チュートリアル記事初級20 分

Adobe Fireflyボードを使って素材と情報を整理する効率的な映像制作ワークフロー

Adobe Fireflyボードで動画生成のための資料や素材から最終的なアウトプットまで整理する効率的な動画制作ワークフローを解説します。思い通りの動画を生成するヒントも紹介します。

動画を生成すると、思った感じにならなかったり、一貫性がとれなかったりすることはよくあります。Adobe Fireflyボードを活用して素材と情報を整理しながら段階的に生成を進めると、こうした課題を克服しやすくなります。

この記事では、Fireflyボードを利用して動画素材を用意する映像制作のワークフローを紹介します。映像制作を効率化するために生成AIを活用したい方におすすめです。

※この記事は先日配信されたウェビナーの内容を紹介しています。以下のアーカイブ動画と合わせてご覧ください。

必要なもの
アプリ内で使ってみる

作業に入る前に、サンプルファイルをダウンロードします。

本素材は学習目的のために限り使用することができます。


目次:

  1. 制作の流れ

  2. ステップ1「設定に使う素材を生成」

  3. ステップ2「ステップ1の画像を元にカットごと画像を生成」

  4. ステップ3「ステップ2の画像を元にカットごと動画を生成」

  5. After EffectsやAdobe Premiereで編集

1.制作の流れ

この記事は、「SpeedLine光」という架空のサービスの15秒広告動画を制作するという設定でワークフローを紹介します。制作する動画は実写風です。バナー広告は納期や予算が限られていて実写には手を出しにくいものですが、スマートフォンの小さな画面であれば実用レベルの『実写風』動画を制作できるのがこのワークフローのポイントです。

最初に行うのは、動画のシナリオの検討です。下の画像は「SpeedLine光」のCM用に制作したサンプルで、5W1Hやターゲットが記述されています。

作成した企画案はFireflyボードに貼っておきます。Fireflyボードはテキストも画像も扱えるため、資料や生成した素材を一括管理できます。

企画の次は生成です。生成は一度に行わず、以下の3つのステップに分けるのがポイントです。

  • ステップ1「設定に使う素材を生成」

  • ステップ2「ステップ1の画像を元にカットごと画像を生成」

  • ステップ3「ステップ2の画像を元にカットごと動画を生成」

全カットの動画を生成した後は、Adobe PremiereやAdobe After Effectsを使って編集・仕上げを行います。

2.ステップ1「設定資料に使う画像を生成」

最初のステップでは確定したシナリオや設定を元に、カット割りの素材になる画像を生成します。

下は人物画像から生成した三面図(キャラクターシート)です。このように3方向の画像を予め用意しておくと、様々なシーンにおける人物の一貫性を保ちやすくなります。

三面図の生成は、参照画像では見えていない部分を生成する必要があるため、プロンプトをできるだけ詳細に記述します。

その他の設定資料も同様の手順で生成しておきます。サンプルファイルには3枚の生成例が含まれています。

3.ステップ2「ステップ1の画像を元にカットごと画像を生成」

前のステップで生成した設定画像を元に各カットの画像を生成します。これらの画像は、次のステップで動画の最初のフレームとして使用します。

生成を始める前に、カット割りを作成します。個々のカットで何が起きるのか、それをどのように撮影するのかを詳細にテキストで記述します。

次に、各カットの最初のフレームを生成するためのプロンプト記述します。

Fireflyボードの「画像を生成」をクリックして生成パネルを開きます。ステップ1で生成した画像を参照させて、プロンプトを入力します。下の例で参照している3枚の画像は、サンプルファイルに含まれている画像です。

モデルにはNano Banana 2を使います。最大6枚の画像を参照させることができるため、人物や背景の一貫性を保ちやすいのが利点です。下は生成された画像の一例です。

4.ステップ3「ステップ2の画像を元にカットごと動画を生成」

いよいよ動画を生成します。ここで生成する動画はあくまで編集素材で、テロップ等は編集段階で追加します。

動画カット生成のためのプロンプトを作成します。演技、照明、カメラワークなどをテキストで指示します。破綻が少なくなるように、画像で指定できていることも改めてテキストで記述します。今回は、音も生成させるため、セリフや効果音も含めてあります。

「動画を生成」をクリックして生成パネルを開きます。プロンプトを入力して、ステップ2で生成した画像を参照します。モデルにVeo 3.1 Fastを指定します。

生成された動画のワンシーンが以下になります。参照画像の人物が再現されていることが確認できます。

5. After Effects や Adobe Premiereで編集

Fireflyボードで生成した動画はPremiereに直接読み込めるようにメニューが提供されています。

生成した各カットの動画をPremiereで順番に並べます。そして、音楽、音声、After Effectsで作成したテロップ等をまとめます。これで15秒CM動画の完成です。

この記事で紹介したように、ステップに分けて生成することで、動画生成でも一貫性を保ちやすくなります。Fireflyボードを使えば、構成、画像生成、動画生成を同じ画面でできて効率的です。ぜひサンプルファイルを使って、実際に生成を試してみてください。

Q&A

以下は、チュートリアル配信時に寄せられた主な質問への回答です。

Q: キャラクターの見た目を統一するために工夫していることはありますか?
A: 3面図をはじめとするキャラクターシートをしっかり作り、AIが勝手に想像で補完する余地をできるだけ減らすようにしています。曖昧な部分が多いほどブレやすくなるので、的確に・具体的に指示することが大事だと思います。

Q: 2頭身で足がないクマのようなオリジナルキャラクターを動画生成しようとすると、足が生えてしまうのですが、回避する方法はありますか?
A: ネガティブプロンプトのように、NGの項目を明示するのが基本です。さらに、プロンプトの冒頭と最後に繰り返し記載したり、「必ずOOになるように」など、しつこくAIに伝えるイメージでやってみてください。それでも改善しない場合は、プロンプト全体の構成を改めて見直すと突破口が見えることがあります。

Q: うまくできたプロンプトは記録しておいた方が良いですか?
A: はい、記録しておくことをおすすめします。FireflyやFireflyボードでは画像に紐づく形でプロンプトが残るので、それを活用するのも良いと思います。

Q: たくさんのモデルがある中でNano Banana 2を選んだのには理由があるのですか?
A: いくつかあります。まず生成精度が比較的高いこと、そしてクレジットが比較的安いことです。また、日本の文化や環境をよく理解しているモデルという印象があり、他のモデルだと家の中の小物などが欧米仕様になってしまうことがあります。加えて、複数枚の画像を参照させることができる点も、今回の工程では大きなメリットでした。

Q: 画像から動画生成する際に、プロンプトの改善でどうしても意図どおりにならない場合は、生成モデルの変更等も試しますか?
A: はい、試します。モデルによって得意・不得意がありますので、プロンプトを詰めても意図どおりにならない場合は、別のモデルに切り替えてみるのも有効な手段です。

Q: Fireflyのみ利用可能な企業案件では、今回のようなNano Bananaの使用方法もNGなのでしょうか?
A: これは各社・各案件ごとに確認が必要です。なんでもOKというわけではありませんので、都度クライアントや社内で調整するようにしましょう。

※⽣成AI機能を利⽤する際に使⽤する⽣成クレジットの概要、ご⾃⾝が保有するクレジット数の確認⽅法などは「⽣成クレジットの基本 」で解説しています。


インストラクター

加藤 優真

2026年9月7日