読みたくなる会社案内とは?読み手に届き、目的を達成するパンフレットを作るヒント

 

オンラインコミュニケーション手段が発達した時代においても、営業や採用に大きな効果をもたらす会社案内パンフレット。その作り方、読み手に届く構成やデザインのポイント、優れたパンフレットの実例までご紹介します。

 

インターネット上でのやり取りが中心になり、ペーパーレス化も進んでいる現在。「WEBサイトやSNSがあるから、わざわざ紙で会社案内を作る必要はないのでは?」と考える人もいるかもしれません。

 

しかし、紙のパンフレットには、WEBサイトやSNSとは少し違った強みがあり、まだまだ侮れません。そこで今回は、会社案内パンフレットの作り方、読み手の心に響くコツ、優れたパンフレットの実例について解説します。

 

1.会社案内パンフレットはなぜ必要?

2.会社案内パンフレットの作る手順

3.読み手に届く会社案内へ進化させるヒント

4.魅力的な会社案内パンフレット事例3選

5.   ポイントをおさえて目的を達成できる会社案内パンフレットを

 

 

 

1.会社案内パンフレットはなぜ必要?

 

 

対面営業や説明会で直接見せながら説明でき、そのまま渡せる紙の会社案内。ISOなどの資格認証情報、豊富な実績、質の高い機械を使っているといった、限られた時間の中では説明しきれない情報を補ってくれる、心強い存在です。

 

たとえば、営業活動において、担当者は好感触だったのに決定権者の決済が下りず契約に至らなかったというケースがあります。しかし、優れたパンフレットは取引先の決定権者に直接会わずとも自社の強みを伝え、商談を良い方向に持って行ってくれる役割も果たしてくれます。

 

 

優れた会社案内パンフレットには「共通点」がある

 

では、優れた会社案内パンフレットとはどのような特徴があるのでしょうか。

 

1. 課題の提起

特徴1:パンフレットの役割・目的が明確

大切なのは、目的が明確であることです。会社案内パンフレットを制作する目的は、大きく分けて以下の3種類があります。

 

1.信用獲得

2.営業

3.採用

 

制作するパンフレットの目的は、これらのどれなのかを見据え、関係者と共有した上で制作に入りましょう。

 

 

特徴2:等身大で会社の情報を伝えている

 

内容の面では、会社や商品の魅力を最大限に引き出し、なおかつ等身大で伝えることが重要です。

 

たとえば、営業目的のパンフレットなら、単に商品の説明を載せるのではなく、トップ営業マンに日頃どのように商品案内をしているのかヒアリングし、そのノウハウを詰め込んだものを作ること。そうすれば、新人であってもベテラン並みに商品の魅力を伝えられるかもしれません。

 

また、ある企業は、内定辞退率が8割まで上がってしまったことに悩み、採用パンフレットを大幅に見直して会社の雰囲気や仕事内容をありのままに見せるようにしたところ、辞退率がぐっと下がったそうです。

 

これだけは避けたい……! よくある3つの失敗例

 

反対に、うまくいかないケースにも特徴があります。ここでは、よくある失敗について考えていきます。

 

4. 採用後のメリット

失敗1:「最大公約数」の無難なコンテンツ集

 

初心者にありがちなのが、他社の会社案内パンフレットをたくさん集めて、それらの最大公約数的な無難なコンテンツ集を作ってしまうこと。

 

確かに会社案内として「スタンダードな構成」は存在しますが、他の会社が載せている項目のすべてが自社にも必要とは限りません。あくまでも自社の目的を見据え、達成するために必要な項目を掲載しましょう。

 

失敗2:見た目がカッコいいだけで中身がない

 

カッコいいデザインでしっかり機能もすればもちろん良いのですが、パッと見はおしゃれでも何を言いたいかわからないパンフレットでは作った意味がありません。

会社案内パンフレットを作るのは、あくまでも最初に設定した目的を達成するため。どのような人たちの心を掴みたいのか、そのためにどんな印象を与えたいのかといったゴールから逆算して、デザインの方向性を決めましょう。

 

失敗3:奇抜なカタチで扱いにくい

 

どうにかして読み手の印象に残そうと奇抜なデザインをめざしたくなる気持ちは分かります。しかし、変形で持ち歩きにくかったり、小さくて他の書類にまぎれてしまったりするようなものだと、存在を忘れられてしまうかもしれません。

 

個性的な形状でなおかつ本来の目的をしっかり果たすものを作るのは、実はとてもハイレベルなこと。初めて作る、または社内で制作する場合は、スタンダードなA4サイズを選ぶと間違いありません。

 

 

2.会社案内パンフレットを作る手順

 

 

会社案内パンフレットの制作手順を、ステップや注意点と共に分けてご紹介します。

 

写真はまず見た目が勝負

STEP1.会議

 

関係者で会議を開き、会社案内パンフレットを制作する目的、掲載する項目、スケジュールなどを共有します。

 

事前のリサーチが肝心

 

たとえば、営業目的のパンフレットを作るなら、その商品やサービスがなぜ売れているのかを営業スタッフに聞いてみる。採用目的であれば、なぜこの会社を選んだのか、なぜ続けているのかを社員に聞いてみる。そうすれば、パンフレットの中でどのようなことを優先的にアピールすべきなのかが見えてきます。

 

ある企業の例です。新卒採用を人材会社に任せていたもののうまくいかず、思い切って自分たちが主導で動いてみることにしました。そこで、実際に社員たちに「なぜ入社したの?」「なぜ続けているの?」と聞いてみたところ、人事や経営者が想像もしていなかった答えがたくさん出てきたとのこと。それを採用パンフレットに反映したところ、エントリー数が爆増。マスコミや採用業界からも注目されるほど、入社希望者が殺到したそうです。

 

STEP2.日程表を作る

 

会議で話し合った内容を元に、制作工程を日程表に落とし込みます。各作業の締め切りを細かく、できれば少しでも余裕を持ってスケジュールを組むことが望ましいです。

 

スケジュールはできるだけ細かく 早めの用意を

 

制作に入る前に準備しておいていただきたいのが、日程表です。会社案内パンフレットの制作は、企業活動において日常業務から離れたイレギュラーなもの。さらに自社内で完結するため、遅れてもお客様にご迷惑をかけることもなく、どうしても後回しになりがちです。最終的な完成日だけでなく、工程ごとに細かく期日を設定して日程表に落とし込み、関係者で共有するようにしましょう。

 

STEP3.構成項目・ページ数を決め、台割を作る

 

制作するパンフレットの大枠を決める工程です。どのような項目をどれくらいのボリュームで掲載するのか、そのためには何ページ必要なのかを検討し、ページ数が決まったら、どのページに何を載せるのかを一覧にまとめた「台割(だいわり)」を作ります。

 

ちなみに、スタンダードなボリュームはA4サイズ縦の8ページ。A4は官公庁が求めるサイズなので無難です。写真をたくさん大きく載せたい場合などは16ページなどに増やすと良いでしょう。

 

STEP4.テキスト作成

 

どの項目を誰が書くのかを決め、早めに依頼しましょう。

 

また、社員や役員に原稿を依頼する場合は、アンケート形式の雛形を作って渡す、参考にしてもらうため他社の会社案内の原稿を見せるなどの準備をすると、ハードルが下がって早く書いてもらいやすくなり、遅れにくくなります。

 

STEP5.デザイン

 

サンプルなどを参考にしながら、デザインを調整します。はじめから細部にこだわりすぎず大まかに最後まで作り、後から微調整をしていくとスピーディに作れます。デザインのTipは次の章でご紹介します。

 

STEP6.確認、修正

 

関係者が増えるほど、いろいろな意見が出るもの。最初から完璧なものを作ろうとせず、皆で意見を出し合って良いものにするくらいの心がまえで良いかもしれません。そのためにも、確認・修正に要するスケジュールは余裕を持って組んでおきましょう。

 

STEP7.校正

 

内容が決定したら、印刷に出す前に必ず校正をしましょう。校正とは、誤字・脱字がないか、記載内容に誤りがないかを確認する作業です。

 

見落としをしないためのポイントは、必ず印刷して、できれば実際のパンフレットのカタチに製本してチェック作業を行うこと。特に部数が多い時は念入りに、複数人の目でチェックしましょう。

 

STEP8.印刷

 

印刷会社を決め、原稿データを渡して印刷を依頼します。当たり前ですが、一度印刷するとやり直しがきかないので、印刷会社選びは慎重に行いたいところ。最近は、印刷料金もさまざまですが、安すぎるところには注意したほうがいいかもしれません。

 

特にページ数や部数が多い時は、面付け(刷版に対して印刷・断裁・製本加工の都合を鑑みてページ配置を行うこと)までしてくれる会社、印刷ミスが起きないためのチェック体制がしっかりしている会社を選ぶことをおすすめします。

 

 

3.読み手に届く会社案内へ進化させるヒント

 

その写真で何を伝えたいか

 

会社案内を作ってみたものの、もう少し良くするにはどうすればいいの? ここでは、ちょっとしたことで、読み手へより届き、印象に残すためのヒントをご紹介します。

 

人物写真で、「思わず開きたくなる表紙」に

 

会社案内パンフレットの表紙は、会社のコンセプトや背景を想起させるビジュアルをメインにするのが基本です。

 

社屋の写真やイメージCGなどが使われることが多いですが、そこに人物の写真を工夫して配置すると、思わず開いてみたくなる雑誌風の表紙に仕上がります。たとえば、作業をしている社員の横顔をアップで撮って全面に使ったり、社員の集合写真をキャッチコピーとともに載せたり。雑誌や書籍の表紙を参考にしてレイアウトしてみてください。

 

情報を並べる順にも読者目線を

 

ページ構成の基本は、大枠から始まり徐々に詳細に入っていくこと。たとえば、最初の見開きにブランド全体のコンセプト、次に商品カテゴリーの紹介、そして具体的な商品ラインアップを伝えていく流れです。

 

また、読み手が読みたいと思われる順番で紹介するのもおすすめ。採用パンフレットなら、多くの求職者が関心を持つ会社の雰囲気や具体的なキャリアアップの道筋といったコンテンツを冒頭に。いずれにしても、読者目線を忘れないことを大事にしましょう。

 

読みやすく、慣れ親しんだ自然なフォントを使う

 

読ませる紙面作りには、フォント選びも重要です。見出しやキャッチコピーは見やすいゴシック体、文章は教科書や新聞に使われていて多くの日本人が読み慣れている明朝体がおすすめ。オシャレにしようと奇抜なフォントを使っても、可読性が低くなり逆効果になることも。どうしても個性的なフォントを使いたければ、できるだけサイズを大きくして、一カ所だけに絞るなど多用を避けると、可読性が落ちずにすみます。

 

原色ではなく、高級感のある中間色を

 

色使いに関しては、原色、特に緑を使いすぎるとチープな印象になりがち。少し専門的な話になりますが、色のバランスを表すCMYKの各数値が均等な色よりも、Y=20、M=80といったいわゆる中間色のほうが、高級感が出せます。

 

写真は「アイポイント」をずらし、インパクトを出す

 

伝えたいことを盛り込みすぎて文字ばかりの紙面になると、全部読んでもらうのはなかなか難しくなります。そんな時に活躍してくれるのが、イラストや写真。文字だけが書いてあるよりも文字が画像の近くに書かれているほうが、より読まれやすいという調査もあるほど。

 

写真を選ぶ時のコツは、「アイポイントからずらした構図」を選ぶこと。アイポイントとは、人が普通に立っている時の自然な視界。普段から見ている当たり前の目線ではなく、例えば社屋の写真を下からあおって撮る、高いところから見下ろして撮る、グッと近くに寄って撮るなどすると、比較的簡単にインパクトを持たせられます。

 

 

その写真で何を伝えたいか

<キャプション>アイポイントからずらし、見上げるように撮った写真の例 

イラストは使いどころを考えて

 

イラストはプロのイラストレーターに依頼するのがベストですが、予算がなければ、Adobe Stockなどのインターネットで頒布されている素材を使う方法も。「手作りの味」を出そうと自分たちで描いても、プロ並みにうまくない限りは、パンフレット全体のクオリティを下げてしまいます。

 

それから、「新入社員の一日」や「商品の活用方法」などのコンテンツを、文章ではなくマンガで表現するのも一つの方法です。本格的な絵までは描けなくても、写真に吹き出しをつけてマンガ風にするだけでも、楽しく引き込ませることができます。

 

見出しは文章の「予告編」 興味を喚起する内容を

 

どうしても情報量が多く文章主体の紙面にせざるを得ない場合は、見出しを工夫しましょう。コツは、その文章を読むことによって受けられるメリットや読み手に関わりのあることを見出しに持ってくること。いわば、見出しは文章の「予告編」。見出しの段階で内容に興味を持たせられれば、多少文章が長くても読了してもらえます。

 

デメリットも包み隠さず伝える

 

内容面では、良いところばかりをアピールするのではなく、デメリット要素も包み隠さず伝えるのも大事。そうすることで、逆にメリットの信憑性が高まります。

 

たとえば

・商品を使用したお客様に聞いた、気に入っている部分と改善してほしい部分の両方の意見

・社員に聞いた、仕事のやりがいと難しさ

・自社製品と他社製品との性能比較表

など。

 

読み手が知りたいことに先回りして、それを親しみやすい手法でリアルに伝えることを目指しましょう。

 

豪華に見える作りにすると、長く保存してもらえる

 

第一印象のインパクトだけでなく、大切に取っておいてじっくり読んでもらえるための工夫も大切です。ポイントは、豪華に見える作りにすること。厚手の紙にしたり、表紙周りにPP加工(紙の表面を透明フィルムでコーティングすること)などを施したり、文字を箔押ししたりすると、高級感を演出できます。

 

もしくは逆に、海外の雑誌のようなザラザラの紙で親近感を持たせる方法も。与えたいイメージを考慮しながら、紙や加工方法を選びましょう。

 

 

4.魅力的な会社案内パンフレット事例3選

 

Case1.モノクロ×ゴールドで高級感を演出

 

表紙は、全面モノクロ写真でタイトルはゴールドの箔押し。中面も背景をモノクロで統一し、ところどころ配置しているカラー写真を引き立てています。これは、「高級車のカタログのような特別感で、競合に負けないブランドを打ち出したい」とのリクエストにより制作されたもの。

モノクロをメインにゴールドやカラーを効かせる手法は、初心者でも取り入れやすいのではないでしょうか。

 

Case2.コミック風×温かみで親近感を与える

 

読み手に伝えたいことをストーリー化して整理し、手書き文字や吹き出しを使って温かみあるコミック風に仕上げたパンフレット。情報量が多くなってしまうことを逆手にとって、読み物として楽しませる方法です。

 

手書き文字は多用しすぎずワンポイントで使う、ところどころに囲みを入れたり斜めに配置したりするなどすると、目を引くポイントが作れます。こうしたパンフレットがあれば、新人営業マンでも伝えるべきことを順序だてて噛み砕いて伝えやすくなるでしょう。

 

Case3.スタンダード×ユニークでメリハリを利かせる

 

前半はスタンダードに写真とキャッチコピー、文章、後半ページはなんとスタッフがコスプレをしている写真集という大胆な構成。毎年、同じ作りをしていてファンも多いのだとか。

 

伝えるべきことは基本に則ってしっかり伝え、遊ぶところは思いきり遊んで読み手の心をつかむというメリハリの効かせ方で、読み手に信頼感と親近感の両方を与える好例です。

 

 

5.ポイントをおさえて目的を達成できる会社案内パンフレットを

 

 

会社案内パンフレットは、完成してからがスタートです。いつから、誰に(どこで)、どんな方法で配布したのかを記録し、商品販売件数や求職者エントリー数など目標数値の変化があるのかを観察して効果測定しましょう。

 

もし思ったような成果が出なければ、関係者にヒアリングするなどして課題点を洗い出し、パンフレットをブラッシュアップしていくことが大切です。今回お伝えしたポイントを参考にしながら、目的を達成できるパンフレット制作を目指してください。

 

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取材協力:大木小四郎

 

株式会社アートバリエトップ代表取締役。フリーとして絵本やプラモデルのパッケージイラストなどを手掛け、1981年にアートバリエトップを設立。会社案内やPR誌の制作を手掛ける。

 

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(執筆:北村朱里 編集:ノオト)

 

 

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