美しい横顔のイラストの描き方:男性・女性・老人・子供の描き分けや少し角度のついた斜め横顔を描くコツ

漫画やイラストで人物を描く時に、真正面顔だけでなく横顔など横からのアングルの絵が描けると、表現の幅がぐっと広がります。

横顔のポイントとなる輪郭の描き方や目や耳の位置などの基礎編から、男性・女性・老人・子供など性別や年齢による横顔の描き分けのポイントや角度のつけ方などの応用編まで、美しい横顔のイラストの描き方を紹介します。人物を描くバリエーションを広げるためにぜひ役立ててください。

正面顔と横顔の整合性が大切

「横顔がきれいに描けない」

「正面顔と横顔とで、目や耳などのパーツの配置がずれてしまう」

「横顔を描くと絵が平面的になってしまう」

漫画やイラストで人物の横顔の描く時に、こうした悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。顔を横から描くと、額や鼻、顎といった顔の凹凸が明確になります。

つまり正面顔の場合は、目から鼻までの距離や、鼻の下や顎の長さなどのバランスが悪くてもあまり目立ちませんが、横顔になるとそれらの配置のバランスが悪いと、違和感が強くなってしまうのです。

逆に言えば、人物の顔を造形する時は、正面からだけでなく横からのアングルもあわせて設定しておくことで、バランスのとれた顔の造形が可能になるということです。

漫画やアニメ、ゲームなどのキャラクターの設定図は、顔や全身図を、正面や横でつくられていることが多いので、参考資料としてみるのもよいでしょう。

正面顔と横顔を真横に並べてパーツごとの高さを確認

今回は、横顔の描き方の練習なので、まずは正面顔と横顔を真横に並べ、パーツごとの高さで線を引いてずれがないかを確認してみましょう。

正面と横、それぞれのバランスは同じ。正面の絵から横顔の練習をしてもよいでしょう(イラスト:Saku.U)

図は日本の漫画などで描かれる人物の顔においての、各パーツの大体の大きさと配置のバランスの一例です。リアルな絵柄やデフォルメの大きい絵柄など、描く方それぞれの絵柄によって異なりますので、自分自身の絵柄に合ったバランスを見つけられるとよいですね。

横顔の描き方の基本

横顔の描き方の基本を紹介します。横顔も正面の顔と同じく円形を描く、円形に十字を描き位置を意識することなどがポイントです。

横顔も正面顔と同じように最初に円形を描く

顔の描き方の基本として、最初に円形を描いて十文字を切り、目や鼻、口などをバランスよく配置するという方法があります。人間の頭部は球状なので、正面顔だけでなく横顔を描く場合も同じです。

横顔を描く場合には、顔の部分にのみ意識が向いてしまい、うっかり後頭部の存在を忘れてしまうこともありますが、最初に円形を描いておけば、頭部もバランスよく描くことができます。

円形の顔側の下に四角形を描く

丸と四角を組み合わせ、横顔のベースを作ります(イラスト:Saku.U)

正面顔を描く場合は、最初に描いた円形の中に、顔のパーツを配置していきますが、横顔の場合は、顔の側の下部にもう1つ四角形を描きます。

骨にあてはめると円形が頭骨の部分、四角形が鼻骨から上下の顎骨の部分のようなイメージです。四角形は鼻の高さの分、円形から少しはみ出る大きさになります。

円形の十字の交差点の少し下に耳を描く

円形の十字の交差点の少し下、後方あたりに耳があります。耳の上部と同じくらいの高さに目があります。耳の付け根と目の中央、鼻の付け根は同じくらいの位置にしましょう。

四角形の縦線中央に鼻、底辺の横線中央より前に顎の先を描く

ベースに鼻、口、顎を描き加えていきます(イラスト:Saku.U)

四角形の縦線の中央あたりに鼻の一番高い部分、底辺の横線の中央より前あたりに顎の先を配置します。

リアルな人間、特に日本人の横顔の場合、鼻先から顎の先にかけて結んだラインはほぼ平坦ですが、少し角度があった方が美しく見えるため、漫画などで人物を描く場合は、鼻の高さと顎の位置を工夫してみましょう。

唇は鼻先から顎先を結んだラインからはみ出ないように描く

また、唇はこの鼻先から顎先を結んだラインからはみ出ない位置にした方が、美しく見えます。

首のつき方は少し斜めに先に描く

注意したいのは、首のつき方。首の部分の骨は背の方につながっているため、横顔を描く場合は、首は少し斜めにつきます。髪などで隠れる場合も、先に首をきちんと描いておくと安定感が出ます。

横顔パーツの開閉を描くコツ

横顔で顔の動きを表現する場合は、正面顔とどういったちがいがあるのでしょうか。目と口の開閉を例に、ポイントを解説します。

横顔で目の開閉を描くコツは?

目は、骨のくぼみ部分に眼球がすっぽりと入っています。漫画やイラストで描かれる目は、かなりデフォルメされているため、開いた目を横から見た場合の表現方法は絵柄によってさまざまですが、閉じた目を描く場合は眼球の丸みを反映すると自然なまぶたが描けます。

横顔で口の開閉を描くコツは?

口を開けるという動作は下顎を下後方に下げるイメージで(イラスト:Saku.U)

口の開閉は、下顎のみが動いています。正面から顔を見ると、口の開閉にともなって下顎が上下に移動しているだけのようですが、横から顔を見ると、口の開閉にともなって下顎が後ろに引かれているのがわかります。

口を開けた場合は、基本の横顔を描いた際の鼻先から顎先にかけてのラインよりも、少し後ろに顎を描くとよいでしょう。

ただ、絵柄によっては、リアルな人間の動きに沿うと、イメージに合わない場合もあるため、こうしたポイントは絵柄や作風に合わせてケースバイケースで取り入れましょう。

性別や年齢による横顔の描き分け方

初めに触れたように、横顔は顔の凹凸が明確に出ます。ポイントを押さえて、性別や年齢による顔の構造の差異を描き分けてみましょう。

まず、横顔に限らず、身体ほぼすべてのパーツを描く場合の描き分けの基本として、女性や子どもは全体的に丸みを帯びた形で、男性は骨と筋肉の凹凸があってごつごつした形、老人は骨ばると同時に皮膚に張りがなくなるためシワが目立つというちがいがあります。閉じた目を描く場合は眼球の丸みを反映すると自然なまぶたが描けます。

性別、年齢による横向きの顔の違い(イラスト:Saku.U)

横顔の場合は、女性の額は丸く、男性の額はやや平らにすると、形状のちがいがよくわかります。

また、額や鼻、顎といった凹凸部分を、女性はやや少なく、男性はやや強調して描きます。女性を可愛らしく描きたい場合は、鼻を少し上向きで小さくするのもひとつの方法です。

子どもは、目や鼻、口といったパーツが大人よりも近い位置にあります。全体的に大人よりも低い位置にすると、幼さが表現しやすくなります。

子どもは鼻が低いため、鼻先と顎先を結んだラインよりも、唇が少し出てもよいでしょう。目を大きく描くと、可愛らしさや子どもらしさが表現できますが、耳や鼻と高さを揃えるなど位置関係のバランスはくずさないように気をつけることがポイントです。

老人は、皮膚の下にある骨のラインが出ます。ふっくらとした体型の老人であれば、頬や顎の骨のラインは目立ちませんが代わりにたるみが出てきます。

老人の目元はまぶたが落ち気味になります。まぶたを強調し、目や口の周囲にシワを描くと、老人らしさが表現できます。

下顎の角、いわゆるエラの部分は骨の形が出やすい部分なので、男性や老人の場合は骨の形をしっかり描くとよいでしょう。

また、男性の横顔を描く場合は、喉仏を描き忘れないようにしましょう。そのほか、首の部分には耳の後ろから胸へとつながる筋肉があるため、その筋肉に沿ったライン入っていると、男性らしさが表現できます。 性別や年齢による描き分けをまとめると以下となります。

女性の横顔を描くコツ

・全体的に丸みを帯びた

・額は丸く

・額や鼻、顎といった凹凸部分をやや少なく

・可愛らしく描きたい場合は鼻を少し上向きで小さく

男性の横顔を描くコツ

・骨と筋肉の凹凸があってごつごつした

・額はやや平ら

・額や鼻、顎といった凹凸部分をやや強調

・下顎の(エラ)は骨の形が出やすい部分なので、骨の形をしっかり描く

・喉仏を描き忘れない

・首の部分には耳の後ろから胸へとつながる筋肉があるため、その筋肉に沿ったラインを入れると、男性らしさが表現できる

老人の横顔を描くコツ

・骨ばると同時に皮膚に張りがなくなるためシワが目立つ

・皮膚の下にある骨のラインが出る

・ふっくらとした体型であれば、頬や顎の骨のラインは目立ちませんが代わりにたるみが出る

・目元はまぶたが落ち気味になるので、まぶたを強調し、目や口の周囲にシワを描くと、老人らしさが表現できる

・下顎の(エラ)は骨の形が出やすい部分なので、骨の形をしっかり描く

子供の横顔を描くコツ

・全体的に丸みを帯びた

・目や鼻、口といったパーツを大人よりも低い位置にすると幼さが表現しやすい

・鼻が低いため、鼻先と顎先を結んだラインよりも、唇が少し出てもよい

・目を大きく描くと、可愛らしさや子どもらしさが表現できる

・耳や鼻と高さを揃えるなど位置関係のバランスはくずさないように気をつける

少し角度のついた斜め横顔の描き方

横顔の練習をする時には、真横から描いていくことが基本ですが、実際の漫画やイラストでは、真横からの絵は平面的に見えやすいという難点があります。

そのため、漫画やイラストで横顔を描く場合には、真横ではなくほんの少しだけ角度をつけると、立体感が出しやすくなります。

目の位置のわずかな違いで立体感のある横顔にしあがります(イラスト:Saku.U)

図は、中央の人物が真横。左の人物は真横より少し奥側向き。右の人物は真横より少し手前側向きです。

奥側に少し角度のついた斜め横顔の描き方

奥側に顔を向けると、大きく変わるのが耳と下顎の角の位置です。向いた角度の分だけ、前に移動します。目も少し前に移動し、鼻に近づきます。また、口や眉、目といった横長のランは短くなります。

手前側に少し角度のついた斜め横顔の描き方

反対に手前に顔を向けると、耳と下顎の角が後ろに移動します。目も後ろに移動して鼻から離れると共に、反対側の目のまつげやまぶたが少しだけ見えます。

振りの角度によって横顔にも多彩な表情を生み出せます(イラスト:Saku.U)

「横顔」として、右の少し手前側を向いている状態を描くことが多いようですが基本の真横から見た横顔をベースにすると、角度によって変化するパーツごとの位置関係や大きさをバランスよく描くことができます。

少し角度のついた斜め横顔で歩行中の位置関係を表現

また、図のように並べて見比べなければ、ほとんどちがいがわからない描き分けですが、たとえば、並んで歩く人物が相手を見ているコマであれば、2人が真横に並んで歩いているのか、一方が少し手前を歩いているのか、少し後ろを歩いているのかが、表現できます。

アニメのように連続した動きを漫画で表現するためには、角度の描き分けができるとよいでしょう。一方の人物から見た相手が、どちらを見ているのかは、目の描き方で表現できますが、顔の角度を変化させることで、より細やかに表現することが可能になります。

いろいろな角度の「横顔」が描けるようになると、それだけで表現の幅が広がります。

横顔を有効に活用した表現方法

漫画やアニメなどにおいて、人物を正面からではなく横から描くことで、どのような情報が伝わりやすくなるでしょうか。

横顔で動きやスポーツのフォームを表現

歩いたり走ったりといった、前後の動きがあるポーズは、真正面からだとわかりづらいため、横のアングルから描写することでわかりやすくなります。

スポーツのフォームの解説なども、横からのアングルが多く使われていますね。身体つきなどの特徴も、正面からだけでなく横からのアングルでも描くと、よりわかりやすくなるでしょう。

横顔で顔の美しさや感情を表現する

横顔は顔の造形の美しさのうち、整った鼻筋や顎の形、長く反ったまつげなどを表現するために適しています。

また、セリフやモノローグなどのテキストを使わずに、感情を表現する場合、表情のほかに、手などのポーズが重要なメッセージ性を持ちます。なかでも、顔を上に向けているか下に向けているかは、わかりやすい感情の発露です。

たとえば同じ表情でも、俯いているポーズと上を向いているポーズでは、人物の心情の伝わり方は大きく変わってきます。そうしたポーズを、表情とともにわかりやすく絵にするのは、横からのアングルがぴったりです。

表情とポーズ、両方を生かした演出ができるのは横からのアングルの特徴です(イラスト:Saku.U)

視線の向きは人物の感情を表現する上で重要な要素ですが、「照れ」や「戸惑い」、「ごまかし」など、さまざまな理由によって、視線と顔の向きは必ずしも一致しません。そうした複雑な状況を伝えるためにも、横顔など角度をつけたアングルが力を発揮するでしょう。

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