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電子印鑑を無料で作成する方法とPDFに押印する際の注意点

電子印鑑を無料で作成する方法とPDFに捺印する際の注意点

ビジネスの場においては、稟議書や発注書、請求書などの書類に押印する機会が多くあります。

最近では、ペーパーレス化やリモートワークの普及により、従来の印鑑の代わりに電子印鑑の採用を検討する企業も増えています。

そんな中、「電子印鑑はどうやって作成すればよいのか?」「法的効力があるのか?」という疑問や不安を感じている人もいるのではないでしょうか。

この記事では、無料で電子印鑑を作成する方法や電子印鑑の種類、導入のメリット、法的効力の有無、PDFファイルに押印する際の注意点について解説します。

また、電子印鑑の利用と合わせて、PDFファイルに電子サインを追加したいというケースもあるでしょう。記事の後半では、電子サインの追加・依頼がオンラインでカンタンにできる、無料の「Adobe Acrobat オンラインツール」もご紹介します。電子サインの追加には「PDFに入力して署名」機能、電子サインの依頼には「PDFへの電子署名を依頼する」機能が便利です。書類の作成・確認・整理の効率化を強力にサポートしてくれるツールなので、ぜひチェックしてみてください。

※本記事では「PDF」をファイルの形式(.pdf)を指す言葉として用います。

※本記事で紹介する内容は2023年5月時点の情報に基づきます。

目次

電子印鑑の概要と導入するメリット

電子印鑑の種類と法的効力

電子印鑑を無料で作成する方法

電子印鑑を編集する方法

手書きの署名を入れる方法

電子印鑑を導入し業務効率化を図りましょう

電子印鑑の概要と導入するメリット

電子印鑑を導入したくても、電子印鑑とはどういうものなのかがわからず、導入を迷っている人も多いのではないでしょうか。

そこでまずは、電子印鑑とは何かを解説し、導入のメリットについても解説します。

電子印鑑とは

電子印鑑とは、PDFやMicrosoft Word・Microsoft Excelなどで作成した電子文書に押印できる印鑑データのことです。

実際の印鑑で押印する場合は、印鑑そのものがないとすぐに対応できませんが、電子印鑑であればいつどこにいても押印ができるため、書類のやり取りを効率的に進められます

電子印鑑を使ったことがない方は、「どうやって用意すればよいのかわからない」「データを作るのが難しそう」と感じるかもしれませんが、実は誰でもカンタンに作成できます。

電子印鑑の作成方法については、後ほどご紹介します。

続いて、電子印鑑を導入するメリットについて、詳しく見ていきましょう。

電子印鑑を導入するメリット

電子印鑑を導入するメリットは、主に以下の3つです。

  1. どこにいても押印できる
  2. 資料の印刷代や紙代を削減できる
  3. 事務手続きを効率化できる

1.どこにいても押印できる

電子印鑑は、どんな場所にいてもすぐに押印できるのが大きなメリットです。

電子印鑑を導入すれば、リモートワーク中の社員も自宅で押印できます。

出社の必要がなくなる分、通勤にかける時間や交通費のコスト削減にもつながります。

また、外出先でもすぐに押印できるので、急ぎで押印する必要がある際に便利です。

2.資料の印刷代や紙代を削減できる

従来の文書作成の押印では、以下の手順が必要でした。

  1. データ入力
  2. プリントアウト
  3. 製本(必要に応じて)
  4. 押印

電子印鑑を導入した場合、プリントアウトや製本をする手間が省けるだけでなく、インクやトナー、紙代も節約できます。

また、電子印鑑を押印済みの文書はデータで保存できるため、紙の書類を保管するためのスペースも必要ありません。

さらには文書そのものの管理方法も、紙よりデータのほうが管理しやすいというメリットもあります。

3.事務手続きを効率化できる

電子印鑑は場所を問わず書類に押印できるため、事務的な手続きをスムーズに進められます。

例えば、役職者の押印による承認が必要な場合、その人が席にいて印鑑が手元にあるタイミングでないと、承認作業をすぐに進めてもらえません。

しかし、電子印鑑を導入していれば、役職者がどこにいても押印できるため、手続きにかかる時間を省けます。

また、書類を社外に送る必要がある場合は、郵送作業の手間や郵便代を節約でき、業務の効率化に加えて経費削減にもつながります。

電子印鑑の種類と法的効力

電子印鑑は大きく分けて以下の2種類があり、法的効力の有無が異なります。

1. 印影を画像化したタイプ

2. 印影に識別情報が保存されたタイプ

ここからは、電子印鑑の種類と法的効力について詳しく解説していきます。

電子印鑑の種類

1.印影を画像化したタイプ

「印影」とは、朱肉をつけた印鑑本体を紙に押し、その紙に残る跡のことです。

印影を画像化したタイプは、主に以下のように作成された電子印鑑を指します。

一般的な無料の電子印鑑は、上記に該当します。

認め印と同等に扱われますが、実は法的効力はありません。

本人が押印したことが証明できないため、重要書類には使用できない場合がほとんどです。

重要な場面で電子印鑑を用いるのであれば、次の「印影に識別情報が保存されたタイプ」を用いてください。

認印として使うのであれば、印影を画像化したタイプの電子印鑑でも問題ないでしょう。

2.印影に識別情報が保存されたタイプ

印影の中に、押印者や押印日時などの識別情報が保存されている電子印鑑で、本人が押印したという証明ができます。

そのため法的効力があり、契約書や会計・雇用関連などの重要書類にも使用できます。

電子印鑑を使う場合の注意点

電子印鑑には「どこでも押印できる」「事務手続きを効率化できる」といったメリットがあります。

ただし、電子印鑑には以下のデメリットもあります。電子印鑑を賢く使うにあたり、以下の2点に注意しましょう。

  1. 印影を画像化したタイプの印鑑(無料の電子印鑑)は、悪用されるリスクがある
  2. 電子印鑑を使えない書類がある

1.印影を画像化したタイプの印鑑(無料の電子印鑑)は、悪用されるリスクがある

電子印鑑作成用のフリーソフトやWord、Excelなどで作成した電子印鑑は、誰でもカンタンに作成できるので、偽造やなりすましなど、悪用されるリスクがあります。

また、実際の印鑑の印影をスキャンして作成した電子印鑑も、誰でもスキャンできるため安全とはいえません。

そのため、見積書や請求書、契約書など企業間の取引に用いる書類や、機密情報を扱う書類には、印影に識別情報が保存されたタイプの電子印鑑を使ったほうがよいでしょう。

2.電子印鑑を使えない書類がある

印鑑の押印が必要な書類の中には、電子印鑑が使えないものもあります。

例えば、土地や賃貸の契約に関わる書類については、自治体から「印鑑登録証」が発行された印鑑、つまり実印が必要となります。

電子印鑑は印鑑登録ができないため、実印の代わりに使うことはできません。

ちなみに、無料の電子印鑑は、悪用のリスクはあるものの、認印程度の効力があります。

社内文書など「認印でもOK」とされている書類については、無料の電子印鑑を使用することで業務効率化にもつながりますので、ぜひ取り入れましょう。

ここまで、電子印鑑を使う場合の注意点についてご紹介しました。

続いて、電子印鑑を無料で作成する方法を解説します。

電子印鑑を無料で作成する方法

無料で電子印鑑を作成する方法はいくつかありますが、この記事では電子印鑑を作成・編集する機能が備わっている「Adobe Acrobat Reader」(無料版)を使った作成方法を紹介します。

Adobe Acrobat Readerを使うと、印影データをカンタンに作成できるだけでなく、既存のPDFファイルに押印できるので、PDFの書類作成を効率よく進められます。

(法的効力が必要で、識別情報が保存される電子印鑑を使用したい場合は、有償版のAdobe Acrobat Proをご利用ください)

なお以下の記事では、無料ツールを使って作成した電子印鑑を、無料の「Acrobat オンラインツール」を使ってPDFファイルに押す方法を解説しています。「電子印鑑を作成したいが、会社印の印影データがない」という場合でも電子印鑑を作れて非常に便利ですので、ぜひご確認ください。

【無料】電子印鑑を編集・作成してPDFに押す方法

それでは、無料版のAdobe Acrobat Readerで電子印鑑を作成し、PDFファイルに押印する手順について見ていきましょう。

【手順1】Adobe Acrobat Readerをインストールする

以下のページにアクセスし、Adobe Acrobat ReaderをPCにインストールします。

Adobe Acrobat Reader をインストールする

【手順2】Adobe Acrobat Readerを起動し「環境設定」を開く

メニューバーから「編集」→「環境設定」をクリックします。

【手順3】表示されたメニューの中から「ユーザー情報」を選び、必要な情報を入力する

「ユーザー情報」を選択すると、姓名や会社名、部署名などの入力フォームが表示されます。

電子印鑑に含めたい情報を入力し、「OK」をクリックしてください。

これで、電子印鑑の内容が保存されました。

【手順4】電子印鑑を押印したいPDFファイルを開く

Adobe Acrobat Readerで、電子印鑑を押印したいPDFファイルを開きます。

【手順5】「スタンプ」を選択する

メニューから「ツール」タブをクリックし、画面右下の「スタンプ」を選択してください。

【手順6】中央上の「スタンプ」→「電子印鑑」の中から、押印したい形式を選択する

姓名や会社名の表示や日付の有無など、数種類の形式が用意されているので、任意の形式を選択してください。

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【手順7】電子印鑑が表示されるので、押印したい場所へ移動させる

押印したい形式を選択すると、Adobe Acrobat Readerで開いている書類に電子印鑑がカーソルにくっついている状態で表示されます。

押印したい位置に合わせてクリックすると、印鑑をその場所に固定できます。

これで、Adobe Acrobat Readerを使った電子印鑑の作成と押印が完了しました。

カンタンな手順ですぐに電子印鑑が作成できるので、ぜひ試してみてください。

「Adobe Acrobat Reader」で無料の電子印鑑を作成する

電子印鑑を編集する方法

Adobe Acrobat Readerで作成した電子印鑑の姓名や会社名は、後から編集することもできます。

ここでは、電子印鑑の編集手順を紹介します。

【手順1】 Adobe Acrobat Readerで押印したいPDFファイルの書類を開く

【手順2】メニューから「ツール」→「スタンプ」をクリックする

【手順3】画面の中央上のメニューから「スタンプパレット」をクリックし、ドロップダウンのリストから「電子印鑑」を選択する

【手順4】編集したいスタンプの上で右クリックし、「ユーザー情報を編集」をクリックする

【手順5】編集したい箇所を修正し、「完了」をクリックする

これで電子印鑑の編集が完了しました。

手書きの署名を入れる方法

「印鑑は不要だけれど、PDFファイルに手書きの署名を入れたい」という場合は、Acrobat オンラインツールの「PDFに入力して署名」を使うのがオススメです。ブラウザー上で使えるため、アプリのダウンロードは不要です。電子サインを追加したいPDFファイルをアップロードしてツールにログインすれば、直感的な操作で作業が完了します。

なお、Acrobat オンラインツールは、アップロードされた情報を暗号化します。ログインせずにAcrobat オンラインツールを利用した場合、アップロードしたデータはサーバーから削除されるので、安全です。ログインした場合は、アップロードや変換をしたファイルは暗号化してクラウドストレージに自動で保存され、いつでも削除できます。

(セキュリティに関する取り組みについて詳しくはこちらもご確認ください)

【手順1】Acrobat オンラインツールにPDFファイルをアップロードする

Acrobat オンラインツールの「PDFに入力して署名」を開き、PDFファイルを以下のいずれかの方法でアップロードしてください。

【手順2】無料登録・ログインする

アップロードが完了したら、画面左のボタンからAcrobat オンラインツールに無料登録・ログインします。

ログイン方法は、Adobe アカウントに加えて、Google アカウント、Facebook アカウント、Apple IDから選択できます。

【手順3】電子サインを作成する

ログインが完了したら、左サイドのメニューに表示される「署名を追加」を選択します。

【手順4】サインのフォーマットを選択する

ポップアップが開いたら、上部の選択肢から任意のフォーマットを選びサインを作成してください。各フォーマットの意味は以下のとおりです。

  1. タイプ:入力した文字をサインとして使用
  2. 描画:自由に描画した形をサインとして使用
  3. 画像:アップロードした画像をサインとして使用

【手順5】作成したサインを配置する

作成が完了したら、ポップアップの右下の「保存」ボタンをクリックします。その後、PDFファイル内の任意の箇所をクリックするとサインを配置できます。サインの枠線上の円をドラッグすると、サイズを調整可能です。

【手順6】サインを追加したPDFファイルをダウンロードする

サインが完了したら、PDFファイルをダウンロードしましょう。画面右上の3点リーダーを押すと「このファイルをダウンロード」というメニューが表示されるので、クリックしてください。

一方「作成した書類に電子サインを依頼したい」という場合にも、Acrobat オンラインツールは便利です。Acrobat オンラインツールの「PDFへの電子署名を依頼する」を使えば、すぐに電子サインの依頼ができます。電子サインをする側の操作も非常にカンタンなので、以下の記事の内容も参考にして、ぜひ試してみてください。

【無料】PDFに電子署名の追加・依頼ができるオンラインツールと使い方】

ちなみに、Acrobat オンラインツールの有償版「Adobe Acrobat Pro」に含まれる「Acrobat Sign」なら、識別情報が保存されたデジタル署名を作成することも可能です。

署名者が本人である証明が必要な場合は、Acrobat Signのデジタル署名を使用しましょう。

Acrobat Signのデジタル署名について詳しく見る

電子印鑑を導入し業務効率化を図りましょう

電子印鑑を無料で作成する方法やメリット、法的効力、使用する際の注意点などについて解説しました。

電子印鑑を導入すれば、押印のためにわざわざ出社する必要がなくなったり、紙代や郵便代、紙の保管スペースの削減にも繋がったりするため、業務効率がアップします。

認印で対応していた社内文書は、無料の電子印鑑でも問題がない場合が多いため、ぜひ導入を検討してみてください。

Adobe Acrobat Reader(無料)で電子印鑑を作成する

また、電子サインの追加といった作業をはじめ、PDFに関する25種類以上もの機能を無料で使える「Acrobat オンラインツール」もご紹介しました。PDFファイルを扱う業務の効率化に便利な機能が盛りだくさんなので、ぜひ一度試してみてください。

(制作:村中貴士、ノオト、ウェブライダー)

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https://milo.adobe.com/libs/img/mnemonics/svg/acrobat-pro-64.svg

ぜひAdobe Acrobatオンラインツールをお試しください

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