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業務委託契約書とは?ミスのない書き方と無料テンプレートを紹介

業務委託契約書とは?ミスのない書き方と無料テンプレートを紹介

近年、企業が外部のリソースを活用しながら、事業を拡大する動きが活発化しています。

スタートアップ企業や中小企業だけでなく、大手企業でもコア事業に集中するため、専門業者やフリーランスに業務を委託する場面が増えています。

「業務委託契約書」は、そんな外部パートナーとの協力関係を明文化するうえで、必要不可欠な文書です。契約書がなければ合意内容が曖昧になり、後々のトラブルにつながりかねません。

そこでこの記事では、業務委託契約書に関する基礎知識から、実際の作成手順、そして作業を効率化するためのテンプレートやツールの活用法までを解説します。

初めて業務委託契約書を作成する方はもちろん、既存の契約書を見直したい方にも役立つ内容をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。

すぐにテンプレートをダウンロードしたい方はこちらをクリックしてください。

目次

業務委託契約書とは「業務を任せる際に締結する契約書」

業務委託契約と法的枠組み

契約書の必須項目と具体的な記載例

契約締結時の注意点(トラブル防止のポイント)

業務委託契約書を締結する流れ

業務委託契約書に印紙が必要な場合

業務委託契約書を電子化するメリット

無料&登録不要!業務委託契約書のテンプレート

業務委託契約書の作成に役立つ「Adobe Acrobat Pro」

業務委託契約書に関するよくある質問と回答(FAQ)

業務委託契約書とは「業務を任せる際に締結する契約書」

業務委託契約書とは、外部パートナーに業務を任せる際に締結する契約書のことです。

契約書の名称が「注文書」「発注書」となっているケースもあります。

委託される内容は多岐にわたり、デザイン業務やコンサルティング業務など、様々な業界・業種で活用されています。

web制作・コンサルティング・ソフトウェア開発・映像制作など、委託される業務の一例

業務委託契約書を作成することで、業務内容・報酬・納期などの条件が明確になり、双方の認識のズレやトラブルを予防できます。

なお、作成後は署名捺印を行い、双方が1通ずつ保管することが一般的です。

業務委託契約を結ぶメリット

さて、そんな業務委託契約ですが、なぜ多くの企業で活用されているのでしょうか?

その理由として、以下のようなメリットが挙げられます。

・必要なスキルやリソースをスピーディーに確保できる

自社に不足している専門スキルを持つプロフェッショナルに業務を依頼することで、即戦力として活躍してもらえます。特に、専門知識が求められる業務や、短期間で成果を求める場合に有効です。プロジェクトごとに最適な人材を確保できるため、業務のスピードと質を向上させられます。

・コストを削減できる

新たに社員を採用し、育成するには時間とコストがかかります。しかし、業務委託を活用すれば、必要な業務を専門家に任せられるため、これらの負担を軽減できます。また、労働基準法や社会保険の適用が不要となります。そのため、正規雇用にかかる諸経費(固定給・通勤手当・福利厚生など)を抑えながら、必要な業務だけを効率よく外部に委託できます。

・社員が本来の業務に集中できる

業務を外部に委託することで、社員は自分の得意分野や重要な業務に専念でき、組織全体の生産性向上につながります。特に、ルーティン業務や専門性の高い業務を外部に任せると、社内リソースをより戦略的に活用できるようになります。

このように、業務委託契約は、企業の成長や効率化を後押しする強力な手段となります。導入を検討する際には、自社のニーズに合った形で活用することが重要です。

業務委託契約を結ぶデメリット

一方で、業務委託契約には以下のような課題もあります。

・自社にノウハウが蓄積されにくい

業務委託契約を結び、外部の専門家に依頼することで、業務のクオリティは確保しやすくなります。一方で、その業務に関連するノウハウは社内に蓄積されにくくなります。そのため、ノウハウの共有方法や、重要な業務の内製化のバランスを考慮するとよいでしょう。

・進捗管理や品質管理が難しくなる

業務委託先に直接指示を出すことができないため、進捗管理や成果物の品質をコントロールするには工夫が必要です。事前に業務内容や成果物の基準を明確に定めることが重要です。

・コストが高くなる可能性もある

専門性の高い業務では、業務委託先への報酬が高額になる傾向があり、必ずしもコスト削減につながるとは限りません。そのため、業務の種類や規模に応じて、社内リソースと外部委託のバランスを慎重に見極めることが大事です。

このように、業務委託契約には多くのメリットがある一方で、業務内容や契約条件を十分に整理し、進捗管理やコスト面のリスクを事前に把握するなどの適切な管理が欠かせません。

そして、こうした契約をスムーズに運用し、トラブルを防ぐためには、法的なポイントを押さえておく必要もあります。

そこで次に、業務委託契約の法的枠組みについて解説します。

業務委託契約と法的枠組み

業務委託契約は、「請負契約」と「委任契約(または準委任契約)」の両方の性質を持つ契約です。ただし、民法で明確に定められているわけではありません。

そのため、契約トラブルを防ぐには、それぞれの契約の特徴を理解しておくことが重要です。

業務委託契約のタイプ

業務委託契約には、大きく分けて「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3つの形態があります。今回は契約形態ごとに、委託の目的や報酬発生のタイミング、対象となる業務例などをまとめました。まずは以下の表をご覧ください。

契約形態
目的
報酬発生のタイミング
請負契約
完成物の納品
完成・納品後
システム開発、建築工事、デザイン制作など
委任契約
法律行為の業務
業務を遂行したタイミング
弁護士や司法書士などの業務
準委任契約
非法律行為の業務
業務遂行の過程に応じて
コンサルタント、医師、ITエンジニアなどの専門的な知識・技能を必要とする業務

このように、請負契約は「完成させること」を目的とする契約で、報酬は「完成したもの」に対して発生します。例えば、請負契約で家を建てる依頼をした場合、家が完成した時点で報酬が支払われます。しかし、住宅が完成しなかった場合、報酬は支払われません。

一方、委任契約・準委任契約は「行動や手続き」に対してお金を払う約束といえます。例えば、準委任契約でコンサルタントに業務委託をした場合、相談や手続きが行われた段階で、報酬は発生することになるのです。

なお、弁護士業務では、依頼内容によって契約の性質が異なります。例えば、訴訟代理や契約交渉など、依頼者の法的意思表示をともなう具体的な法律行為をする場合は「委任契約」となり、これらの法律行為が完了した時点で報酬が発生します。

一方、単に法律相談を受けたり、手続きの補助など事務的な業務を依頼したりする場合は「準委任契約」の考え方が適用され、相談や手続きが進むたびに報酬が発生する仕組みとなります。

ここまでの説明で、業務委託契約には、請負契約や委任契約といった法的な枠組みがあることがわかりました。しかし、実際のビジネスシーンでは「業務委託契約」と「雇用契約」が混同されることも少なくありません。

これらの契約は働き方や法的な扱いが大きく異なるため、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。次に、業務委託契約と雇用契約の違いについて詳しく見ていきましょう。

業務委託契約と雇用契約の違い

業務委託契約と雇用契約は、働き方や法的な扱いが大きく異なります。

雇用契約では、従業員は企業の一員として、上司の指示に従いながら業務を行います。勤務時間や労働条件も企業が定め、最低賃金・残業代・社会保険などの労働法による保護を受けられます。その分、企業は従業員の業務の進め方を管理しやすいというメリットがあります。

一方、業務委託契約では、受託者(フリーランスや個人事業主など)は独立した立場で業務を請け負います。作業時間や進め方を自由に決めることができ、成果物や業務の結果に対して報酬を受け取る仕組みです。ただし、労働基準法の適用外となるため、社会保険や労働者としての保護は受けられません。

また、業務委託契約では発注者が直接指示命令を行うことはできません。もし、実際には勤務時間や業務の進め方が細かく指示されている場合、「偽装請負」とみなされるリスクがあるため注意が必要です。偽装請負に関する内容は、後ほど「偽装請負にならないよう注意する」の項目で解説します。

項目
業務委託契約
雇用契約
関係性
委託者・受託者は対等な関係
使用者・労働者の従属関係
法適用
労働基準法・労働契約法の適用なし
労働基準法・労働契約法が適用される
指示命令
受託者は独立して業務遂行
事業者が指示命令を行う
勤務条件
受託者が自由に決定可能
事業者が労働時間・場所を指定

業務委託契約と雇用契約の違いを理解することは重要ですが、実は「業務委託契約」と「派遣契約」も混同されやすい契約形態のひとつです。どちらも企業が外部の人材を活用する方法ですが、法的な扱いや業務の進め方には大きな違いがあります。

次に、業務委託契約と派遣契約の違いについても確認していきましょう。

業務委託契約と派遣契約の違い

業務委託契約と派遣契約は、どちらも外部の人材を活用する契約形態です。

しかし、働き方や指揮命令の関係が大きく異なります。

業務委託契約は、特定の業務や成果物の作成を外部の専門家や企業に依頼する契約です。受託者は業務の進め方を自由に決められ、成果物が完成すれば報酬が支払われます。依頼側(委託者)は作業の進め方に直接指示を出すことはなく、あくまで結果に対して対価を支払う仕組みです。

一方、派遣契約では、派遣元の会社(派遣会社)と労働者が契約を結び、その労働者が派遣先企業の指示のもとで働く形態となります。派遣先企業は、勤務時間や業務内容について直接指示や管理を行うため、派遣労働者は派遣先の指揮命令に従って業務を遂行します。

このように、業務委託契約では受託者が独立して業務を行うのに対し、派遣契約では派遣先の指示に従って働く点が大きな違いです。


業務委託契約と派遣契約の違いを理解したところで、次に重要なのは「契約書の具体的な内容」です。適切な契約書を作成することで、双方の権利や義務を明確にし、後々のトラブルを予防できます。

では、業務委託契約書を作成する際に押さえておくべき必須項目と、具体的な記載例を見ていきましょう。

契約書の必須項目と具体的な記載例

業務委託契約書を作成する際、以下の項目を明確に記載することで、双方の権利と義務を明確にし、トラブルを防げます。各項目について、具体的な記載例を含めて整理しました。

1.当事者の表示

契約の主体となる当事者を明記します。

記載例
本契約は、株式会社アドビ商事(以下「甲」という)と、山田太郎(以下「乙」という)との間で、以下の条項に基づき締結する。

2.業務内容・範囲

委託する業務の具体的な内容を明記します。詳細は別紙の仕様書として、添付することが一般的です。

記載例
乙は、甲より委託されたwebサイトの新規制作業務(以下「本業務」という)を、仕様書(別紙1)に従い遂行する。

3.契約期間・更新条件

契約の開始日と終了日、更新の有無を明記します。

記載例
本契約の有効期間は、2025年1月1日から同年12月31日までとする。契約期間満了日の1か月前までに書面による更新の意思表示がない場合、本契約は自動的に終了する。

4.報酬額・支払条件

報酬の全額、支払方法、支払期日を明確にします。

記載例
甲は本業務に対する報酬として、金50万円(消費税別)を2025年1月末日までに乙指定の銀行口座に振り込むことで支払う。なお、その際の振込手数料は、甲の負担とする。

5.知的財産権の帰属

成果物の権利関係を明確に定めます。

記載例
本業務の過程で作成されたデザインやソースコードの著作権は甲に帰属する。ただし、乙が自ら開発したノウハウ・汎用的スクリプト部分については乙に非独占的使用権を留保する。

6.秘密保持義務

業務を通じて知り得た情報の守秘義務を規定します。

記載例
乙は、本契約に関連して知り得た甲の経営情報、顧客リスト等を第三者に開示してはならない。契約終了後も2年間は同義務を負う。

なお、業務委託契約の内容によっては、顧客情報や個人データを扱うケースも少なくありません。その場合、以下のような条項を「秘密保持義務」とセットで盛り込むと、保護体制をより強化できます。

■個人情報の取り扱い範囲
受託者が収集・利用できる個人情報の種類や目的を限定し、契約外の利用や第三者提供を禁止する。

■安全管理措置
受託者に対して、個人情報の取り扱いにおける技術的・組織的セキュリティ対策(例:アクセス制限、データ暗号化、ログ管理など)を義務付ける。

■漏洩時の対応
個人情報の漏洩が発生した場合、速やかに発注者へ通知し、被害拡大防止策を講じる義務を受託者に負わせる。

■返却・削除義務
契約終了時や業務完了時に、受託者が保有する個人情報を適切な方法で返却・削除することを明記する。

これらを明文化しておくことで、個人情報保護法や欧州のGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)への対応はもちろん、社内外のステークホルダーからの信頼性も高まるでしょう。

7.契約解除・終了条件

契約解除の条件を明確にします。

記載例
甲または乙が重大な債務不履行を犯した場合、相手方は書面による催告のうえ、本契約を直ちに解除できる。

8.損害賠償責任

業務遂行において生じた損害に関する規定を設けます。

記載例
乙の過失により甲に損害が生じた場合、乙はその損害の直接かつ通常の範囲内に限り賠償責任を負う。なお、上限は本契約に基づき乙が受領する報酬額とする。

9.再委託の禁止

委託業務の第三者への再委託を禁止する場合の規定です。

記載例
乙は、甲の書面による事前承諾なしに、本業務の全部または一部を第三者に再委託してはならない。

10.反社会的勢力の排除

契約当事者が反社会的勢力と関係を持たないことを明示します。

記載例
甲および乙は、自己または自己の役員が反社会的勢力に該当しないことを表明し、保証する。違反が判明した場合、相手方は何らの催告を要せず本契約を解除できる。

11.裁判管轄

契約に関する紛争が生じた場合の管轄裁判所を定めます。

記載例
本契約に関して訴訟の必要が生じた場合、甲の本店所在地を管轄する裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。

これらの必須項目をしっかりと押さえることで、業務委託契約の明確化やリスク管理が可能になります。しかし、契約を締結する際には、条文の解釈や運用面での注意も必要です。

続いては、契約締結時に気を付けるべきポイントや、トラブルを未然に防ぐための対策について見ていきましょう。

契約締結時の注意点(トラブル防止のポイント)

せっかく契約書を交わしても、内容の不備や認識違いがあるとトラブルの原因になってしまいます。以下の点に気を付けて契約実務を進めましょう。

契約時は必ず書面を交わし、内容は曖昧にしない

業務委託契約を結ぶ際は、必ず書面(紙または電子)で契約を交わし、内容を明確に記載することが重要です。口頭での合意も法的には契約として成立し得ますが、証拠が残らず、後のトラブルにつながるリスクがあります。

契約書には、業務範囲・納品物の定義、報酬・支払条件などを具体的に明記し、双方が共通認識を持てるようにしましょう。曖昧な表現や抜け落ちがあると、「言った・言わない」の水掛け論になったり、成果物の範囲や品質をめぐって認識のズレが生じたりする 可能性があります。

また、契約書の各条文について、発注者・受託者間で認識の違いがないか、事前に確認することも大切です。書面化を通じて、報酬額や契約期間が明文化され、紛争の予防につながります。

成果物の品質基準と検収条件を設定する

業務委託では、納品された成果物や、提供されたサービスが期待どおりの品質であることが求められます。そのため、契約時に品質基準や検収方法を具体的に定めておくことで、納品後に「思っていたものと違う」といったトラブルを防ぐことができます。

必要に応じて、契約書に以下のような条項を記載するとよいでしょう。

こうした取り決めがあれば、万が一品質に問題があった場合の対応(修正依頼・契約解除の可否など)もスムーズになります。事前に品質基準を明確にし、検収のルールを定めることで、認識のズレを防ぎましょう。

偽装請負にならないよう注意する

業務委託契約では、発注者が受託者に対し、業務の進め方や勤務時間を細かく指示・管理することはできません。

契約上は業務委託であっても、実際には受託者担当者が発注者の指揮命令のもとで業務を遂行している場合、実態は発注者のもとに労働者を派遣、ないし供給している「偽装請負(偽装業務委託)」とみなされるリスクがあります。

これは労働者派遣法や職業安定法違反となり、発注者・受託者双方に、法的責任が生じる可能性があるため注意が必要です。

偽装請負と判断されると、発注者には労働基準法に基づく残業代の支払義務が生じるだけでなく、不当解雇と指摘される可能性があります。

また、企業の信頼を損ない、対外的な評価にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

こうしたリスクを回避するには、契約の運用を適切に行うことが重要です。業務の依頼は成果物や成果目標を基準にし、作業の進め方は受託者の裁量に委ねることが原則です。発注者は進捗の確認や成果物のレビューを行うにとどめ、日々の業務指示や勤務管理は行わないよう徹底しましょう。

法的リスクを確認する

契約内容が各種法令に適合しているかを必ずチェックしましょう。例えば、ソフトウェア開発や製造業務の委託では、「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」が適用される場合があります。下請法の適用範囲は、発注者と受託者の資本金規模の差によって決まります。

▼下請法が適用される基準(発注者と受託者の資本金規模)

発注者の資本金
受託者の資本金
適用業務の例
10億円超
5億円以下
製造・修理・ソフトウェア開発・情報処理
5億円超10億円以下
3億円以下
製造・修理・ソフトウェア開発・情報処理
5,000万円超5億円以下
5,000万円以下
製造・修理・ソフトウェア開発・情報処理
1,000万円超5,000万円以下
1,000万円以下
製造・修理のみ(情報処理・ソフトウェア開発は適用外)

下請法が適用される場合、発注者は以下のような義務を負います。

また、個人情報を扱う場合は「個人情報保護法」に基づく守秘義務を契約に含める、「独占禁止法」に抵触する、不平等な条項がないか確認するといった配慮も求められます。

契約の法的リスクを回避するには、自社の法務担当者や専門家にリーガルチェックを依頼し、違法・無効な条項が含まれていないかを確認することが重要です。万一紛争が発生した場合にも対応できる契約内容になっているか、事前に検討しておくと安心です。

トラブル発生時の対応策を用意する

契約書には、トラブル時の解決方法を明記することが重要ですが、契約の実務においても万が一の事態に備える心構えが必要です。具体的には、以下のような対応策を事前に決めておきましょう。

また、契約書に記載されていない事態が発生した場合は、自己判断で対応せず、まず契約当事者同士で誠実に話し合うことが重要です。その際に備え、日頃からメールや議事録でやりとりを記録しておくと、「言った・言わない」といったトラブルを防げます。

これらの対策を講じることで、契約不適合や思わぬトラブルの発生を大幅に抑えられます。「契約前によく確認し、契約書にしっかり記載し、契約後も遵守・管理する」ことが、円滑な取引の鍵となります。

トラブル&失敗しらず!今すぐ使える業務委託契約のチェックリスト

ここまでの内容を総括し、業務委託契約書の作成~締結時に役立つ、チェックリストを用意しました。トラブル防止のためにも、ぜひ作成後の最終チェックにお役立てください。

業務委託契約のチェックリスト

業務委託契約書のチェックリストをダウンロードする

また、PDFテンプレートの編集にはブラウザーで使用できる「Adobe Acrobat オンラインツール」が便利です。直感的に操作できるうえに、PDFをMicrosoft WordやMicrosoft PowerPointに変換し、大幅な編集もできます。

自社の状況に応じてチェックリストを調整する際に、ぜひご活用ください。

業務委託契約書を締結する流れ

トラブル防止の対応策を講じたうえで、次に重要なのが「契約締結の具体的な手順」です。適切な流れを理解することで、後の業務遂行や取引が円滑になります。

ここからは、業務委託契約書を締結する際の具体的なステップについて解説していきます。

1.初期準備

まず、委託する業務の内容・範囲・目的を明確に整理し、本当に外部委託が必要かを検討しましょう。業務委託には、「専門スキルを持つ人材を活用できる」「採用コストを抑えられる」といったメリットがある一方、「社内にノウハウが蓄積されにくい」といったデメリットもあります。他の契約形態(雇用・派遣など)と比較し、最適な方法を選びましょう。

2.委託先の選定

業務内容が決まったら、適切な受託者(フリーランス・専門企業など)を選定します。公募・クラウドソーシング・紹介などの方法を活用し、実績やスキルを基準に候補者を比較検討しましょう。

3.契約条件の交渉

受託者が決まったら、業務内容・期間・報酬などを具体的に交渉します。特に報酬額・支払条件・納期は明確に合意し、口頭の約束も必ず契約書に反映することが重要です。曖昧な取り決めは後のトラブルにつながるため避けましょう。

関連:覚書とは?契約書との違いや書き方などを解説【無料テンプレート】

4.契約内容の確認と修正(リーガルチェック)

契約書案を発注者・受託者双方で確認し、必要に応じて修正します。法務担当者や顧問弁護士のリーガルチェックを受けることで、労働者派遣法・下請法違反や不平等条項のリスクを回避できます。契約初心者は、専門家のアドバイスや契約書作成サービスの活用も有効です。

5.契約の締結(署名・押印・電子契約)

契約内容に合意したら、発注者・受託者双方が署名・押印し、正式に契約を締結します。紙の契約書は2部作成し原本を保管、電子契約なら印紙代不要でオンライン締結が可能です。

関連:電子契約の仕組み・メリット・法的効力・オススメのサービスを解説

締結後の契約書は会社法432条に基づき10年間保存が必要です。電子契約の場合は電子帳簿保存法に準拠し、改ざん防止の形で保管しましょう。なお、電子帳簿保存法に関しては、以下のページでわかりやすく解説しています。あわせてご覧ください。

電子帳簿保存法をわかりやすく解説。対応方法や改正法のポイント

6.契約後の管理(進捗管理・報酬支払・更新/解除手続き)

契約締結後、受託者は業務を開始し、発注者は契約内容どおり進んでいるか進捗管理を行います。定期的な報告や成果物の確認を行いながら、業務の進め方は受託者の裁量に委ねることが重要です。納品後は契約の仕様・品質を満たしているか検収し、期日までに報酬を支払います。

契約期間が終了する際は、更新・延長の有無を検討し、継続する場合は契約の更新、または再締結を行います。終了時には、解除条件に従い、納品物・機密情報の扱いや貸与物の返却を確実に実施しましょう。また、一回一回の契約で得た知見を社内で共有し、次回の契約に活かすことも大切です。

以上が、業務委託契約の流れでした。

業務委託契約を締結する際の基本的な流れを押さえたところで、実際のビジネスシーンではどのように適用されるのでしょうか?

ここからは、具体的なケーススタディとして「web制作」と「ITコンサルティング」の業務委託契約を例に、契約時に注意すべきポイントもご紹介します。

【ケーススタディ】web制作・ITコンサルの具体例

web制作やITコンサルティングなど、業務委託契約の内容は業種ごとに異なります。

そこで、ここからは具体的な事例をもとに、業務委託契約を締結する際に押さえておくべきポイントを確認してみましょう。

【ケース1】webサイト制作の委託

■業務範囲と成果物の明確化

サイトのデザイン案、トップページ・下層ページの数、動的機能の有無など、成果物の範囲を明確にしましょう。納品物の形式(HTML/CSS/画像データ)やブラウザー対応なども記載しておくと、後から「想定していないページまで含まれている」といったトラブルを防げます。

■進捗管理と検収の徹底

一括納品ではなく、デザインレビュー>コーディング>テスト>納品といったフェーズごとに進捗を確認し、検収プロセスを設定しておくと安心です。

■報酬形態の柔軟な設定

一括払いのほか、フェーズごとに段階的に支払う方法もあります。途中解約リスクや仕様変更に備え、追加作業の単価や精算方法を契約書内で合意しておくとよいでしょう。

【ケース2】ITコンサルティング業務の委託

■業務範囲の具体化

コンサルティング業務は形のない成果物になりがちです。「週◯回の定期ミーティングの実施」や「報告書の提出」「支援内容の具体例」など、できるだけ定量化・定義化しましょう。

■成果物かプロセスかの見極め

コンサル契約は成果物ではなく、アドバイス行為やプロセス自体が対象となるケースもあります。準委任的要素が強い場合、どのタイミングで報酬が発生するかがポイントです。

■守秘義務と知的財産の取り扱い

コンサル業務では社内機密や顧客データを取り扱うことも少なくありません。秘密保持義務を徹底すると同時に、開発したノウハウ・資料の権利帰属も明記しておくと安心です。

このように、業務の種類によって「成果物を明確にした請負型」か「プロセスを重視する委任(準委任)型」かが異なり、契約条項の重点も変わります。自社のニーズや契約形態に合わせ、ポイントを押さえておくことが、業務委託成功の鍵です。

具体的なポイントについて理解したところで、次に気を付けたいのが「印紙税」です。

業務委託契約書を含む一部の契約書は、印紙税法に基づき、収入印紙の貼付が必要なケースがあります。業務委託契約書に印紙が必要な場合の具体的な条件や、印紙税の適用基準についても確認しておきましょう。

業務委託契約書に印紙が必要な場合

契約書が印紙税法で定められた「課税対象文書」に該当する場合、収入印紙が必要になります。例えば、不動産の賃貸契約に関する契約書は「第1号文書」、請負契約に関する契約書は「第2号文書」として扱われ、契約金額に応じて収入印紙を貼る必要があります。

印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)

(課税物件)

第二条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する。

(納税義務者)

第三条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。

2 一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。

引用:印紙税法|e-Gov法令検索

収入印紙の貼付を忘れると、過怠税(かたいぜい)が発生する可能性があるため、しっかり確認しましょう。

特に、高額な契約や重要な取引に関連する場合は、印紙税が発生しやすいので注意が必要です。

それでは、印紙が必要になる具体的なケースと、印紙税額について確認していきましょう。

第1号文書に該当する場合の印紙税額

契約の内容が、不動産の売買、賃貸借契約、金銭の貸し借り、または運送契約に関する場合、それは「第1号文書」として扱われ、印紙税が必要になることがあります。

印紙税額は記載された契約金額によって変化し、詳細は以下のとおりです。

記載された契約金額
印紙税額
1万円未満
非課税
10万円以下
200円
10万円を超え、50万円以下
400円
50万円を超え、100万円以下
1,000円
100万円を超え、500万円以下
2,000円
500万円を超え、1千万円以下
1万円
1千万円を超え、5千万円以下
2万円
5千万円を超え、1億円以下
6万円
1億円を超え、5億円以下
10万円
5億円を超え、10億円以下
20万円
10億円を超え、50億円以下
40万円
50億円を超えるもの
60万円
契約金額の記載がないもの
200円

参照:国税庁「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

第2号文書に該当する場合の印紙税額

契約書の内容が請負契約である場合、「第2号文書」として扱われ、印紙税が必要になることがあります。

印紙税額は記載された契約金額によって変化し、詳細は以下のとおりです。

記載された契約金額
印紙税額
1万円未満
非課税
10万円以下
200円
10万円を超え、50万円以下
400円
50万円を超え、100万円以下
1,000円
100万円を超え、500万円以下
2,000円
500万円を超え、1千万円以下
1万円
1千万円を超え、5千万円以下
2万円
5千万円を超え、1億円以下
6万円
1億円を超え、5億円以下
10万円
5億円を超え、10億円以下
20万円
10億円を超え、50億円以下
40万円
50億円を超えるもの
60万円
契約金額の記載がないもの
200円

参照:国税庁「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

このように、契約書は内容によって印紙税がかかります。

また、紙ベースの書類だと印紙を貼る手間やコストが都度発生し、気づけば予想以上の出費になっていることも少なくありません。

ですが、契約書を電子化すれば、印紙税は不要になります。

また、書類の電子化を進めることで、さらに多くのメリットが得られます。

続いては、書類を電子化する具体的なメリットを確認していきましょう。

業務委託契約書を電子化するメリット

業務委託契約書を電子化するメリットは大きく以下の3つです。

  1. コスト削減になる
  2. 書類管理が楽になる
  3. 業務効率化や生産性の向上が期待できる

【メリット1】コスト削減になる

紙の契約書だと、印刷や郵送にお金がかかるうえに、それを管理するための人件費も必要です。

しかし、電子化すれば、これらの費用がかからなくなります。

また、電子契約では印紙を貼る必要がないため、印紙税もかかりません。

そのため、電子化するだけでコストを減らせます。

【メリット2】書類管理が楽になる

電子化した契約書はデータとして保存できるため、保管場所に困りません。

さらに、必要なときにすぐに検索して見つけられ、書類を探す手間が省けます。

また、データをバックアップしておけば、万が一データが消えても安心です。紙の書類に比べて、紛失や破損のリスクもなく、安全に管理できます。

【メリット3】業務効率化や生産性の向上が期待できる

契約書を紙で作成すると、印刷したり、郵送したりする手間がかかり、時間も必要です。

しかし、電子化すればPCやスマホで契約書を作成し、そのまま送信できるため、契約完了までの時間を大幅に短縮できます。

そのほか、遠方の相手ともすぐにやり取りができ、時間を大きく節約できます。

関連:業務効率化の手法と進め方とは?基礎知識と現場で役立つアイデアを紹介

また、次の章では業務委託契約書のテンプレートを用意しました。

テンプレートを使えば、誰でもすぐに書類を作成できますので、ぜひご活用ください。

無料&登録不要!業務委託契約書のテンプレート

日々の仕事で使用することの多い、業務委託契約書のテンプレートを用意しました。

わずらわしい契約書業務にお悩みの方は、ぜひお役立てください。

業務委託契約書のテンプレート

業務委託契約書のテンプレート

業務の一部を外部の企業や個人に委託するときに使う、業務委託契約書のテンプレートです。

業務委託契約書のテンプレートをダウンロードする(PDF)


なお、PDFテンプレートの編集にはブラウザーで使用できる「Adobe Acrobat オンラインツール」が便利です。

直感的に操作できるうえに、PDFをMicrosoft WordやMicrosoft PowerPointに変換し、大幅な編集もできます。

そのほかにもPDFファイルの圧縮や結合、契約書の複雑な表現を解説し、ワンクリックで文書を要約してくれるAIアシスタント機能など、PDFに関する25以上の機能を使うことが可能です。セキュリティ面にも配慮されていて安全に使えるので、日々の業務にぜひお役立てください。

また、電子署名やテキストの差分比較機能など、より高度な機能が搭載された「Acrobat Pro」も便利です。書類業務の効率を高めたい方は、ぜひ一度お試しください。

業務委託契約書の作成に役立つ「Adobe Acrobat Pro」

Acrobat Proは直接編集から電子署名に至るまで、充実の機能が搭載されたPDFツールです。

今回ご紹介した契約書の作成と編集に活用でき、表示が崩れないPDFの特長を最大限活かして、綺麗に印刷できます。

なお、Acrobat Proは契約書以外にも、様々な文書業務に役立ちます。

ここからは、そんなAcrobat Proの特長をチェックしていきましょう。

Acrobat Proを詳しくみる

【特長1】テキストや画像を直接編集できる

PDFファイルのテキスト修正や削除、新規追加などがカンタンに行えます。

また、文字サイズの変更や行間の調整、箇条書きなどのスタイル設定も可能です。

そのほか、画像の追加や文字のハイライト、コメントの追加などもでき、いずれも直感的に操作できます。

【特長2】他のファイル形式からPDFに変換・一元化できる

Acrobat Proを使えば、Microsoft Word・Microsoft Excel・Microsoft PowerPointをはじめとした、様々なファイル形式からPDFに変換し、編集できます。

異なるファイル形式で保管されている文書も、PDFに変換することで一元管理できるため、非常に便利です。

さらにポートフォリオ機能を使えば、元のファイル形式のまま一元管理することもできます。

ポートフォリオ機能とは、Word・Excel・PowerPoint・XML・JPG・CAD図面といったファイルを、ひとつにまとめられるもの。すべてのファイルを横断して検索できたり、ファイル内にフォルダを作成して階層的に管理できるため、大量の書類管理・案件データをシンプルに管理できます。

【特長3】デスクトップ、ブラウザー、モバイルで利用可能

Acrobat Proはデスクトップ、ブラウザー、モバイルのいずれでも利用可能です。

移動中や外出先など、いつでもどこでも文書の作成や編集、共有をスムーズに行えます。

そのほかにも、PDFファイル上の情報を削除して塗りつぶす墨消し機能や電子サイン機能もお使いいただけます。

【特長4】契約・請求・稟議をスムーズに進められる

Acrobat Proは、PDF上の電子サイン(電子署名)にも対応しています。

この電子サインは契約や決済に使用でき、一連の作業をオンライン上で完結させることが可能です。契約書を印刷・郵送する手間がなくなり、契約・請求・稟議といった業務をスムーズに進められます。

また、社内外の稟議に活用するのも効果的です。Acrobat Proを使えば、すべてオンライン上で署名ができるため、ハンコリレーが不要になり、複雑化しがちな承認ルートを単純化できます。PDFを通じて署名の依頼ができるほか、署名が完了すると関係者全員に対応完了のメールが届くため、稟議の進捗状況をリアルタイムで把握でき、時間的な管理がしやすくなるでしょう。

【特長5】文書比較機能で変更点をすばやくチェックできる

Acrobat Proには、2つのPDFをアップロードするだけで、改訂箇所や文言の相違点を自動的に抽出し、わかりやすく色分けして表示する「比較機能」 があります。

例えば、取引先から送られてきた契約書の改訂版を、以前のバージョンと並べてチェックすれば、修正箇所を一目で確認可能。紙の書類に比べて見落としを防ぎやすく、法務や総務担当の方はもちろん、管理職の方にとっても時短につながるメリットがあります。

契約の変更点を確認する際の負担が減り、効率的かつスピーディーに行える点もAcrobat Proの大きな魅力です。

【特長6】AIアシスタントで文書作業を効率化

Acrobat Proの「AIアシスタント」機能では、PDFの要約や検索、文章作成がよりスムーズに行えるようになりました。この機能を使えば、以下のような効率化が可能です。

長文のPDFでも、AIが自動で重要なポイントを抽出し、短時間で内容を把握できます。また、知りたい情報があるときは、AIに質問するだけで、文書内の該当箇所をすぐに探し出すことも。さらに、複数のPDFを横断的に検索する機能も備えており、必要な情報を効率よく取得できる点も大きな特長です。

なお、Acrobat オンラインツールの「PDFとチャット」からも、Acrobat AIアシスタント機能はお試しいただけます。ただし、無料で利用できる回数は限られます。Acrobat AIアシスタントをじっくり試したい場合は追加サブスクリプションをご利用ください。詳しくは、Acrobatのプランと価格をご確認ください。


こうした便利機能が充実したAcrobat Proで、契約書をはじめとした文書作成業務をぜひ効率化してみてください。なお、以下の記事では、企業利用にオススメしたい「法人向けAdobe Acrobat」についてわかりやすく解説しています。

文書管理にお悩みの方は、ぜひ一度ご覧ください。

【5分でわかる】法人向けAcrobatのすべて

スッキリわかる!Adobe Acrobat個人版と法人版の違い

Adobe Acrobatでトラブルのない業務委託契約書を

今回は「業務委託契約書」をテーマに、概要や書き方、トラブル防止のためのポイントまで一挙に解説しました。業務委託契約は、発注者と受託者が対等なパートナーシップを築く大切なステップです。契約書の作成や運用を疎かにすると、偽装請負のリスクや報酬未払いなど大きなトラブルを招きかねません。
この記事で紹介したポイントやテンプレートを活用して、効率的かつ正確な契約書を作成しましょう。

そして、ビジネスシーンで使う場合は、管理や支払いもスムーズな法人向けAcrobatがオススメです。

高品質なPDFツールで作業の質を向上させ、書類業務の効率を最大限に引き上げましょう。

まずは無料でお試しいただくことも可能です。

Acrobatによるドキュメントソリューションを、ぜひ体感してください。

https://main--dc--adobecom.hlx.page/jp/dc-shared/fragments/roc/seo/business/plan

業務委託契約書に関するよくある質問と回答(FAQ)

最後に、業務委託契約書に関するよくある質問に回答していきます。

業務委託契約で派遣社員を活用できませんか?

直接雇用を避けるために「委託契約」として人材を確保したいケースはよくあります。しかし、実際に指揮命令をする立場で働いてもらうのであれば、労働者派遣契約または雇用契約に該当します。無許可で派遣のような形態をとると、違法派遣とみなされる可能性が高いため、注意が必要です。

納品前に途中解約されたら受託者はどうなる?

請負契約の場合、成果物の完成前でも発注者は契約を解除できます。ただし、受託者がそれまでに要した費用や作業分については、賠償義務が生じる可能性があります。

契約書には精算方法をあらかじめ明記しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

収入印紙を貼り忘れた場合は?

本来必要な印紙を貼らないと、過怠税をはじめとしたペナルティが科される可能性があります。

契約金額に応じた印紙税額を事前に確認し、忘れずに印紙を消印まで行ってください。

口約束で仕事を受けていますが、契約書は後からでも作成すべきですか?

後からでも書面化しておくことをオススメします。口頭だけでは立証が難しく、トラブル発生時に不利になる恐れがあります。少なくとも覚書や追加合意書などを作成し、合意事項を明文化することで紛争を防ぎやすくなります。

取引基本契約・個別契約・業務委託契約の関係性を教えてください

取引基本契約とは、企業や店舗同士が商品やサービスをやり取りする際に、取引のルールを定める契約です。この契約があることで、価格の決定方法や納期、支払い条件などの基本的な取り決めが明確になります。

これに基づいて、実際の取引ごとに結ばれるのが個別契約です。個別契約には、取引の具体的な内容として、商品やサービスの種類・数量・価格・納期などが記載されます。

一方、業務委託契約は、業務を外部に委託する際の契約で、継続的に取引を行う場合は、取引基本契約を締結したうえで個別契約を結ぶのが一般的です。例えば、長期的に業務を委託する場合には、まず取引基本契約を交わし、その都度の業務内容を個別契約で定めることで、契約の手間を削減しながら柔軟に対応できます。反対に、単発のプロジェクトであれば、取引基本契約を結ばずに、個別契約のみで進めるケースもあります。このように契約の種類を適切に使い分けることで、契約関係を明確にし、スムーズな取引が可能になります。

フリーランス新法(2024年11月施行)により、何が変わりましたか?

2024年11月1日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称:フリーランス新法)」が施行され、フリーランスとの取引において発注者に対する義務が明確化されました。主な変更点は以下のとおりです。

1.契約条件の明示義務

発注者は、報酬額・支払期日・業務内容・納期・契約解除条件などを、書面または電子契約で明示することが義務化されました。

2.報酬の適正な支払い

フリーランスへの報酬は、業務完了から原則60日以内に支払う必要があります。未払い・遅延があった場合は、法的責任を問われる可能性があります。

3.ハラスメント対策の強化

業務遂行中のフリーランスに対するハラスメント行為が禁止され、適切な対応措置を講じることが求められます。

4.不当な取引条件の禁止

一方的な契約変更、報酬の減額、正当な理由のない発注キャンセルなどが禁止され、違反した場合は行政指導や罰則の対象となります。

企業側は、フリーランス新法にどう対応すればよいですか?

フリーランス新法への対応として、以下の準備を進めることが推奨されます。

1.契約書の見直し・整備

契約条件の明示義務に対応するため、既存の契約書を新法に適合する形に修正し、明確な条項を設ける必要があります。

2.支払いフローの確認

報酬の支払い遅延を防ぐため、社内の経理・支払いフローを整理し、支払期日を遵守できる体制を整えましょう。

3.ハラスメント防止策の導入

社内研修やガイドラインの作成を通じて、フリーランスに対する適切な対応を周知し、トラブルを未然に防ぐ工夫が求められます。

4.社内ルールの見直し

フリーランスとの取引が多い企業は、発注プロセスや契約手続きの標準化を進め、コンプライアンス遵守の意識を社内に定着させることが重要です。

フリーランス新法に違反した場合、どうなるのですか?

違反が確認された場合、公正取引委員会や厚生労働省からの行政指導が行われる可能性があります。重大な違反については、罰則が科されることもあり、企業の信用を損なうリスクにもつながりかねません。適切な取引環境を維持するためにも、新法を遵守し、フリーランスとの公正な取引を心がけましょう。

フリーランスとして働く側は、どのような点に注意すればよいですか?

フリーランス新法の施行により、発注者には契約条件の明示義務が課されています。契約時には、報酬の支払い期日、業務内容、契約解除条件が明記されているかを確認し、不明点があれば明確にしておくことが重要です。また、契約書を交わさずに業務を開始すると、トラブル発生時に不利になる可能性があるため、必ず書面で契約内容を確認するようにしましょう。


(編集:ウェブライダー)

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https://milo.adobe.com/libs/img/mnemonics/svg/acrobat-pro-64.svg

ぜひAdobe Acrobatオンラインツールをお試しください

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