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写真に文字を入れるときのコツ

ポスターやSNSの写真など、私たちは生活の至るところで「文字が入った写真」を目にしています。最近ではスマートフォンにも簡単に写真に文字を入れられる編集機能が装備されており、日常的に活用している人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、写真に対する文字の入れ方や、効果的なフォントの選び方、配置の仕方について、グラフィックデザイナーのアトオシとデザインさんにお話を伺いました。

写真に文字入れするシーンと効果

写真に文字を入れる場面やその効果にはどのようなものがあるでしょうか。

写真に文字入れするシーン

写真に文字を入れるシーンとして考えられるのは下記の通りです。

これだけの種類がありますが、なかなか普段から「文字入りの写真だ!」と意識することは少ないかもしれません。それほどに生活に溶け込んでいる証拠でしょう。

写真に文字入れする効果

写真に文字を入れると、それを見た相手に向けて、知らせたい情報や与えたい印象がより伝わりやすくなります。

例えば、イベント告知のチラシを作成する場合、場所や日時を文字入れすることで「いつ、どこでイベントが開催されるのか」といった写真だけではわからない情報を伝えることができます。

また、イベントのコンセプトがキャッチコピーとして入っていると、「どんなイベントなのか」という印象をより強く伝える効果もあります。

【アトオシとデザインさんのワンポイントアドバイス】

伝えたいことが多いからといって、写真のビジュアルを邪魔するほど文字を入れてしまっては逆効果です。まずは、正確に情報を伝えるための写真なのか、コンセプトを知ってもらうための写真なのか、用途を明確にすることからスタートしましょう。目的に合わせて文字入れの内容を決めていきます。

用途に合ったフォント・場所・文字色の選び方

では実際に写真に文字を乗せていきましょう。キャッチコピーやイベントの開催日時などの文字情報が重要であることに変わりはありませんが、「書体=フォント」の選び方でも印象が大きく変わります。無数に存在するフォントですが、テーマによって相応しいフォントを知ることで、より伝わりやすい文字となるはずです。

フォントの選び方

「フォント」と聞いて明朝体やゴシック体といった名称を思い浮かべる人もいるでしょう。このフォント選び一つで、かわいい雰囲気や力強い印象を見る人へ与えることができます。フォントをなんとなく選んでしまうと見た人に情報や印象が正しく伝わらない可能性が高まりますので、代表的なフォントだけでも覚えておくことをオススメします。イメージに合ったフォントの例を挙げてみますので参考にしてください。

写真

では、フォントの違いで印象がどのように変化するのか具体的に見てみましょう。下の2つの画像は、それぞれ同じ写真に別のフォントで文字入れをしています。

どちらも力強さを演出するためにゴシック体を使用していますが、ゴシック体の中でも、左の写真に使った「墨東N」と「ゴシックMB101」は“アクティブ・酸っぱさ”、右の「UD新ゴ」は“親しみ・読みやすさ”を印象づける意図で選ばれたフォントとなります。

波の写真に重なるサーファーの写真
波の写真に重なるサーファーの写真
(左)墨東NとゴシックMB101 (右) UD新ゴ

これは、どちらが正解ということではなく、この写真を見た人にどんな印象を与えたいかによって答えは変わるという例です。

【アトオシとデザインさんのワンポイントアドバイス】

例えば、“ポップ”で“かわいい”アクセサリー店のショップカードやSNS投稿写真を作りたい場合、明朝体を使うと“キレイ”や“洗練された”イメージに仕上がり、狙った方向とややズレるかもしれません。フォントとの組み合わせをヒントにフォント選びをしていくと、徐々にオリジナリティも演出できるようになっていくでしょう。

文字を置く位置の考え方

文字を置く場所については、基本的に対象物にかからない場所、例えば左下に物体が写っているとしたら、その対角上の右上に置いてみるところから始めると良いでしょう。そこからバランスの良い場所を決めていきます。

写真

物体の対角上に文字を配置した写真

イベントのコンセプトを伝えたい場合は、被写体を目立たせてみましょう。無地部分の余白を大きくとり、文字の大きさは控えめにすると、よりビジュアルが強調されます。

写真

余白に大きく文字を配置した写真

逆に文字情報を目立たせたい場合は、余白を埋めるように文字を配置して、概要や日程などのフォントサイズを大きくすることで、イベントへの来場を促す効果が得られます。

【アトオシとデザインさんのワンポイントアドバイス】

余白がまったくない場合、対象物の上に被るように文字を置いていくしかないケースもあると思います。その際は文字を強調させるために下地に帯を敷くなど(後述)の手法も検討してみてください。あくまで写真の主役はどれなのか、チェックする機会にもなります。

文字色の選び方

文字の色は、被写体と同系色を選ぶことによって写真全体の統一感を持たせられます。逆にメッセージ性を強調したい場合、キャッチコピーに「補色」と呼ばれる相対する色を選ぶケースもあります。

例えば、青い空や海が大部分を占める写真に文字を入れるとき、文字を目立たせたくない場合は同じ青系の文字を入れて馴染ませる。逆に目立たせたい場合は補色である黄色い文字を入れる、などが考えられます。

波の写真に重なるサーファーの写真
波の写真に重なるサーファーの写真
(左)背景と同系色の文字色 (右)背景の補色の文字色

同系色や補色といった各色の関係性はカラーチャートで学ぶことができますので、知識として知っておくと素早く色選びができるようになります。

【アトオシとデザインさんのワンポイントアドバイス】

「ここは読んで欲しい」という箇所は目立つ補色を使うことでメッセージ性を強められます。例えばキャッチコピーは馴染ませたいので同系色を、説明書きは補色を、と使い分けてみるとテキストの役割を使い分けられます。

文字の装飾テクニック

伝えたいコピーも決まり、文字を置く場所も確定したところで、何か物足りなさを感じる場合も。そこで、ちょっとしたテクニックで文字を効果的に見せる装飾テクニックをいくつか紹介します。

影をつけて文字を浮かび上がらせる

立体感を出したい場合、文字に影をつけると対象物から文字が浮き上がり目立たせることができます。手法としては、アプリの機能に「ドロップシャドウ」などの項目があればそちらを使いますが、機能が使えない場合、その文字をコピーして同じものを作成し重ね、下側の文字色をボカすことで影のような効果を生み出すことができます。広さや位置などを決め、JPEGなどの画像ファイルとして書き出して仕上げます。

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文字の下に帯を敷いて強調する

文字の下に地の色を敷く手法があります。複数の帯入り文字を置くことで、説明書きのような印象を与えられるでしょう。黒地を敷くことで白文字などを目立たせることもできます。写真に文字を置く余白が無い場合にも有効です。

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名詞と助詞で文字の大きさを変える

商品名が入った文字列を乗せる場合に有効なのが、文字の大きさを変える手法です。名詞を大きく、助詞を小さくすることで、その写真の商品をより強く印象づけることができます。

【アトオシとデザインさんのワンポイントアドバイス】

同じ文字列の中で文字の大きさを変えると、その商品名や対象物の印象が強くなります。読むリズムもつけやすいので、相手に認識してもらいやすくなるケースもあります。

写真

何を伝えるために文字を入れるかを認識しよう

写真に文字を入れることによって、より相手に「伝わる」1枚に仕上げることができます。今回、ここに紹介した手法は初歩的ではありますが基本としてしっかり身につけておきたいものばかりです。

複雑な文字の加工など、よりレベルアップしたい場合はAdobe Photoshopなど高機能なアプリがインスピレーションをサポートしてくれることでしょう。さらにAdobe Expressを使えば、プロがデザインしたテンプレートを活用して簡単に文字入れができますので、新しいアイデアを得たい場合にもオススメです。

Photoshop

Express

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取材協力: アトオシとデザイン

グラフィックデザイナー。「目的を形にする、ロゴデザインとブランディング」をコンセプトに、商品や企業、店舗、サービス、コンテンツの「ロゴマーク制作・ブランド構築」を中心とした、グラフィックデザインを行う。また、「“デザイナーではない人”にデザインを伝える」をモットーに、メディア出演や書籍執筆、講座、YouTubeなどで、「グラフィックデザインの考えかた・コツ」をわかりやすく・おもしろく伝えている。グッドデザイン賞受賞、日本タイポグラフィ年鑑ベストワーク賞(部門最優秀賞)受賞、Amazonランキング1位獲得(デザイン部門)、他多数受賞。

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(取材・執筆:赤坂太一 編集:ノオト)

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