フリーフォントを使いこなしてデザインの幅を広げよう
フォントは文字で情報を伝えるために欠かせないものですが、デザインの表現を豊かにする大切な要素でもあります。さまざまなメーカーから伝統的なフォントやユニークなデザインのフォントが発売されていますが、表情豊なフォントはそれだけではありません。
製作者が無償で提供して自由に使うことのできるフリーフォントにも、多彩なデザインのフォントがラインナップされていて、上手に使いこなせば、より一層デザインの幅を広げることができます。
フリーフォントとは
フォントには有償で販売されているものや、年間のライセンス契約で使用するもののほかに、メーカーや行政法人、個人が無償で提供しているものがあります。
この無償で提供されているものをフリーフォントといいます。
フリーフォントには、漢字とかな、アルファベットが揃っているものから、かなだけのもの、アルファベットだけのものなど、さまざまな種類があり、デザインもオーソドックスな明朝体やゴシック体から、手書き風の文字、毛筆風の文字、機械彫刻を再現した文字、イラスト風の文字といったように、バラエティに富んだものが作られているのも魅力です。
フリーフォントは提供元から自由にダウンロードできるもののほか、無償ですが会員登録が必要なものがあります。また、メーカーが提供している場合でも、フリーフォントは基本的にサポートなどの保証はありませんので、自己責任で使用することが前提となります。
フリーフォントの提供元では、使用許諾や免責事項などが書かれていますので、必ず目を通してからダウンロードするようにしましょう。
フリーフォントを使うときに確認しておきたいこと
フリーフォントは使用する上で一定の制限が設けられているものと、完全に自由なものがあります。
具体的には個人でポストカードを作成するなどの利用に限った商用利用不可のもの、そのフォントを使用した印刷物などを販売することができる商用利用可のもの、フォントのデザインに一切の変更が許可されないもの、変更を加えて使用できるものなどの違いがあります。
また、商用利用が可能なものでも、そのフォントだけをコンテンツの主体としたもの、たとえばカレンダーやマグカップなどを商品にしたり、フォント自体を再販売することは禁止されていることがあります。
このような制限の有無はダウンロードの前に明記されていたり、ダウンロードしたフォントと一緒に使用範囲の書かれたテキストが同梱されています。フォントはデザインの表現を豊にしてくれるものですが、フリーフォントは製作者の厚意で提供されるものなので、注意点をしっかり守って使うことが大切です。
フリーフォントの提供元を確認しよう
インターネットで検索すると、フリーフォントを提供しているホームページや、フリーフォントの提供元をまとめて紹介しているサイトなどを簡単に見つけることができます。
フリーフォントはダウンロードしたものをそのまま再配布することを禁じているものがほとんどですが、ダウンロード先として紹介されているところが正規に提供しているホームページではなかったり、中にはフリーフォントを製作者以外が提供する二次配布を禁じているものが配布されている場合があります。
また、本来はフリーフォントではない、でどころが不明なフォントを配布している場合もあります。そのようなフォントをダウンロードして使用すると、実際には商用利用が認められていなかったり、そもそもフリーフォントではなかったためにトラブルの原因となることがあります。
フリーフォントをダウンロードする前には、フォントの製作者や提供元がはっきりとしていて、使用許諾と利用範囲が確認できるものを使いましょう。
オープンソースのフォントとは
フリーフォントの中には、オープンソースとして提供されているフォントがあります。
オープンソースとはもともとコンピューターのプログラムであるソースコードを無償で公開して自由に改良したり再配布を可能にしているもので、オープンソースのフォントであればフォントのデザインを変えたり、自分で改良したフォントを自由に配布することが可能であったりします。
オープンソースとして提供されているものとして、AdobeとGoogleが共同で開発した「源ノ角ゴシック」や「源ノ明朝」、IBMが公開している「IBM Plex」、独立行政法人情報処理推進機構が公開している「IPAexフォント」などがあります。
オープンソースのフォントはデザインに変更を加え、新たなフォントとして配布されているものもあります。なお、オープンソースの場合は使用範囲のライセンスがオリジナルの範囲に準じる場合がほとんどで、変更を加えて配布されているフォントの使用許諾と合わせてオリジナルの使用許諾が同梱されています。そのようなフォントを使用する場合には、必ず両方の許諾範囲を確認しておく必要があります。
CCユーザー必携のフォントサービス「Adobe Fonts」
Adobe CCを契約中のユーザーであれば、Adobeと世界中のフォントメーカーやパートナーが提供する15,000以上のフォントが使えるフォントサービス「Adobe Fonts」を逃す手はありません。日本語フォントもフォントメーカー各社の100を超えるフォントファミリーが揃えられています。
AdobeInDesignやAdobeIllustrator、AdobePhotoshopといった主要なアプリケーションからAdobe FontsのフォントライブラリWebサイトにアクセスし、フォントをアクティベートしておけば、どのAdobeアプリケーションからでも使用することが可能です。
フォントライブラリWebサイトでは明朝体やゴシック体、デザイン書体などでフィルターをしたり、フォントメーカーやデザイナーなどで検索して使いたいフォントを選ぶことが可能です。
また、テーマに応じた複数のフォントを簡単にインストールできるフォントパックも用意されていて、カフェメニューや年賀状、名刺など、目的に合わせた複数のフォントを簡単にアクティベートすることができます。
なお、Adobe Fontsでは、すべてのフォントに同一のライセンスが与えられていて、商用でも個人使用でも、印刷物、Webサイト、映像コンテンツ、プレゼン資料といった用途で安心して使うことができます。
Adobe IDがあれば使える「Adobe Fonts」
Adobe FontsはCCユーザーだけの特権ではありません。Adobe IDを作成しておけば、Adobeが提供する多くの日本語、英語、中国語フォント等を自由に使うことができます。
有償プランとの違いはフォントの数だけなので、フォントライブラリWebサイトから選んでアクティベートしたフォントを、Adobe Creative Cloud無償メンバーシップでも使用できるAdobe XDやその他のインストールしているアプリケーションから利用することが可能です。
また、無償メンバーシップでは、Creative Cloudアプリケーションを体験版として使うことができるので、Adobe Fontsとデスクトップアプリケーションの魅力を体感したうえで、有償のプランへ移行してみるのもいいでしょう。
Creative Cloudはすべてのアプリケーションが使えるコンプリートプランのほか、使いたいアプリケーションごとに契約できる単体プランも用意されています。どのプランでもAdobe Fontsを利用することができるので、自分の目的に合わせて使い方を決めてみるのもいいでしょう。
CCユーザーでなくてもAdobe IDを作成すれば、Adobe Fontsを利用することができ、Adobeの提供するフォントを自由に選んで使うことが可能です
(協力:フロップデザイン)
無料のフリーフォントで広がるデザイン
製作者が無償で提供して自由に使うことのできるフリーフォントには多彩なデザインのフォントがラインナップされています。上手に使いこなせば、より一層デザインの幅を広げることができます。
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