アングルの工夫で映える写真に。水面写真のススメ - スマホで「できる」基礎からはじめる映える写真の撮り方と仕上げ方 第12回

撮影していて面白い被写体はひとそれぞれですが、あまり注目されないけれど、撮ってみると面白いと思っているものが水面です。
揺れる水面は一期一会の模様を描くし、光が当たるとキラキラと反射して幻想的なシーンになります。
生きもののようにうねる水面は、見ているだけで飽きません。
シュールな世界ですが、だからこそユニークな写真が写せるというものです。
それに、実風景なのに模様や絵画のような写りになるのも、水面写真の面白さといえます。
水面写真の魅力に気づいてくれる人が増えるといいな。と期待を込めて、今月もはじめます。
撮影しているカメラは、いつものようにスマホにインストールしたモバイル版Lightroomのカメラ機能です。
水面を写すときは、低いアングルでカメラを構えること。水面ギリギリの構図がおススメです。
この位置から「水の面積を広く」写すことで、平面的な写真なのに奥行きが感じられる不思議な写りになります。
そして、この“不思議”さが、一味違う写真になる可能性を秘めているのです。

アイレベル(目線の高さ)で撮影すると、「見慣れた普通の光景」になりやすいため、目に留まる可能性が低くなります。
せっかく水面という極上の素材があるのに、もったいないことです。

まずは、カメラを大胆に下げて、水面に接するくらいの位置で画面いっぱいに水面が写る角度で撮影してみましょう。
一枚ではなく、何枚も写すことがポイントです。
光の反射があればそれを写せばいいし、水泡が浮いていたら、形がまとまりやすい水際を含めるようにすると面白い描写が得やすくなります。
そして、たくさん撮影した中から「きれいに見える写真」や「ユニークな模様」を見つけ出せばよいのです。

撮影時のイメージとしては、「ぼんやりと水面を眺めて癒されている」ような構図がいい感じです。
「なにこれ?」「なんだか不思議」と思うような写真が撮れたら大成功。
写真がシンプルであるほど、理解しがたい描写であるほど、見る人は勝手に想像を働かせてくれます。
それはもう、「意識の高い写真」になったということです。

水面を写すとき、着目したいのが「光」「反射」「波」です。
とくに、波は超おススメ。
大きな波である必要はありません。さざ波でも大丈夫。
波と同じ高さになるように低くカメラを構え、正面から写せば、普段は目にすることのないダイナミックな写真になります。
ただし、防水対応のスマホでないなら水没注意です。

波がなくても、水のうねりと光の反射で絵的な写真になります。
カメラはもちろん、水面ギリギリに構えます。
ピントの位置は水面です。水面が主役ですから。
背景は単なる飾りなので、ぼけていてもよいのです。というより、背景がぼけていると水面に着目しやすくなるので、好都合です。

多くの場合、水面の写真は地味です。
ただし、「写したままでは」という意味でですが。
きちんと水面の魅力がとらえられていれば、Lightroomがそれを引き出してくれます。


仕上げ方はさまざまですが、僕は濃密でドラマチックな色彩の水面写真が好きです。
というわけで、次はLightroomを使った色の調整を紹介します。
僕は、水面の写真を撮るときは、朝や夕方の太陽が低い位置にある時間帯を選ぶことが多いです。
斜めからの太陽光で水面が立体的に見えるし、何よりも夕焼けや朝焼けの色彩は抒情的ですから。
トップに掲載している写真も、2月の午後4時に撮影したものです。
あいにくの曇天でしたが、わずかに見えた夕焼け空を水面に反射させました。
でも、撮影した写真は本当に地味です。

これは僕好みではないので、陰影や色彩を濃くして、濃密な色で仕上げたものが、トップにも掲載している下の写真です。

“魅せる”ための写真です。現実離れしていようとも、少しくらい派手な色がよいのです。
仕上げに迷ったときは、水面の写真は抽象画のようなものと考えて、「塗り絵」の感覚で色を作ると個性が出しやすくなります。
いつもどおりに、今回の写真もモバイル版Lightroomで編集します。
サムネール一覧で写真をタップして大きく表示したら、①左上の文字の部分をタップ。表示された一覧から、②「編集」を選ぶと編集画面で表示できます。

濃密な色にする要が、「かすみの除去」機能です。
淡くかすんだ写真を色濃くクリアな色調にしてくれるこの機能は、濃密な色やドラマチックな色彩を作り出す基になります。
①「効果」ボタンをタップしたら、②「かすみの除去」スライダーを右に移動します。
陰が濃くてコントラストが強い状態を目指しましょう。

これで、色を濃くする基礎ができました。
次は、鮮やかさを強調して色を乗せていきます。
使う機能は、①「カラー」ボタンにある「彩度」と「自然な彩度」です。
まずは、②「彩度」スライダーを右に移動して全体を鮮やかにします。
画質が劣化するくらいに強くしても足りない場合は、③「自然な彩度」スライダーを右に移動して鮮やかさを補うと劣化が防げます。

色濃くしたら、次は雰囲気作りです。
夕方の時間帯なので、夕日が射しているような暖色系の色を目指し、「色温度」スライダーを右に移動します。
ちなみに、「色温度」スライダーを左に移動すると、冷たいクールな色彩に仕上げることができます。

最後に、水面の反射を強調します。
①「ライト」ボタンをタップして機能を表示したら、②「白レベル」スライダーを右に移動します。
水面の光の反射が強くなりつつ、白とび(真っ白のべた塗り)や色の飽和(同じ色のべた塗り)が広くならないように調整します。
光の範囲を広げるときは、③「ハイライト」スライダーを右に移動すると効果的です。

これで完成です。
きれいな水でも、そうでなくても、水面に光を反射させて濃密な色に調整すれば、シュールでアートな作品になります。
水面写真、おススメです!
スマホとモバイル版Lightroomで上のような写真が撮れるので、最近は大きなカメラを持ち出さなくなってきました。
でも、モバイル版Lightroomは、デジイチ(デジタル一眼レフカメラ)やコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)のRAW画像をスマホに取り込んで色調整できるんですよね。
スマホは望遠に弱いので、望遠に強いコンデジくらいは持ち歩こうかな。
執筆者:桐生彩希
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