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#111

タイポグラフィとは?基礎知識とコツを解説

タイポグラフィとは?基礎知識とコツを解説

「何時間もかけて作ったwebサイトやチラシ。色使いにこだわり、写真も厳選し、レイアウトも整えたのに、どこか物足りない」――そんな経験はありませんか?

実はその悩みの鍵は「タイポグラフィ」にあるかもしれません。

タイポグラフィとは、文字を美しく効果的に配置・表現するデザイン手法のことです。

この「文字のデザイン」こそが、プロフェッショナルな印象を生み出す重要な要素なのです。

そして「Adobe Illustrator」を使えば、文字間隔の調整、美しい行間設定、自由自在な文字の変形など、文字表現の可能性が一気に広がります。

本記事ではタイポグラフィの基礎から、Illustratorを活用した実践的なテクニックまで、わかりやすく解説します。

デザインをワンランク引き上げるヒントが満載なので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

そもそも「タイポグラフィ」とは?

タイポグラフィを意識する4つのメリット

タイポグラフィを上達させる6つの視点

Illustratorでできるタイポグラフィ実践テクニック

Illustratorで、自由自在なデザインを。

タイポグラフィに関するよくある質問と回答(FAQ)

そもそも「タイポグラフィ」とは?

タイポグラフィとは、文字や文章を見やすく、美しく見せるデザイン手法のことです。

文字・文章をみやすくする、文字・文章を美しくするというタイポグラフィを説明するベン図

デザインを構成する基本的な要素として、「線」「形」「色」「質感」「余白」、そして「タイポグラフィ(文字表現)」の6つがあります。

これらはそれぞれが大切な役割を果たしており、バランスよく組み合わせることでデザインの質を高められます。

その中でタイポグラフィは、特に情報やメッセージの印象を大きく左右します。

効果的にタイポグラフィを取り入れると、見る人の記憶に残りやすくなり、伝える力がさらに強められるのです。

一例として、以下のポスターをご覧ください。

タイポグラフィが美しいポスターの例

(※文字そのものや文字の配置など、タイポグラフィが工夫されたポスター)

文字が縦横に交差し、大胆なレイアウトが印象的な左のポスター。

情報が整理されつつもインパクトがあり、テーマが一目でわかる中央のポスター。

そして右のポスターは、洗練されたモダンなデザインが際立っていることがわかるでしょう。

このように、タイポグラフィを意識してデザインすることで、情報が整理されたり、デザインにメリハリや奥行きが生まれたり、印象が強まったりします。


さて、タイポグラフィがデザインや読みやすさに大きく関係していることがわかりました。

では具体的に、タイポグラフィを意識すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

次の章で詳しく解説していきます。

タイポグラフィを意識する4つのメリット

タイポグラフィの重要性を理解したところで、ここからはタイポグラフィを意識することで得られる、具体的なメリットを見ていきましょう。

1.情報が整理され、内容が伝わりやすくなる

優れたタイポグラフィには、情報の優先順位を明確にし、読み手の視線を自然に導く効果があります。例えば、見出しと本文をサイズや太さ、色で区別すれば、内容の構成やポイントが瞬時に理解できます。また、行間や文字間隔を適切に調整することも大切です。文章が読みやすくなり、内容をスムーズに理解できるようになります。この工夫は紙面や看板だけでなく、webサイトやアプリのデザインにおいても重要です。

2.コンテンツの信頼性や専門性向上につながる

洗練されたタイポグラフィは、コンテンツの信頼性や専門性を高める効果があります。また、「タイポグラフィにまで気を配れる人」は、デザイナー・クリエイターとしての業務品質の高さを示す要素にもなります。一方で、統一感のないフォントや不適切な行間・文字間隔は、読み手に「情報が整理されていない」「内容が雑に感じられて、信頼性に欠ける」といったマイナスの印象を与えてしまいかねません。細部まで整えられたタイポグラフィにより、情報の価値や信頼感が自然と高まり、メッセージに説得力が増すのです。

3.デザインの個性が明確になり、統一感が生まれる

タイポグラフィを意識することで、デザインの持つ雰囲気や個性をはっきりと表現できます。一貫した文字表現を心がければ、伝えたいイメージが明確になり、デザイン全体がまとまります。その結果、メッセージの説得力が増し、読み手の印象にも深く残るのです。

4.多様なユーザーにとって読みやすくなる

タイポグラフィを工夫すると、視力に不安のある方や高齢者を含め、より多くの人にとって読みやすいものになります。文字と背景の十分なコントラストや読みやすいフォントサイズ、適切な行間を設定することは、アクセシビリティを高め、より幅広い層にメッセージを届けるために必要不可欠です。さらに、読みやすいデザインは読者の閲覧時間を延ばし、内容への関心を高める効果も期待できます。

このように、タイポグラフィに気を配るメリットは、単に「見た目をきれいにすること」だけにとどまりません。伝えたいことを、相手にわかりやすく届けるための大切な工夫でもあるのです。

また、ビジネスシーンでは、上司やクライアントに対して「なぜそのデザインが最適なのか」を論理的に説明できることが重要です。

「なんとなく綺麗だから」「見た目が好きだから」で終わらせてしまいがちなタイポグラフィですが、読みやすさや視線誘導の仕組みといった具体的な根拠を示すことで、デザインの意図を明確に伝えられます。

結果として、提案の説得力が高まり、ブランドイメージの向上やコンバージョン獲得など、具体的な成果につなげやすくなるでしょう。


さて、タイポグラフィが持つメリットを理解したところで、続いては実践的な方法を学んでいきましょう。 「伝わるデザイン」を実現するためには、具体的なポイントを意識することが欠かせません。

ここからは、タイポグラフィの上達につながるコツをご紹介します。

タイポグラフィを上達させる6つの視点

タイポグラフィを効果的に行うためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。

具体的には、「適切なフォント選び」「文字の大きさや間隔の調整」「色や配置の工夫」「文字の揃え方や方向性への意識」などが挙げられます。

これらを組み合わせることで、読みやすく美しいデザインになります。

それでは、各ポイントを詳しく見ていきましょう。

フォントの選び方で「印象」をコントロールする

フォント選びはタイポグラフィの出発点です。

選ぶフォントによって、見る人に与える印象やメッセージは大きく変化します。

例えば欧文書体の場合、主に以下の4種類に分かれており、与える印象も様々です。

フォントの書類
特徴・印象
適した用途

セリフ体

(Serif)

文字の端にある小さな飾り(セリフ)や細いラインが、知的で繊細、クラシックな美しさを生み出す。長文の可読性が高い。
新聞、小説などの長文コンテンツ

サンセリフ体

(Sans-serif)

セリフがなく直線的でシンプル。視認性が高く、モダンで洗練された印象を与える。
webサイト、広告、見出しなど瞬時に情報を伝えたい場面

スクリプト体

(Script)

手書き風で、優雅・エレガントな印象。フォントによっては、親しみやすくカジュアルな雰囲気を演出する。
ロゴ、招待状、パッケージデザインなど、部分的に使用して個性や雰囲気を表現する用途

ディスプレイ体

(Display)

個性的でインパクトが強い。目を引き、短い文章や少ない文字数で強調したい場面で有効。
ポスター、ロゴ、キャッチコピー

セリフ体・サンセリフ体・スクリプト体・ディスプレイ体ごとのフォントの比較図

関連:欧文書体のきほん|文字とフォントのことはじめ

そして、和文書体の場合は「明朝体」「ゴシック体」「行書体」などの分類があります。

フォントの書類
特徴・印象
適した用途

明朝体

(Mincho)

縦線・横線がはっきりしているため、文字の輪郭を追いやすく、目が疲れにくい書体とされる。また、長年書籍に使われ慣れているため、伝統的で安心感のある印象を与える。
書籍の本文、論文、新聞、ビジネス資料など、長文の印刷物全般

ゴシック体

(Gothic)

線の太さが均一で無装飾のため、明確で視認性が高く、瞬時に内容が伝わりやすい。シンプルな印象を与える。
webサイト、広告、見出しなど瞬時に情報を伝えたい場面

丸ゴシック体

(Maru Gothic)

線の端が丸みを帯びており角が少ない。視覚的に柔らかく感じられるため、親しみや安心感のある印象を与える。
広告、子ども向けの教材、ポップな案内文、カジュアルな資料

楷書体

(Kaisho)

一画一画が明確で、丁寧な筆遣いを感じられる。整然としているため、誠実で真面目な印象を与える。
賞状、証明書、招待状、公的文書

行書体

(Gyosho)

筆使いが滑らかで、品のある印象を与える。和の演出をするために使用されるケースが多い。
和風メニュー、挨拶状、年賀状、和のデザイン

草書体

(Sosho)

線が連続的かつ自由に流れているため、動きが感じられ、見る人に芸術的な印象を与える。
和風メニュー、挨拶状、年賀状、和のデザイン

勘亭流

(Kanteiryu)

太く大胆な曲線や力強い筆遣いが、迫力を生む。祭礼や慶事の華やかさ、縁起のよさといった祝祭的な印象を与える。
歌舞伎の看板、お祭りの告知物、縁起物デザイン

教科書体

(Kyokasho)

形状が正確かつ均整が取れていて、見やすい。視覚的な負担が少なく、整然とした印象を与える。
教科書や参考書、教育教材、学習プリント

隷書体

(Reisho)

力強い筆使いや跳ね、そして安定感ある形状が特徴。歴史的な重厚さや格式の高さを感じさせる。
表札、石碑、社名ロゴ、歴史的・伝統的な雰囲気を表現

様々なフォントを試しつつ、伝えたい雰囲気や目的に応じて選んでみましょう。

なお、フォントにまつわる詳しい内容については、以下の記事で解説しています。


フォント(日本語・英語)の種類・選び方と定番フォントを紹介

文字とフォントのことはじめ


「どのフォントが自分のデザインに合っているかわからない」「フォント選びにいつも時間がかかってしまう」という方は、ぜひあわせてご覧ください。

文字の大きさや間隔を調整して読みやすさを高める

文字のサイズや文字間隔(カーニング・トラッキング)、行間(リーディング)の調整も、タイポグラフィにおける基本的なテクニックです。

なお、「カーニング」とは、文字同士の間隔を調整し、文章やデザインの見た目を美しく整えること。「トラッキング」は、選択したテキスト全体に対して、均一に文字間隔を整えることを指します。

カーニングとトラッキングの違いの図示

特にロゴやキャッチコピーなど、大きく目立つ文字ほど、文字間隔の細かな調整がデザインの完成度に関わってきます。

文字間が広い場合、文字間が狭い場合、文字間が適度に調整された例

そのほか、見出しや本文の文字サイズ・太さ、行間設定への気配りも重要です。

サイズや間隔に丁寧に気を配ることで、メッセージが伝わりやすくなり、文章の魅力が引き立ちます。

色や配置を工夫してメリハリをつける

文字そのもののデザインだけでなく、色使いや文字配置の工夫も重要なポイントです。

例えば、重要な情報やキーワードに対して文字の色を変えたり、背景とのコントラストを高めたりすることで、読み手の視線を自然に誘導できます。

色や配置が工夫されていないバナーと、色や配置を工夫してメリハリが付いたバナーの比較

また、余白を適度に確保し、文字をバランスよく配置すると、デザイン全体がまとまり、伝えたい情報が強調されます。さらに、色や配置に一定のルールを設けて一貫性を持たせれば、デザインに統一感が生まれ、見る人に安心感を与えられるでしょう。

なお、以下は色ごとの印象をまとめたものです。ぜひ色選びの参考にしてみてください。

赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫の色の特徴

フォントの数を絞り、組み合わせにメリハリをつける

フォントを多用すると読み手の注意が分散しやすく、メッセージが伝わりにくくなります。

そのため、フォントの種類は多くても3種類以内に抑えるのがポイントです。

3種類以上のフォントで構成された商品バナーと、3種類以内のフォントで構成された商品バナーの比較

(▲Before:3種類以上のフォントで構成された商品バナー / After:3種類以内のフォントで構成された商品バナー)

なお、複数のフォントを組み合わせる場合は、印象が似たフォント同士を避けるのがオススメです。

これは、似たフォントを使うと微妙な違いがかえって読み手の違和感につながるためです。

一方で、印象がはっきり異なるフォントを組み合わせると、視覚的にメリハリが生まれます。

印象が似た複数のフォントで構成された商品バナーと、印象が異なるフォントで構成された商品バナーの比較

(▲Before:印象が似た複数のフォントで構成された商品バナー / After:印象が異なるフォントで構成された商品バナー)

例えば、力強く明快なゴシック体と、伝統的で上品な明朝体を組み合わせるなど、異なる特徴を持つフォントを意識して選んでみましょう。

こうすることで視覚的に調和しながらも、デザインにメリハリやアクセントを加えられます。

文字の方向や縦横比を調整してデザイン性を高める

文字の方向(縦書き・横書き)を意図的に使い分けることで、単調なデザインにリズムが生まれ、視覚的なアクセントになります。

例えば、メインのキャッチコピーを横書きに、補足情報やサブタイトルを縦書きにするなど、方向の違いを上手く取り入れると、メリハリをつけられます。

文字の方向や縦横比が調整され、デザイン性の高いタイポグラフィデザインが成されたポスター

また、フォントの縦横比(長体や平体)を調整すると、限られたスペースでもバランスよく文字を配置できます。ポスターやチラシなど、紙面が限られた媒体で特に有効な手法です。

文字の揃え方(行揃え)を使い分ける

文字の揃え方によって、情報の見え方や印象が大きく変わります。

左揃え(行頭揃え)は自然で読みやすく、多くの文章に適しています。

対して、中央揃え・右揃え(行末揃え)は視覚的なインパクトを強めやすいのが特徴です。

なお、中央揃え・右揃え(行末揃え)を使用する際は、見やすさの面から極力短文にまとめるのがよいでしょう。

左揃え・中央揃え・右揃えごとの比較

文字をデザインする際には、以上のポイントを押さえて取り組んでみてください。


続いては「Adobe Illustrator」を使った具体的なテクニックをご紹介します。

どのように文字を扱い、デザインとして仕上げていくか、実際のツール画面ととも確認していきましょう。

Illustratorでできるタイポグラフィ実践テクニック

Adobe Illustratorは、 ロゴやアイコン、グラフィック、イラストに至るまで、様々なデザインに活用できるグラフィックデザインツールです。

2025年2月のアップデートにより、従来のバージョンよりさらにパワーアップ。制作を効率的に進められるよう処理速度がより向上したほか、フォントの特定や似たフォントの提案に役立つ「Retype」機能も搭載されました。日本語の組版もより豊かになり、日本語のタイポグラフィがさらに美しく、スムーズにデザインできるようになっています。

ここからは、そんなAdobe Illustratorを使って、文字デザインに役立つ機能をわかりやすくご紹介します。どれもカンタンに使えるものばかりなので、ぜひ実際に試してみてください。

文字ツール

Illustratorにおけるタイポグラフィの第一歩は、文字ツールを使ってテキストを入力することから始まります。

まずは、ツールバーにある「T」のアイコンをクリックし、文字を入力してみましょう。

ツールバーにある「T」のアイコンをクリックし、文字を入力

なお、「T」のアイコンを長押しすると色々なバリエーションの文字ツールが使えます。

(※ただし、ツールバーの設定によっては、長押ししても「文字ツール」「パス上文字ツール」「文字(縦)ツール」のみが表示される場合があります。 その場合、ツールバー下の三点リーダーをクリックし、右上の小さなリストアイコンから「詳細」または「基本」に切り替えることで、表示項目の変更が可能です。)


各ツールの概要は以下のとおりです。

ツール名
機能概要
文字ツール [T]
特定のポイントまたはエリア内で文字を入力できます。
エリア内文字ツール
オブジェクトの中にテキストを入力できます。
パス上文字ツール
パスの形状に沿ってテキストを入力できます。
縦書き文字ツール
特定のポイントで文字を縦に入力できます。
エリア内文字(縦)ツール
オブジェクトの境界を利用して、縦書きテキストを入力したり、フローを制御したりできます。
パス上文字(縦)ツール
パスの形状に沿って縦書きテキストを入力できます。
文字タッチツール [Shift+T]
単語内の個々の文字を移動、拡大・縮小、回転させられます。

参考:テキストツール|Illustrator のツールについての説明


次に、選択ツールを使って編集したい文字を選択したら、文字パネルを開いて、文字を編集していきましょう。文字パネルは、メニューバーの「ウィンドウ」>「書式」>「文字」の順にクリックすると表示できます。


この文字パネルには様々な項目があり、フォントの種類やサイズの調整、文字間隔(カーニング)などの設定が可能です。

文字パネルにある各項目の説明図

文字のアウトライン化

Illustratorのタイポグラフィにおける強力な機能の一つが、「文字のアウトライン化(パス化)」です。

文字をアウトライン化すると、字を図形として扱えるようになり、自由に変形させられます。

例えば、アンカーポイントを移動させて文字の形を変えたり、一部を切り取って独自のロゴデザインを作ったりと、より自由な表現が可能です。

パスとアンカーポイントの説明図

アウトライン化は、特にロゴやタイトルなどオリジナリティや個性を表現したい場面で役立ちます。

ただし、アウトライン化するとテキストの内容やフォントの種類の変更といった「文字情報としての編集」ができなくなるため、作業前に元のテキストをバックアップ用レイヤーに残しておきましょう。複製しておけば、後に修正や再編集が必要になっても安心です。


フォントをアウトライン化するには、選択ツールで対象のオブジェクトを選択し、「書式」>「アウトラインを作成」をクリックしてください。 ショートカットキーを使う場合は、WindowsならCtrl+Shift+O、MacならCommand+Shift+Oで実行できます。

選択ツールで対象のオブジェクトを選択し、「書式」>「アウトラインを作成」をクリック

以下は、一部のアンカーポイントを動かしてシルエットを変えたり、文字を切り抜いたりした例です。

一部の線が伸びた「部分拡張」の文字と、色鮮やかな花々を背景に切り抜かれた「CUTOUT」の文字

角を丸くする(角を丸くとかす)・文字を分解する

Illustratorではフォントの頂点を丸く処理できます。

この角を丸くする(とかす)テクニックは、カッチリとした印象のフォントを、優しい雰囲気に転換したい場合に効果的です。

対象のオブジェクトを選択し、「効果」>「スタイライズ」>「角を丸くする」の順に選択し、半径を調整のうえ「OK」をクリックして調整できます。

「効果」>「スタイライズ」>「角を丸くする」の順に選択し、半径を調整のうえ「OK」をクリック

また、文字をアウトライン化した後に、パスファインダーを使ってパーツごとに分解することで、文字表現の幅をさらに広げられます。分解した各パーツに異なる色やパターンを適用すれば、遊び心あふれる文字デザインも可能です。

  1. パーツ化したい文字を選択する
  2. 「書式」>「アウトラインを作成」の順で文字をアウトライン化する
  3. ペンツールで、分割したい部分に線を引く
  4. 画面右側のプロパティパネルにあるパスファインダーの中から、「分割」の項目をクリックする(「分割」の項目が表示されていない場合は、パスファインダーの項目の三点リーダ「詳細オプション」をクリックし、その中から探してみましょう。)
  5. ダイレクト選択ツールを使って分割された箇所を選び、色をつける

(※パスファインダーが表示されない場合は、まず「ウィンドウ」>「パスファインダー」を選択してパネルを表示します。それでも表示されない場合は、「ウィンドウ」>「ワークスペース」>「初期設定」から「初期設定をリセット」を選ぶことで解決する場合があります。ただし、この操作をすると、すべてのパネルの位置が初期設定に戻りますのでご注意ください。)

「分割したい箇所に線を引く」>「パスファインダーの分割をクリック」>「分かれた箇所に色をつける」

シアーツール・パス上文字で斜めに変形

シアーツールを使うと、テキストや図形を斜めに変形させられます。

このテクニックは、スピード感やスタイリッシュな雰囲気を表現したいときに特にオススメです。

ツールバーに「シアーツール」の表示がない場合は、「回転ツール」や「拡大・縮小ツール」のアイコンを長押しすると表示できます。

なお、詳細な調整ができるダイアログボックスは、シアーツールのアイコンをダブルクリックすることで開けます。

詳細な調整ができるダイアログボックスは、シアーツールのアイコンをダブルクリックすることで開ける

参考:シアーツールを使用したオブジェクトの任意の方向への変形


そして、パス上文字ツールは、円や任意の曲線に沿ってテキストを配置したい場合に便利な機能です。丸いロゴやバッジ風のデザイン、円弧状のタイトルなどを作成する際に最適です。

シアーツールと同様に、こちらもパス上ツールのアイコンをダブルクリックすれば、ダイアログボックスが表示されます。

パス上ツールのアイコンをダブルクリックすれば、ダイアログボックスが表示される

エンベロープを使う

エンベロープは、テキストを任意の形状に変形できる機能です。

「ワープ」のプリセットを活用すれば、旗やアーチ形のような形状へと、文字を変形させられます。

使用する際は「オブジェクト」>「エンベロープ」>「ワープで作成」の順に選択し、ウィンドウを表示させましょう。「スタイル」の項目から変形したい形を選び、数値を調整して変形文字を作れます。

「オブジェクト」>「エンベロープ」>「ワープで作成」の順に選択し、ウィンドウを表示し、「スタイル」の項目から変形したい形を選択

(▲スタイル「旗」を選択して調整した例)

また、より細かい制御が必要な場合は「メッシュ」を使うことで、文字を歪ませたり捻ったりするなど、自由度の高いデザインが可能になります。

こちらは「オブジェクト」>「エンベロープ」>「メッシュで作成」の順で選択すると使用できます。

「オブジェクト」>「エンベロープ」>「メッシュで作成」の順で選択

3D効果やエフェクト

3Dとマテリアル機能を使えば、文字に奥行きや質感をプラスできます。

金属のような質感や光沢感を表現することで、デザインにインパクトをもたせることが可能です。

「効果」>「3Dとマテリアル」の順に選択し、さらに表示されるメニューから加工の種類を選択できます。

今回は「膨張」を選び、オブジェクトをふくらませるように立体化してみます。

「効果」>「3Dとマテリアル」の順に選択し、さらに表示されるメニューから加工の種類を選択

表示される詳細パネルは、3Dの種類や奥行きといった微調整ができる「オブジェクト」のタブ。文字に付与できる質感を選択できる「マテリアル」のタブ。照明の明るさや角度、影などを調整できる「ライト」のタブがあります。

「オブジェクト」「マテリアル」「ライト」のタブ毎の図示

実際にスライドバーを動かしてみたり、色々なマテリアルを試してみたりして、仕上がりを確認してみましょう。

これらの効果やグラデーションなどを組み合わせれば、文字に豊かな表情を与え、より魅力的なタイポグラフィデザインを作り出せます。

膨張や緑を基調としたグラデーションを付与し、ふっくらさせた「Typography」の文字

なお、以下の記事では「Adobe Photoshop」「Adobe Illustrator」を使って立体文字を作成する方法について、わかりやすく解説しています。気になる方は、ぜひあわせてご覧ください。


Photoshopで作れる立体文字3選!手順をわかりやすく解説

Illustratorで、自由自在なデザインを。

Adobe Illustratorは、ロゴやグラフィック、ポスターなどあらゆるデザイン制作を強力にサポートするベクター編集アプリです。

文字の配置や書体選び、文字組みの調整といったタイポグラフィの表現はもちろん、ロゴやイラストのデザインなども思いのままに実現でき、プロのデザイナーから趣味のクリエイターに至るまで幅広く支持されています。

ここからは、そんなIllustratorの魅力をいくつかご紹介します。

文字や図形を自由に配置できる

何といっても、自由度高くデザインできることがIllustratorの魅力。文字や図形を思いのままにカンバスに配置して、デザインを細かく調整できます。また、今回ご紹介したように文字間の繊細なバランス調整も可能なので、見栄えのあるレイアウトに仕上げられます。

図やイラストが描きやすい

ペンや筆で描くのが苦手な方にも、Illustratorはオススメです。

図形を組み合わせたり、「パス」と呼ばれる線を描く機能を使ったりして、地図やグラフ、イラストなどを作成できます。

拡大・縮小してもボヤけない

Illustratorは、線や色などが数式で表現されるベクター形式の画像を基本としています。

例えば、名刺用に作ったロゴをポスターや看板などの大きなサイズに引き伸ばしても輪郭がボヤけることはありません。また、元のサイズより縮小してもつぶれず、くっきりした見栄えのまま利用できます。

関連:ラスタライズの意味とPhotoshopでのやり方、注意点などを解説

印刷サービスを使うときも安心

Illustratorで作成したデータは印刷業界での標準形式のため、高品質の印刷をスムーズに依頼できます。また、A3やB2、A0のポスターやさらに大きなサイズの制作にも対応しています。

洗練された日本語文字組みをらくらく実現できる「百千鳥」

https://www.youtube.com/embed/dH2ru3Do4ck?si=02diGEpplgq_Ckxv

新たにAdobe Fontsに加わったアドビのオリジナル日本語フォント「百千鳥(ももちどり)」。

このフォントでは、スライダーから長体・扁平の圧縮率を自由自在に調整でき、1つのフォントで様々な表情をコントロールできます。

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限られたスペースに合わせて文字サイズや幅を自由に調整できるため、紙面の見出しや本文のバランスを最適化し、読みやすく統一感のあるデザインに仕上げられます。

また、複数のフォントファイルを読み込む必要がなくなるため、サイトの表示速度を向上させ、パフォーマンス改善にも貢献します。

1つのフォントファイルで細かな調整ができる自由度の高さを活かし、webや広告、印刷、映像など、様々な分野でデザインの可能性を広げてくれるはずです。

このように、Illustratorがあれば、タイポグラフィをはじめとするデザインの可能性が大きく広がります。

最新機能を活かして、洗練された文字組みやベクターならではの自由度の高いデザインを楽しんでみませんか。

今なら無料でお試しいただけますので、この機会にぜひIllustratorのパワーをご体感ください。


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タイポグラフィに関するよくある質問と回答(FAQ)

最後に、タイポグラフィに関するよくある質問に回答していきます。

フォントを選ぶ際に迷ってしまいます。どうすればよいですか?

まずはデザインの目的やブランドイメージをはっきりさせましょう。そのうえで、「クラシック」「モダン」「カジュアル」など、カテゴリー別に代表的なフォントを数種類ピックアップしておくと、場面に応じて迷わず使い分けできます。

書体の選び方で、ブランディングにも影響はありますか?

大きく影響します。フォントひとつでブランドイメージは大きく変わるため、「高級感」「親しみやすさ」「モダンさ」など、企業やプロダクトのイメージに合った書体を選ぶことが大切です。統一感のある書体選びは、ブランドを覚えてもらいやすくする鍵になります。

長文を読みやすくするためのポイントはありますか?

行間と文字間を調整することが重要です。行間が狭すぎると息苦しく、広すぎるとまとまりがなく感じられます。目安として、文字サイズに対して1.5〜1.8倍程度の行間を確保すると、長文でも負担なく読みやすくなります。

複数のフォントを使いたいとき、どの程度まで混在させるのがよいでしょうか?

基本的には2〜3種類に収めるのが理想です。種類が多すぎるとデザインの統一感が失われ、読み手の注意が分散してしまいます。メリハリを出すために、印象がはっきり異なるフォント同士を選ぶと効果的です。

アクセシビリティを重視する場合、どんな点に気をつければよいでしょうか?

文字サイズを小さくしすぎない、背景とのコントラストを十分に確保する、装飾の多いフォントを多用しない、といった点が重要です。特に高齢者や視覚に不安のある方への配慮として、行間や文字色などを柔軟に調整することを心がけましょう。

なお、Adobe Colorには配色の可読性・視認性を判断する機能もあります。

アクセシビリティツールのタブをクリックし、「テキストカラー」「背景色」にそれぞれ任意のカラーコードを入れると、テキストが読みやすいか、テキストやアイコンが見やすいかを、「合格」「不合格」で判定してくれます。

webページやバナーなどを作る際に、ぜひ活用してみてください。

Adobe Colorアクセシビリティツール

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