コンセプチュアルフォトの世界を探る

ファインアート、写真、想像力が出合う場所、そのアイデアがコンセプチュアルフォトの中核をなします。カメラとデジタルアートツールを使ってコンセプトを形にする方法を学び、ひと際目立つ作品を作るためプロからもアドバイスを受けましょう。

宇宙飛行士のスーツを着て、花びらが入ったヘルメットを被りポーズをとるモデル

撮影:アニヤ・アンティ

コンセプチュアルフォトとは?

コンセプチュアルフォトには、明確なテーマがあるわけではありません。むしろ、アイデアから突き動かされたものと言えます。カメラと作成用のソフトウェアを使って、頭の中にあるストーリーやコンセプトを目に見える形にしていきます。コンセプチュアルフォトはファインアート写真一種で、ビジュアルアーティストたちの場合、それぞれのアイデアを表現するために、ただ被写体をとらえるだけではなくデジタルツールを使ってそれ以上のことをします。

 

コンセプチュアルフォトは、多くの写真のジャンルから成るコンセプチュアルワークの一つのカテゴリです。コンセプチュアルフォトの中には、風景写真、静物写真、ポートレート、ドキュメンタリー写真でさえも含まれます。コンセプチュアルフォトを思い描く際は、シュールレアリズムと芸術の抽象的な概念がしばしば重要な役割を果たしますが、その作成方法は無限です。

 

コンセプチュアルフォトが、写真家の興味やアイデアをかき立てるからといって、それが 商業写真して使われないということではありません。広告はメッセージを伝え、商品を売るためにコンセプチュアルフォトを使いますし、化粧品のキャンペーンにおけるハイファッション写真には、コンセプチュアルポートレートがよく使われています。

顔に花びらを付けてポーズをとるモデルのコンセプチュアルフォト
2枚の写真が上下に。上の写真は宇宙服を着た子供が風船を持って石の上を歩いている。下の写真は芝生の真ん中で円を持った赤い服を着た二人が立っている。

アイデアがすべて

多くのアートの形態において言えることですが、コンセプチュアルアートは特に重要です。

「テクニックが足りなくても、ビジョンがあれば興味深い作品になります。アイデアよりテクニックを重視する人は確かにうまいですが、作品はつまらないものになります」(コンセプチュアルフォトグラファー/アニヤ・アンティ)

 

人々を引き付けるアイデアを生み出すためにはインスピレーションが必要です。

「インスピレーションは、運動をする際に必要な筋肉のようなものです」(アニヤ・アンティ)

長い期間をかけて視覚的に体験したことを集めた、ライブラリのようなものを想像します。インスピレーションのカタログが出来上がれば、さまざまな興味の対象、アーティスト、アイデアを見つけ構想する際に役立ちます。

 

インスピレーションを見つける方法

「写真だけではなく、アート全般をよく見て学び、お気に入りのコンセプチュアルアーティストをフォローします。ギャラリーや美術館に行ってアート体験を積みましょう。人それぞれの味わいやアーティスト的なビジョンを築くことが大切です。なぜなら、撮影技術やソフトウェアの使い方は学べますが、初心者はビジョンが乏しいと感じているからです」(アニヤ・アンティ)

 

美しいポートレートでも、空想世界の風景でも、シュールな静物写真でもかまいません。ムードボードは、コンセプトを発展させるために大変役立ちます。雑誌や日常生活、BehanceようなSNSサイトから、コンセプチュアルフォトの手本になるようなものを集めてください。好みの写真と同じような感じで撮ってみるのもいいです。初心者にとっては、良い練習方法になります。
 

宇宙服を着たモデルの写真

コンセプチュアルフォトの撮り方

インスピレーションが湧いて作りたいもののアイデアが固まったら、それを写真で表現します。

 

アイデアをスケッチしてプランを立てる

「私はアイデアが思い浮かんだらまず、Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorで場合によってはカラーでスケッチします。そうすることでコンセプトを可視化できます。これはチームで作業するときにも、とても役に立ちます」(アニヤ・アンティ)

スケッチは一本線の図形や基本的なものを描いた簡単なものでも、細部まで描き込んだものでもかまいません。自分のアイデアを具体化させられればいいのです。

「スケッチをイメージひとつひとつの要素に分けて、詳細に分析してください」(コンセプチュアルフォトグラファー/マイケル・デイビッド・アダムズ)

構図、色、パレット、小道具、照明に関して気になることはすべて書き出しておき、撮影計画を立てる際に使います。

 

撮影に必要な要素を集める

「私は普段、写真を撮る際、1枚だけではなく、後でAdobe Photoshop に取り込んで作品を作るための素材を集めるようにしています」(アニヤ・アンティ)

コンセプチュアルフォトグラファーの多くは、複数の画像を切り取って合成し、作品を仕上げていきます。このような画像は構図の組み立てが完璧ではありませんが、それらはむしろ最終的な写真に含まれる要素、成分なのです。

 

書き留めたメモやスケッチによって、求める写真のイメージが湧いてきます。合成写真を作る際は、光と色に注意してください。1枚は後ろから光が当たり、もう1枚が横から光が当たっていたら一致しているようには見えません。同様に、室内の低い色温度で撮影したものと、 ゴールデンアワーに屋外で撮影したものとでは、同じ画像のようには見えません。

 

その作業が撮影時にできていれば、後に合成写真を編集する際にムダな時間が省けます。「リアルな合成写真を作るためには、できる限り撮影でそろえたものでデザインしてください。私は、ストック写真はほとんど使いません」(アニヤ・アンティ)

 

写真を作成する

すべての素材が集まったら、作品作りに入ります。

 

「私は撮影が終わったら、コンピューターと向き合います。ここで起こることはすべてがマジックで、最もエキサイティングな瞬間です。自分のイメージが、最終的に目で見えるようになるわけですから」(アニヤ・アンティ)

 

コンセプチュアルな写真には、編集やレタッチだけで完成するものもありますが、ビジョンを具現化させるためにより多くの作業を必要とするものもあります。

「編集の過程はシンプルで、要素、マスキング、カラーマッチングがすべてです」(マイケル・デイビッド・アダムズ)

Adobe Photoshopのチュートリアルで、レイヤーマスクの作り方、それを使って画像を合成する方法を学びましょう。

ランプシェードを頭にかぶったモデルの写真
大きな氷の上に座る氷を抱えたモデルの写真

撮影:アニヤ・アンティ

コンセプチュアルアーティストとして発信する

「最も困難なことは、どこまでやるかを見極めること。もっとできるのはないかと思ってしまうからです」(マイケル・デイビッド・アダムズ)

ファインアートの写真家になるには、批評家的な視点を養わなければいけませんし、それには練習が必要です。

「数日間作品から離れて戻ってみれば、新鮮な視点で見られるようになります」(マイケル・デイビッド・アダムズ)

作品を一般に公開するのは、勇気がいることです。

「コンセプチュアルアーティストを志望する人に対しては、他者の意見を聞きながらも自分に正直であれ、とアドバイスしています。自分が信じることに対して情熱を持ってやることです」(アニヤ・アンティ)

始めたばかりの頃は、機材やテクニックに重きを置かないほうが良いでしょう。

「特にコンセプチュアルフォトグラファーにとって、アイデアはカギとなります。テクニックは後からついてきます」(アニヤ・アンティ)

身につける唯一の手段は、経験を積むことです。これはというアイデアが浮かんだら、あまり考えすぎず、芸術的ビジョンが生まれてくる過程を楽しみましょう。

寄稿

Adobe Photoshop Lightroom の多彩な機能

Adobe Lightroom のプリセットで写真を簡単に編集し、クラウドの写真ストーレージ管理を使えば、どこにいても自分の作品にアクセスできます。

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