チュートリアル記事

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15 分

写真1枚で奥行きがあるアニメーションを作る方法

パララックスとは、視差効果のこと。ビジュアルデザインにおいては、複数のレイヤー画像に対して異なる動きとスピードを加えることで視差を生み出し、立体感や奥行き感を演出するアニメーション手法を指します。ここでは、Photoshopを使って1枚の写真からパララックス効果を作り出す方法を解説します。まずは、下の1分動画で制作工程を確認しましょう。

必要なもの

本チュートリアル内で使用する主な機能
クイック選択ツール、なげなわツール、コンテンツに応じた塗りつぶし、変形、スマートオブジェクト、タイムラインパネル、Web用に保存

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手順1/7

ファイルを開き、レイヤーを複製する

Photoshopを起動し、「ファイル」→「開く」から練習用サンプルファイル「parallax_effect_skycar.psd」を選択して「開く」をクリックします。ファイルが開いたら、「ウィンドウ」→「レイヤー」から「レイヤーパネル」を表示します。

「レイヤーパネル」で「レイヤー0」を選択し、ダブルクリックします。レイヤー名を「Sky」と入力します。この「Sky」レイヤーを選択している状態で、マウスを右クリック(Windows)またはControlキーを押しながらクリック(Mac)し、表示されるメニューから「レイヤーを複製」を選択します。ダイアログが表示されるので、レイヤー名を「Buildings」と入力して「OK」をクリックします。レイヤーパネルに新しいレイヤーが追加されます。

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手順2/7

「クイック選択ツール」で空を選択して削除する

レイヤーパネルで「Sky」レイヤーの左横にある目のアイコンをクリックし、レイヤーを非表示にします。

次に「Buildings」レイヤーを選択して、ツールパネルから「クイック選択ツール」を選択します。画面上部のオプションバーから「ブラシオプション」を開き、設定を「直径:10px、硬さ:100%、間隔:1%」にします。

空のエリアをドラッグしながら選択範囲を広げていきます。空のエリアがすべて選択されたら、「Delete」キーを押して削除します。選択範囲を解除するには、「選択範囲」→「選択を解除」をクリックします。

ヒント :選択している途中で作業をやり直したい場合は、「Control」 + 「D」キー(Windows)または「Command」+ 「D」キー(Mac)を押して選択を解除し、再度選択を開始してください。

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手順3/7

「コンテンツに応じた塗りつぶし」で空だけのレイヤーを作成する

レイヤーパネルで「Sky」レイヤーの左横にある四角をクリックし、レイヤーを表示します。続いて「Buildings」レイヤーの目のアイコンをクリックして、レイヤーを非表示にします。画面には元の画像が表示されています。

「Sky」レイヤーを選択した状態で、ツールパネルから「なげなわツール」を選択し、ビルを大まかに囲みます。多少、空のエリアが選択されてもかまいません。

次に「編集」→「塗りつぶし」を選択すると、「塗りつぶし」ダイヤログが表示されるので、「内容」のドロップダウンメニューから「コンテンツに応じる」を選択し、オプションの「カラー適用」にチェックを入れて「OK」を押します。

画像全体が空で覆われました。

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手順4/7

レイヤーをスマートオブジェクトに変換して変形する

レイヤーパネルの「Sky」レイヤーを選択した状態で、マウスを右クリック(Windows)またはControlキーを押しながらクリック(Mac)し、メニューから「スマートオブジェクトに変換」をクリックします。続けて「Buildings」レイヤーの目のアイコンをクリックし、レイヤーを表示して同様にスマートオブジェクトに変換します。

ヒント :レイヤーを「スマートオブジェクト」に変換すると、元の画像は別の場所に保存されるため、作業画面上で画像を拡大・縮小しても画質が劣化することはなく、いつでも元の画像に戻ることができます。スマートオブジェクトについて詳しくはこちら をご覧ください。

次に「Buildings」レイヤーを選択した状態で、「編集」→「変形」→「拡大・縮小」をクリックします。画像の周囲にバウンディングボックスが表示されるので、「Alt」+「Shift」キー(Windows)または「Option」+「Shift」キー(Mac)を押しながらハンドルを外側にドラッグし、ビルの画像を一回り大きく拡大します。「Enter」キーを押して変形を確定します。

キーフレームによるアニメーション

ここからは、アニメーションを作成していきます。作業に入る前に、キーフレームによるアニメーションのしくみについて説明します。アニメーションは、静止画像が連続して何枚もつながった状態でできており、その1枚1枚をフレームと言います。キーフレームは、アニメーションの起点と終点になるもので、特定のフレームに対して大きさや位置、不透明度などを指定します。例えばA地点のフレームにキーフレームを設定し、画像を拡大します。B地点のフレームには別のキーフレームを設定し、画像を縮小します。すると、A地点からB地点までのフレーム間で、画像の大きさが徐々に変化するアニメーションが自動的に生成されます。

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手順5/7

ビルが縮小表示されるアニメーションを作成する

ここからは、「タイムライン」パネルを使用してそれぞれのレイヤーにアニメーションを設定していきます。まずは、ビルが徐々に縮小表示されていくアニメーションを作成してみます。

「ウィンドウ」→「タイムライン」をクリックし、「タイムライン」パネルを表示します。次に、「タイムライン」パネルの中央に表示されている「ビデオタイムラインを作成」をクリックします。タイムラインに「Sky」と「Buildings」の2つのレイヤー(ビデオレイヤー)が表示されます。

「Buildings」の左横の「>」をクリックします。「変形」「不透明度」「スタイル」の3つの項目が表示されます。この項目を設定することで、静止画像にアニメーションをつけることができます。まず、現在の時間が「0:00:00:00」になっていることを確認し、「変形」の左横のストップウォッチのアイコンをクリックします。タイムラインに黄色い菱形が表示され、これがキーフレームとなります。

「時間インジケーター」を右方向にドラッグして「[05:00f]まで移動させます。この位置で「変形」の左横の菱形をクリックし、キーフレームを追加します。

続いて、「Buildings」レイヤーを選択した状態で、「編集」→「変形」→「拡大・縮小」をクリックします。「Alt」+「Shift」キー(Windows)または「Option」+「Shift」キー(Mac)を押しながら、バウンディングボックスのハンドルを内側にドラッグし、ビルの画像を元の大きさまで戻します。「Enter」キーを押して変形を確定します。

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手順6/7

空が流れるアニメーションを作成をする

今度は、空が下から上へ流れていくアニメーションを作成してみましょう。

タイムラインパネルの「Sky」の左横の「>」をクリックします。「時間インジケータ」を「00」まで戻し、「変形」の左横のストップウォッチをクリックして、キーフレームを設定します。次に「時間インジケータ」を[00]から[05:00f]までドラッグして移動させます。この位置で「変形」の左横の菱形をクリックし、キーフレームを追加します。

続いて、「Sky」レイヤーを選択した状態で、「移動」ツールを使って画像を上にドラッグして移動させます。

再生ボタンを押して確認してみましょう。ビルが縮小表示され、空が下から上へ流れていくアニメーションが完成しました。

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手順7/7

アニメーションGIFに書き出す

完成したアニメーションをWebで表示させるために書き出してみましょう。「ファイル」→「書き出し」→「Web用に保存(従来)」をクリックします。「Web用に保存」ウインドウが表示されたら、ファイル形式を「GIF」に設定し、サイズや画質、アニメーションのループ回数などを指定して、「保存」をクリックします。

Photoshopで作成したアニメーションが、GIFファイルとして書き出されました。完成した作品を見てみましょう。

いかがでしたか。Photoshopと1枚の写真だけで、パララックス効果のアニメーションを作成することができました。

アニメーションGIFは、今や多くのSNSやブログサイトで見かけます。あなたもぜひ、アイデアを活かした楽しい作品を投稿してみましょう。


2022年6月27日

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