HDRを効果的に使って After Effectsプロジェクトの魅力を高めましょう HDR対応ハードウェアなら 作業中にHDRが正確に表示されます ビデオをよりくっきりと映画のように見せるための ワークフローを学んでください モーションデザイナー/アートディレクターの Jessです まず、理解すべきは ハイダイナミックレンジ(HDR)とは何かです HDRはビデオの 明るさ、つまりnitという単位の 輝度を上げ 色を鮮やかにし コントラストを高めます SDRと呼ばれる標準ダイナミックレンジは 最高で100nitですが HDRは最低で400nitです HDRは明るいだけではありません HDR対応のディスプレイでは ディスプレイのバックライトを暗くしたり 消したりすることで 黒い部分がより暗く表示され その結果、黒が濃くなり コントラストが高くなります ビデオのダイナミックレンジには 色域も関連します 色域とは、モニターやカメラなどの デバイスで使用される 色の範囲のことです SDRビデオではRec.
709色域が使われますが HDRではDCI-P3か それより広い色域が使われます また、10-bit以上の 色深度も必要です この広い色の範囲で 滑らかにカラーをマップするには 8-bitでは 不十分だからです 市販のHDR対応ディスプレイは 大抵4K解像度にも対応しているため 4Kが必須だとお思いかもしれませんが HDRコンテンツは1080pで作成できます まとめると、HDRビデオは DCI-P3またはそれより広い色域 10-bit以上の色深度を使用し 輝度は最低でも 400nitに達します これでHDRの概要は理解できたので 演習用のサンプルプロジェクトファイルを 開いてください まず、プロジェクトの 作業用カラースペースを HDR設定にします プロジェクトパネル下部にある 色深度「8 bpc」ボタンを クリックして プロジェクト設定ダイアログを開き 「カラー設定」を表示します 「ビットデプス」ドロップダウンをクリックして 「32 bit/チャンネル(浮動小数点)」 に変更します 「作業カラースペース」は 「なし」になっていますが ドロップダウンからHDR作業スペースを選択します 「Rec2100 PQ」や「Rec2100 HLG」などです Rec2100は、より輝度の高い 2020のカラースペースを使用します PQとHLGは、HDR伝達関数です 伝達関数は 光と色の範囲を HDR対応ディスプレイで正確に再現できる 形式に変換し 輝度をディスプレイの性能に 対応させるとともに 光とコントラストの見え方に 合わせます HDR伝達関数には Perceptual Quantizerと Hybrid Log Gammaがあり 目的が異なります PQは、正確な輝度とカラーを 静的/動的なメタデータワークフローで実現するため 映画やストリーミングのコンテンツに 用いられるのに対し HLGは、HDRとSDRの両方のディスプレイと 互換性があるため ライブ放送に適しています 「Rec2100 PQ」を選択して 「OK」をクリックしましょう 画像が明るく 背景が暗くなりました PCで作業している場合 WindowsではHDRをオンにする必要があります 設定/システム/ディスプレイを選択すると HDR設定メニューがあります これが表示されない場合 モニターがHDRに対応していない可能性があります すべてを適切に表示するには 入力フッテージのカラースペースも 確認する必要があります この場合 2つのEXR画像シーケンスがあります プロジェクトパネルで 一方の画像シーケンスを右クリックして フッテージを変換/メイン...
を 選択します パネル上部の「カラー」タブを クリックします 今このメディアには カラースペースが設定されていませんが デフォルトでsRGBカラースペースが 割り当てられています これらのシーケンスは 3Dソフトウェアで ACEScg作業用スペースを使用して作成されたので そのカラースペースを このメディアに割り当てる必要があります ドロップダウンをクリックして 「ACEScg」を選択します 映像の場合も 手順は同じです ただし、読み込んだメディアに 該当するカラースペースを 選択する場合を除きます 埋め込まれている 正しいカラープロファイルが クリップに読み込まれることがあります このパネルには 実行する変換についての 詳しい説明も示されています 「OK」をクリックしましょう このプロジェクトの画像シーケンスは2つだけですが 画像シーケンスが多いと カラースペースの変更は面倒です 同じメディアの場合 変更を加えたフッテージを 右クリックして 「フッテージを変換」 「変換を記憶」の順に選択し 変更したいメディアを選択して 右クリックし 同じメニューから 「変換を適用」をクリックすると このメディアも同じ設定になります 正確なカラー補正のために Lumetriスコープを 使用している場合 パネル右下のドロップダウンで Lumetriスコープ表示を HDRに 切り替えることができます このコンポジションに CC Glassなどのエフェクトを適用しましょう フェクト&プリセットパネルを開くために ウィンドウメニューから 「エフェクト&プリセット」を選択し 「CC glass」と入力します このエフェクトは横に 「16」というアイコンが表示されています このエフェクトが16-bitの色深度に 対応しているという意味です このパネルでエフェクトの 横にある数字は サポートされている色深度を示しています このプロジェクトの色深度は サポートされている色深度より大きいため このエフェクトを HDRコンパンダーという別のエフェクトではさみます これは 圧縮と伸張のエフェクトです シーンをSDRの範囲内に 圧縮し 目的のエフェクトを適用してから 伸張して元に戻します タイムラインで「HDRコンパンダー」という 調整レイヤーをクリックします コンポジションビューアの左にある エフェクトコントロールパネルをご覧ください すぐに例をお見せできるよう このレイヤーには既にエフェクトを適用してあります 1回目のHDRコンパンダーを適用して SDRの範囲内に 画像を圧縮するために 「ゲイン」と「ガンマ」の値を調整します 次にCC Glassエフェクト、 最後にコンパンダーエフェクトを適用します このエフェクトは 1回目と同じ値になっていますね 2番目のインスタンスの「モード」を 「レンジの伸張」に変更してHDRレベルに戻します HDRコンパンダーエフェクトについて 説明したので 調整レイヤーを非表示にしましょう このHDRビデオを書き出すには 上部のコンポジションメニューから 「Adobe Media Encoderキューに追加...」
を 選択します Media Encoderには いくつかのプリセットがあります 「形式」で 「HEVC (H.265)」を選択し 「プリセット」で 「HEVC - ソースの一致 - PQ」を選択します もちろん、コンテンツや 最終出力の要件に応じて 別のHDR形式を 選択することもできます 出力先を選択し 「再生」ボタンを押してレンダリングします HDRに対応した ディスプレイやカメラ、テレビが普及するにつれ HDR需要は高まっています HDRの扱いは少し難しそうですが HDRがより身近になり ビデオがより鮮やかにくっきりと 表示されれば 嬉しいですよね HDRは、明るい部分をより明るく 暗い部分をより暗く表示することで 映像のクリエイティビティを高めます ガラスのようなテクスチャも 多くの鮮やかな色を生み出します HDRを使って、映画のシーンを ドラマチックなライティングで撮影して ハイライトやシャドウの ディテールを向上させたり 映画のような魅力と高い色再現性を備えた ビジュアルを制作したりしてみませんか HDR技術についての理解を 深めるための情報は たくさん公開されています HDRには、クリエイティブな可能性と After Effectsのワークフローを向上させる 力があります
