16世紀初頭には、サイズが微妙に異なる文字を作り出すために、フォントデザイナー自身が特定のフォントスタイルの文字を型に刻むことがよくありました。 金属に手作業で彫られた様々なサイズの文字は、プロポーションやウェイト、コントラスト、スペーシングなどが微調整され、どのサイズでも読みやすくなるよう仕上げられました。
その後、写真植字やデジタルフォントの技術が生まれると、多くのフォントベンダーはサイズ別にマスターフォントをデザインすることをやめました。というのも、1つのマスターフォントを制作し、新しい技術によってそれを拡大・縮小して各ポイントサイズを展開するほうがコストを抑えられるからです。 ただ残念なことに、1つのマスターから様々なサイズの文字を作成するこの方法では、一定の拡大/縮小範囲を超えると文字の美しさが損なわれてしまいます。 例えば、普通の文字サイズでは美しく見える書体でも、縮小すると詰まって見え、拡大すると重く見えるのです。
アドビオリジナル書体プログラムを開始して以来、高度なフォント技術と最先端のデジタル書体を融合することで、アドビは常にタイポグラフィ分野をリードしてきました。 デジタル時代のタイポグラフィ技術を進化させ続けているこのプログラムの一環として、アドビでは11年前からアドビオリジナル書体ファミリーにサイズ別マスターフォントを導入し、業界全体にその普及を図ってきました。 現在のタイポグラフィでは、4種類のサイズ別デザインによってすべての用途がカバーされ、はっきりと読みやすい本文サイズから洗練された優雅さを持つ大見出しサイズまで、見た目の美しさと読みやすさが大幅に向上したフォントが提供されています。
右に挙げたフォントファミリーには、キャプション、本文、小見出し、大見出しなど、用途に応じた印字サイズごとのデザインが揃っています。
大見出しは、文字の形の優美さで見る人の目をひきつけ、また小さいサイズの文字の軽さや微細さを引き立たせるようデザインされたフォントです。 大見出しのマスターフォントは、繊細でしばしば様式化された装飾と優美なプロポーション、さらには大きな文字の見映えを良くする強めのストロークコントラストがデザインに取り入れられています。 主に24ポイントより大きいサイズで使用されます。
小見出しは、14~24ポイントの文字に最適で、本文を補完する語句によく使用されるフォントです。 本文と大見出しとの中間的立場にあり、実用に適った読みやすさを維持しながら、本文よりも繊細さを重視してデザインされています。
本文は合成フォントファミリーのベースとなり、9~14ポイントの文字用にデザインされたフォントです。 幅広いテキストで最もよく使用されるポイントサイズの文字が読みやすくなるよう、ウェイトとプロポーションのバランスに細心の注意が払われています。
キャプションは自己主張の少ないしっかりとした形を持ち、6~8ポイントの文字で最も読みやすくなるようデザインされたフォントです。