デザインワークに欠かせないAcrobatを使った仕事の効率アップ術

デザインワークの現場で業務効率を上げるおすすめツール・Adobe Acrobatの便利機能をシチュエーションを交えて紹介します。

 

じめに

 

日本の経済状況や近年の働き方改革の影響を受け、「業務効率化」に取り組む企業は増え続けています。デロイトトーマツグループが発表した「働き方改革の実態調査2020」では、検討された働き方改革の施策として「業務プロセス・ルールの見直し」が第2位に入るなど、生産性向上に向けた既存業務の効率化が重視されていることが見て取れます(第1位は長時間労働の是正)。

業務効率化が推進されるなか、アドビのPDFソリューションAdobe Acrobat(以下、Acrobat)を導入したことで、業務の効率が向上し、成果を上げることができた企業は数多くあります。

この記事ではそのなかでも、クリエイティブな現場の様々な場面でAcrobatを活用している、株式会社電通デジタル(以下、電通デジタル)の事例を紹介します。

 

※本編は、Adobe MAX Japanにて電通デジタル社のセッションを記事化したものです。

 https://www.youtube.com/watch?v=XAJLCAKwCDE

 

1. 電通デジタルが「効率アップ」に取り組む背景

 

 

 

電通デジタルは2016年に創立された、電通グループのデジタルマーケティング専門会社です。

 

企業規模の急速な拡大により業務効率アップへの取り組みが不可欠な背景がありながら、前向きな方針とは裏腹に、なにからどのように取り組めば良いかわからず、なかなか実践的な取り組みを実現できていなかった状態でした。

 

そのような中、2019年に電通デジタルが業務効率を上げるための一環として導入したものがAcrobatです。

 

Acrobat導入前後では、PDF(Portable Document Format)に対するイメージが大きく変わり、いまや業務効率化を図るうえで、なくてはならないツールになりました。

 

導入前に持っていた「PDFは編集できないファイル形式」「容量を軽くするツール」という認識が、導入後の現在は「PDFはドキュメントに自由を与えるもの」という認識に変わったのです。

 

“ドキュメントに自由を与える”とは、どのような意味なのでしょうか。

ここからは、Acrobatが業務効率という点において、なにを可能にしてくれるのかを紹介していきましょう。

 

2. Acrobatとは

 

 

Acrobatは、世界中で使用されている、多彩な機能を備えたPDFエディターです。

[Acrobatの機能]

 

 

Acrobat は、ほぼすべてのファイル形式を高品質なPDFに変換できるだけでなく、PDFをすばやくほかのファイル形式に書き出すこともできます。PDF内でテキスト等を編集することもできるので、元データがない状態でも内容の修正を行なえるようになります。

 

AcrobatにはPDFに関するさまざまな機能が搭載されているので、使いかたをマスターすれば、業務効率化の武器になることは間違いありません。

 

3. Acrobatがあるワークスタイル

 

実際、どのような業務でAcrobatが活躍するのか。シチュエーションに沿ってご紹介しましょう。

 

シチュエーション1:制作チームへのブリーフィング

 

クライアントの営業窓口であるフロント から、クリエイティブディレクター宛にオリエン資料やメディア規定書がPDF形式で送られてきました。ディレクターとしては、内容に問題がないかチェックして、すぐにデザイナーに展開、制作をスタートさせたいと考えています。

 

 

しかし、問題点が発生します。

 

  •     打ち合わせで修正した内容が反映されておらず、資料が古いままになっていた
  •     入稿素材一覧表内の納品日やサイズ規定が間違っていた
  •     打ち合わせで配布された紙資料の添付が漏れていた(スキャンする必要がある)

 

Acrobatがない状況下では、直接これらのPDFファイルの修正ができず、このままの状態ではデザイナーに展開することができません。そのため、クリエイティブディレクターはフロントに修正資料の再送を依頼する必要が生じます。しかし、再送されてきたファイル内にも問題点があることを発見。「いっそ、自分でPDF変換前の元ファイル(PPT, Excelなど)を修正してしまったほうが早い!」と考えたクリエイティブディレクターは、フロントに元ファイルの提供を要求するも、フロントがクライアントから元ファイルを取り寄せるのにも時間がかかり、どんどん時間ばかりが経過してしまい・・・。結果的に、デザイナーへのファイル展開・オリエンテーションに非常に時間がかかったことで、納品が間に合わなくなるリスクも生じます。

 

 

Acrobatがあれば、この悩みをスムーズに解決することができます。

 

  • 打ち合わせで修正した内容が反映されておらず資料が古いままである場合、

                -  Acrobatなら、元ファイルの取り寄せの必要がなく、PDFファイルのまま修正することが可能です。フォントや色の変更も自在なので、その場ですぐに編集できます。

 

  • 納品日やサイズ規定が間違っていた

                - 同じ内容の修正があれば、検索→置換ができます。

                - さらに行や列を足したい場合、PDFからExcelファイルに書き出して、Excelでの修正も可能です。

 

  • 打ち合わせで配布された紙資料を添付し忘れていた(スキャンしなければならない)

                - 無料モバイルアプリのAdobeスキャンと連携しましょう。PDFで保存でき、文字も編集可能なテキストとして認識しているので、検索やPDF上での修正もかんたんです。    

 

 

 

 

シチュエーション2:制作チームへの修正戻し

 

案件の撮影が完了し、撮影カットやデザインの検証をしてクライアントに対するクリエイティブの提案に入ります。

デザイナーからアートディレクター宛にデザインが上がってきましたが、ところどころイメージと違う箇所や、必要要素の抜け・漏れがありました。

Acrobatがない状況下では、アートディレクターからデザイナーに修正指示を出す際、いままでは一度デザインファイルをプリンタで紙に出力したものに手書きで赤字を入れ、スキャンする方法を取っていました。しかし、クライアントやフロント、クリエイティブディレクターからもバラバラに追加の修正依頼が入ることで、修正指示の確認が煩雑になり、修正漏れが発生することがありました。

 

しかし、Acrobatを導入したことで、この悩みは解決されました。

 

ここでは使用したのは、Acrobatの注釈機能です。注釈機能を使用すれば、複数人の修正指示をひとつにまとめることができるので、スッキリとして読みやすい赤字になり、デザイナーは的確に指示内容を反映することができます。

 

 

 

Acrobat注釈機能画面

 

 

注釈機能の便利な使いかたを紹介します。

 

  • リアルタイムに複数人が同じPDFに注釈を書き込める
  • 注釈ごとに、スレッドでやり取りが可能。メンション指定もできる
  • 時系列や、未読、既読、解決済みなどでソートが可能
  • スマホアプリでも編集ができる

 

編集機能と組み合わせると、このような作業を行なうこともできます。

 

  • PDFの中のオブジェクトを選択、サイズ変更
  • フォントや色、サイズを変更してフィードバック
  • Illustratorと連携して、背景色の変更
  • Photoshopと連携して、写真のトーンの変更

 

アドビツール間で連携することで、さらに作業効率を上げることも可能です。

 

また、Adobe Document Cloudの共同編集機能もおすすめです。

 

 

 

Acrobatでは、文書をチームメンバーや取引先とスムーズに共有できます。

スマホやタブレットとの連携によってデバイスにとらわないPDF編集が行なえるほか、複数人でひとつのPDFにコメントを書きこむ機能もあるので、プロジェクトをスムーズに進行できます。

 

Acrobatによって五月雨式に行なざるをえなかった修正作業をまとめることができれば、業務効率アップを図ることができるでしょう。

 

シチュエーション3:納品資料ファイナライズ(フロント)

 

クリエイティブチームとメディアチームからフロント宛に資料が届きました。クライアントへの提案用に、資料の差し替え・追加・修正をして、資料のファイナライズをおこなう必要があります。このような納品前の最終チェック時によくある課題について紹介しましょう。

 

[納品時]

  • 結合対象のファイル形式がバラバラ

 

Acrobatがない状況下では、各チームから届く資料のファイル形式がPDF・PPT・Excelなどのようにバラバラだと、これらのファイルをフロント側でひとつずつ修正してひとつのファイル形式にまとめる作業が発生し、時間をロスしていました。

 

Acrobat導入後は、「ファイルを結合」で異なるファイル形式をひとつのPDFに統合できるようになりました。「ファイルを結合」を使用すると、さまざまなファイル形式のデータを瞬時にひとつのPDFファイルにまとめることができます。

 

 

 

Acrobatファイル統合画面

 

 

Acrobatでは動画素材のPDFファイルへの統合・注釈も可能です。

「ページを整理」 から挿入で 動画ファイルを選択します。PDF上で動画を再生できるので、動画の特定の場所(秒数)のところに注釈を追加することができます。

 

 

  • 誤字・脱字がある

                - ページ番号とフッターが抜けている

                - 製品名の表記が統一されていない

 

いままでのAcrobatがない状況下ではページ番号の修正の場合、PDF→PowerPoint形式に変換→PowerPointでページ番号とフッターを挿入→PDFに再変換という手順が、誤字を修正する場合には目視確認+手動修正という手順が必要でした。

 

Acrobat導入後は、フッター修正、検索・置換機能によって、複数ページを横断した修正ができるようになります。

 

 

 

Acrobat PDF編集画面キャプチャー

 

 

 

  • バージョン比較チェックが大変

Acrobatがない状況下では、提出前に資料のバージョンを比較し、修正した箇所の最終チェックを行なっているとき、以前のバージョンからどこを修正したかを把握しきれず、結局、プリントして目視で比較することになった、という経験はありませんか。

 

Acrobatの「ファイルを比較」を使うと、かんたんに旧バージョンと新バージョンを比較、確認できます。2つのファイル間での修正箇所が横並びでわかるので、効率よく差分チェックを行なうことができます。

 

 

 

 

4. まとめ

 

資料作成の時間を減らし、本来時間を使うべきクリエイティブへの時間を増やし、提案のクオリティを上げる。業務効率を上げるAcrobatは、いまやクリエイティブの現場には欠かすことのできないツールになっていると言えるでしょう。

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