※ 本記事は「デジタルカメラ・マガジン」2020年11月号(発行:株式会社インプレス)の特集記事を抜粋したものです。
写真・文 ● 藤原嘉騎

全体的に写真の明るさを保ちつつ、写真中央のジャンクションに視線を誘導することを目指したい。どうしても全体を明るくするとジャンクションは目立たなくなってしまうのだが、ジャンクションのオレンジの光を鮮やかに調整すれば引き立つ。明るさを足した上に明るさを足す作業は白飛びしやすい。そのあたりを注意しながら慎重に現像作業を行う。

ソニー α7R Ⅲ/FE 16-35mm F2.8 GM/35mm/マニュアル露出(F8、20秒)/ISO 100/WB:オート
「レンズ補正」のプロファイルを適用。「基本補正」のプロファイルはカメラ人物に。露光量を+1.20、コントラストを+26にして、明る過ぎる部分はハイライト−52、白レベル−8で抑える。
ポイントカーブで入力51を出力57に、入力117を119に、174を191にして、シャドウとハイライトを持ち上げる。
都市夜景らしさを出すために「キャリブレーション」を使用して全体の青みを強めたい。青が濃くなり過ぎるのでブルー色度座標値の彩度を+41にして抑える。
濃くなり過ぎた青みを抑えるため、アクアの彩度を−100に。オレンジの色相を+8、彩度を−15、輝度を−7にする。イエローの色相を−13、彩度を+5、輝度を−33にする。
<色の調整>
アクアの彩度を下げて青みを抜き、メインとなるジャンクションのオレンジ色を調整する。ターゲット調整ツールで写真中央のライトにカーソルを合わせた状態で、上下に動かして調整する。イメージよりもオレンジ色が強いと感じたので、色相を少しイエローに寄せた。その結果、くどいように感じたので彩度を落として落ち着かせてから輝度を下げてオレンジ色のバランスを整えた。

ジャンクションの下にある一般道の青色の光が、オレンジがかっている。「明暗別色補正」のハイライトの色相を217、彩度を15にすることで、オレンジからやや青に変更。暗いビルにジャンクションのオレンジの光が当たっているように見せるため、シャドウの色相を43、彩度を5にする。
最終的な色の調整は「トーンカーブ」で行う。色温度で行っても良いのだが、トーンカーブの方が細かな調整が行える。写真全体がオレンジ気味であるのでトーンカーブのブルーチャンネルをクリックし、入力114を出力123にする。
右上の街明かり部分を選択する。色温度を28に、ハイライトを−36にして街明かりから青みを抜く。
<部分補正>
右奥の街明かりが青みを帯びていて主題である高速道路のジャンクションのじゃまになっている。そこで全体になじむように円形フィルターで青みがかっている場所全体を選択し、色温度を上げて黄色をプラスする。目立つ明るさはハイライトを抑えて調整する。色温度は画像全体の色が変化するので、全体をしっかり見ながら調整のし過ぎに注意したい。

ブラシのぼかしを50にして2カ所なぞる。左側はハイライト−2、白レベル100、中央は露光量を1.07、白レベルを100に。
<部分補正>
ジャンクションの輝きを補う。左側のうねったハイウェイをなぞり、ハイライトを下げて白レベルを+100にする。ハイエストライト部分をさらに明るくすることできらびやかさが増す。次により目立たせたい中央付近のハイウェイをなぞる。こちらは露光量と白レベルをアップ。明るさをプラスすることで、こげ茶色の道路と光跡の明暗差が強調されてメリハリが生まれる。

テクスチャを−35にして重たい印象を抑え、白レベルを6、シャープを37にして硬質なジャンクションのイメージを保つ。
<部分補正>
都市夜景はキラキラと光り輝き美しいのだが、垂直に立ち並ぶコンクリートの建物が多いせいかどうしても硬く重たい。そこで「段階フィルター」で写真全体を選択してテクスチャを下げることでほのかにぼかす。「段階フィルター」を使用したのは効果のオン/オフが確認しやすいから。シャープと白レベルをアップすることで都市夜景の質感を残しつつ柔らかさと輝きを持たせる。

