの動画にも目標があります。脚本家は、その目標を把握しておく必要があります。

 

例えばYouTube 動画のような、オンライン動画のコンテンツを作成しているのであれば、検索エンジンの最適化(SEO)についても考慮する必要があります。ターゲットとするべき適切なキーワードを見極め、会話、ボイスオーバー、タグの中になるべく自然な方法で入れていきます。その場合も、台本は視聴者に情報を与え、視聴者を楽しませる必要があります。強くキーワードにこだわると、まるでマーケティング専門家が書いたようになります。実際にマーケティング専門家で、検索エンジン運営者のような鋭い目を持っていたとしても、普通の言葉づかいに気を使います。検索エンジンだけでなく、人に訴える良い文章で台本を書くように心がけましょう。視聴者は、書き手が自分の言葉で書いているかどうか感じ取ることができます。

動画台本をもとにさまざまなシーンを撮影する俳優とカメラマンの3つの画像

撮影:カイル・ロフタス

台本の構成

動画台本は、かなり特殊な形式で書かれています。動画の主要関係者であるプロデューサー、技術者、俳優といった人々は台本を一目見ただけで、自分達にとって必要なものは何かがすぐわかります。「形式がとても重要です。初心者とプロの脚本家の違いは、その形式です」とスワートローさんは言います。

 

スラッグライン

スラッグラインは、シーンの簡単な時間設定と場所の設定を示します。スラッグラインは、シーンの最初にあり、読む人にアクションが起きるのが室内か屋外か、シーンを撮影する場所はどこか(例えば街の通り、レストラン、スタジオなど)、そして昼か夜かを示します。スタジオで撮影したマーケティング動画のスラッグラインは以下の通りとても簡潔なものになっています。

 

スタジオ内、昼間

 

カメラを構えたインタビューアーが、街頭で人々からの意見を収録するような動画の場合は、次のようになります。

 

屋外、通り、昼間

 

このような感じで進みます。

 

アクションライン

アクションラインは、シーンで何が起きているか、シーンの最初に登場人物が何をしているかを表し、ディレクターや他のスタッフに最初のシーンをどのようにするかわかるように示します。例えば、マーケティング動画の初めの画面でホストがスタジオにいたら、アクションは次のようになります。

 

ホストがすでに机にいるスタジオで開始。製品デモのための品物がテーブルの上にあり、スクリーンの端に見えている。

 

セリフ

セリフは通常、たくさんの言葉からなります。カメラに映っている人が話している言葉だけでなく、他にはボイスオーバーもあれば、画面上に映っている箇条書きや、画面の下の字幕やキャプションもあります。話し手の名前は通常、台本の中央に書かれていて、監督やその他の関係者が話し手は誰なのかすぐに分かるようになっています。

 

台本を書く時には、多く書きすぎないように注意します。「つい、多く書きすぎてしまいます。あるプロデューサーに『君はアクションラインを描きすぎる。まるで演出してしているみたいだ』と言われたことがあります」とスワートローさんは言います。台本を書く時には、アクションラインと必要な演出のみに絞ります。身振り手振り、または登場人物の動きが止まる時などすべて書く必要はありません。 

 

台本は、作品を創造する人々に重要な資料です。制作スタッフの誰もがその創造性に寄与することができます。俳優はカリスマ性をもたらします。セットデザイナーは感性とムードを作ります。ビデオエディターは動画のペースとタイミングを判断します。動画制作では、他のクリエーターも躍できる余地を残しておきましょう。

台本に基づく動画撮影用の三脚付きビデオカメラと3か所に設置された照明
2人の人がテーブルに座ってパソコンで動画の台本をレビューしている様子

台本を書いていく中で自分が考えている撮影方針を具体化していきます

台本作成は大抵の場合、共同作業となります。「他の関係者から意見を聞くのは大切です。私は1人で台本は書きません。他の関係者に自分の仕事を見てもらうことが重要です」とスワートローさんは言います。台本を書く時は、何回か書き直す覚悟が必要です。監督は、初校の台本を使って撮影をしません。台本を煮詰めていくにつれ、メッセージの伝え方を見極め、自分の言いたいことを練り上げていきます。

 

台本を書くために絶対に必要なソフトウェアというものはありません。しかし、Final Draft のような特別なソフトウェアは、形式など台本の形態を整えるのに役立ちます。Google Docsで台本を書くこともできますが、台本作成に適切なツールを使えば、よりスムーズに書くことができます。

 

台本づくりの最終段階に入っていく場合、それが終わりではないことに注意します。台本が仕上がったら、作成したその作品をクリエイティブな専門家に手渡すことになります。そしてこの専門家は、設計図である台本を吟味し、良い作品へと創り上げていきます。可能な限り、盤石な台本を書くことで、動画全体がまとまりのあるものになります。

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