特殊効果と視覚効果の使い方
SFX とVFXを使って、映画をより魅力的にする4つの方法を見ていき、素敵な作品を作りましょう。
特殊効果と視覚効果のマジックを映画に加える
映画制作では、目も眩むような視覚効果や視覚効果などたくさんのデジタルエフェクトが使用されます。そのようなエフェクトを使わずに『スターウォーズ』をつくることは全く無理な話です。マットペインティングや人工的なメイクなど、実際に物を使った従来の特殊効果から、最新の特殊効果(SFX)や視覚効果(VFX)まで、近年の映画制作者は、イマジネーションを実際に映像にして大ヒット作にするツールを多く使っています。
特殊効果とは?
「特殊効果というのは、セットとカメラを使って作る効果です」と映画監督でシネマトグラファーのスティーブン・バーンスタインさんは説明します。起きていない事をカメラで捉えるため、実際の状況や活動を撮影セットで変えることを特殊効果と言います。
特殊効果撮影の4つの例:
- ホースを上に向けて水をスプレーし、雨が降っているように見せる
- カメラをオーバークランクしてフレームレートを早め、撮影している状況がスローモーションになるようにする
- 俳優に空のカートリッジの銃を撃たせ、銃を撃ったような効果を出す
- 花火仕掛けを使って、火薬が破裂する戦争シーンをシミュレートする
映画監督は安全を第一に考える必要があります。「銃を扱う武器の専門担当者や火を扱う花火担当者、爆発物の専門家など、撮影スタッフの安全を確保する訓練を特別に受けたスペシャリストがいない場合は、撮影セットでの特殊効果は使わないようにします。自分達だけで何とかできると思って撮影し、現場で死亡者が出たこともあります。出演者を危険にさらしてはいけません」とバーンスタインさんは強調します。
視覚効果とは?
「視覚効果は通常、後処理で作成します」とバーンスタインさんは説明します。コンピューターグラフィック(CGI)が発達したおかげで、俳優に危害を及ぼすことなく、彼らがスクリーンで危険なシーンを演じることができるようになりました。こうした視覚効果の多くは、Adobe After Effectsなど、定評のある動画エフェクトやモーショングラフィックプログラムを使って制作できます。
動画撮影:スティーブン・バーンスタイン
上記にあげた特殊効果の4つの例を、視覚効果で作ることもできます。
- 雨の効果を使って、シーンに雨が降っているように見せる
- 映像のフレームレートを調節して、遅くまたは早く動いているように見せる
- 俳優が持っている銃の前部にマズルフラッシュを取り付けて発砲しているように見せる
- 戦争シーンの背景にコンピューターで制作した爆発映像を入れる
ロトスコープ
視覚効果はいつも人目を引くような感じを出す必要はありません。視覚効果は、視聴者には見せたくない物を消すためにも使われることが多くあります。例えば、撮影用機材の一部や、1800年代の空のシーンから飛行機を消すことなどです。
「よく『編集でなおす』という表現を聞くと思います。それはロトスコープを使うという意味です。フレームごとに見直して、物を消していく作業です。「 Photoshopを使えば、視覚効果を作成することができます。時間はかかりますが、効果は抜群です」とバーンスタインさんは言います。
後からロトスコープで何かを消す必要があるとわかっている場所で撮影する時は、シーンの撮影を開始する前に、カメラを設定して何もない状態の背景だけを先に撮ります。「背景を撮影して、後でカメラがそのままの位置にあれば、シーンから物体を消すのは簡単にできます。スーパーインポーズと同じことですから。背景を撮影して、見せたくない物の上に重ねて見えないようにするのです」とバーンスタインさんは言います。
特殊効果と視覚効果を同時に使う
特殊効果と視覚効果は、互いに相容れない存在ではありません。「役割がオーバーラップする部分もあります。視覚効果を撮影セットで準備することもあるし、特殊効果が視覚効果と絡み合う場合もよくあります。両者が共に作用してイマジネーションの世界を構築し、互いに引き立てあっているのです」とバーンスタインさんは説明します。
特殊効果と視覚効果を同時に使うと、以下のとおり前述の4つのシーンをさらに効果的にすることができます。
- 撮影する前に地面に水をスプレーし、後処理の編集で 雨の効果を加える
- カメラをオーバークランクして、スローモーションの映像を撮り、後処理でゆっくりと動く粒子を背景に加える
- 小さくて安全な空の銃をセットで使い、デジタル編集で銃口が爆発するように見せる
- グリーンスクリーンの前で戦闘シーンを撮影し、後処理でコンピューターで作成した宇宙船の爆発シーンをグリーンスクリーンの背景に入れる
グリーンスクリーンでエフェクトを高める
制作中の映画で視覚効果を使う場合、グリーンスクリーンを使って撮影します。これは比較的安価な方法であり、しかもVFXをリアルに見せることができます。グリーンは、 クロマキーという技術を使っており、エフェクトプログラムでCGIの背景を入れる時に作業がしやすい色です。
「白色光というのは、それ自体に色はありません。赤、青、緑を等しい分量だけ混ぜ合わせた物です。そのため、純粋なクロマグリーンであれば、電子的にそれを全て削除できるのです。しかし、グリーンスクリーンの他にグリーンの物が存在しないようにしましょう。もし、グリーンスクリーンを緑でいっぱいの森で使ったら、クロマキーが木を全部削除してしまいます。グリーンが多い森のシーンの場合は、ブルースクリーンを使います」とバーンスタインさんは説明します。
短編や長編映画で魅力的な映像を作り出すのに、アカデミー賞を受賞するようなエフェクトアーティストになる必要はありません。Adobe After Effectsの3Dアニメーションやモーションキャプチャなどさまざまなツールを使いこなして、映像をさらに際立たせ、現実と空想の世界の境界線がわからなくなるような映像をつくりましょう。
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