セピア色のモノクロ写真

アンティークショップに置かれた古い写真でも、美術館に展示されたアートとしての写真でも、セピア写真はすぐに人の目を引きつけます。「セピア写真は、モノクロ写真と同じようにモノクロの配色です。つまり1つのトーン、1つのカラーから構成されています。しかし、モノクロでなく茶色です」と語るのは写真家のEllen Fischさんです。

伝統的なモノクロ写真は標準的なグレースケールを使ってハイライトと影を出しますが、セピア写真はその代わりに、赤っぽい茶色を使ってそうした色を出していきます。「セピアの場合、光をもっと柔らかく使います」とFischさんは付け加えます。そのようにして、ソフトで夢見心地のような美しさを出すことができるのです。

暗室から生まれたセピア写真

セピアの色調は、アナログのフィルム撮影の時代に始まり、それは写真現像の際に暗室でおこなわれました。技術的には、セピアトーニングとは化学反応のプロセスです。そのプロセスで写真印刷の感光乳剤の中にあるメタリックシルバーがシルバー混合硫化物に変換されます。このプロセスにより写真の最終的な色の変化により、写真が周辺の環境にも耐えられるようにします。その結果、写真は長い年月の間保存されることになります。

A photographer reviewing an image in their darkroom to make sure it is sepia
暗室でのセピアトーニングのプロセスは、カラー写真ではできません。この方法をおこなう写真家は現在でもいますが、これはコストがかかり、しかも特別な化学薬品と機器がなければ適切におこなうことができません。「暗室の方がもっと伝統的なやり方です。暗室の方法を好む人もいます。実際に暗室で、薬品や液体を使って作業するという、その雰囲気を気に入っているのです」と語るのは写真家のGregory Ballosさんです。写真は現像し印刷すれば、思いどおりに撮れたかどうか確認できます。一方、セピア効果が出たかどうかは、デジタル写真のツールを使えば簡単に確認することができます。

セピアの色合いでアート風な外観

セピアトーニングは元々、写真を長く保存するために使われたので、現存している古い写真の多くはセピア写真です。そのため、セピア写真はアンティーク的な側面をもつようになりました。現在、デジタル写真でセピア色の効果を加えれば、レトロまたは古色蒼然とした感じの写真にすることができます。このセピアのテクニックを使えば、昔の記憶を表現したりノスタルジックな雰囲気を見る人に伝えたりすることができます。

セピア色は温かみのある優しい色合いで、エッジが柔らかな感じになります。力強いラインと影のある、硬い感じの建築写真でさえ、セピア効果を施せば暖かく柔らかな外観となります。

「セピアは風景写真ととても良い相性があると思います。写真に色を加えるととても綺麗になりますが、あのビンテージセピアの色は独特の雰囲気を出します。フルカラーの写真より、ずっとレトロな感じを出すことができます」とBallosさんは言います。ポートレートから自然の写真まで、セピア写真は題材に意外性のあるアプローチを与えてくれます。

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Using a sepia filter to adjust the color of a digital photograph

デジタルセピア写真を作成する

Adobe Photoshopの写真編集ソフトがあれば、温かで優しい感じのセピア効果を作るのに暗室は必要ありません。実際、後処理の最中にセピアフィルターを適用すれば、どのような画像でも、フルカラーの写真を簡単にセピア色にすることができます。画像/色調補正/フォトフィルターの順にクリックし、セピアを選ぶだけです。次に、スライダーを使って調整レイヤーを編集し、セピア効果をどれだけ強調したいのか決めていきます。

カラー写真をモノクロ写真に変換し、その後でセピア効果をかけると、より本格的なビンテージの雰囲気を出すことができます。写真をモノクロに変換するには、画像/色調補正/モノクロの順にクリックします。次に、ハイライト、ローライト、カラースライドを調整していきます。グレースケールの画像ができたら、セピア効果を適用して写真に柔らかで温かいタッチを加えましょう。

A sepia image of a vase filled with flowers on a table
A sepia photo of a blossoming tree behind a wrought iron handrail

良いセピア写真を撮影する方法

光に注意する

どのようなモノクロ写真もそうですが、セピア写真も強いハイライトと影が必要です。「十分な光がないと、良い写真にするのは難しくなります。そのような写真は撮りたくありません。それが写真撮影というものです。写真は文章や絵画と同じでそれらを書くための筆、つまり光が重要なのです。ですから私は、とにかく外に行って1日のうちの様々な光を使って写真を撮ってごらんなさい、と助言しています」とBallosさんは言います。自然の光、ポートレートの光、スタジオの光など、どの光がセピア写真に適しているか試してみましょう。

構図を考える

「アート風な写真に最も重要なのは光です。光が線や形や構図を作るからです。そして次に重要なのは、何を画面から取り除くか、ということです」とFischさんは語ります。セピア写真では構図が大変重要です。色を使わないので、フレームの中の線、形、そのアレンジが写真をすばらしくもすれば、台無しにもします。三分割法やリーディングラインなど、色々な構図スタイルを使ってみて、どの方法が思いどおりの作品になるのか決めていきましょう。

A sepia photo of a bridge over smooth water at night

撮影:Gregory Ballos

カメラの設定をいろいろ試す

セピア色を使うと写真は自然に、穏やかでシュールな雰囲気を醸し出します。このセピア効果は、浅い被写界深度でより強調することができます。また、深い被写界深度ですべての画像を鮮明に撮影し、柔らかなセピア効果を対照的に見せることもできます。カメラの設定が、写真の仕上がりに大きく影響することを覚えておきましょう。カメラの設定では、慎重な選択が大切ですが、創造性豊かな作品を目指す上では、自由に色々と試してみるのもよいでしょう。

いろいろ試して失敗も経験する

「私は幸いなことに、学ぶことをやめない性分なんです。そして、学びでは失敗は絶対に必要です」とFischさんは言います。学び、成長することで良い写真家になっていきます。色々な写真チュートリアルで学んだり、独自の題材を決めて撮影したり、過去の写真をまねて撮影したりして、経験を積んでいきましょう。

写真家であることは、たやすいことではありません。「必ずしも、写真撮影が大好きである必要はありません。私の場合も、いつも写真が大好きなわけではないのですが、写真が私自身なのです。写真は自分を表現する方法なのです。自分が自分らしくあることを、あきらめないことです」とFischさんは語ります。写真によって、自分の考え方を人に伝えることができます。ツールボックスの中にセピアトーニングの機能があれば、自分の情熱や考え方を目に見える方法で示すことが増えたことになります。


提供元

Ellen Fisch、Gregory Ballos


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