3Dファイル形式でレンダリングされた3Dの環境画像

3Dファイル形式に関するガイド

過去20~30年間にわたる3Dの進化は、様々な方面からの多大な貢献によるものです。ですから、あらゆるソリューションに適したファイル形式というものはありません。3D業界が多くの業界や分野で進化するにつれて、特定の用途に合わせたファイル形式が数多く生まれました。ここでは、ファイルの種類について知っておくべきことと、その使用方法について説明します。

3Dファイルの種類

企業が3Dの世界に次々と参入し、VR(仮想現実、バーチャルリアリティ)、AR(拡張現実)、ゲームデザイン、VFXといったテクノロジーや、長年にわたるCAD(コンピューター支援設計)アプリケーションも進化してきました。これに伴い、様々な機能に対応してファイルの種類も新しいものが登場してきたことは、自然な成り行きと言えるでしょう。

一般に、ジオメトリが構築された場所に応じて、ポリゴンジオメトリデータと境界表現(BREP)の2種類の形式が存在します。CADアプリケーションは、どちらの方法でも出力して、幾何学データを保存することができます。CADの世界でより高いレベルの幾何学情報を保存するには、3Dプリントやゲームアプリケーションで使用される標準ポリゴンデータも含む別のファイル形式が必要になります。どちらの種類の幾何学的定義も複雑で、ファイルサイズが大きくなる可能性があります。

 

ここでは、よく目にする一般的な3Dファイルの形式をいくつか紹介し、どのようなときにその使用を検討すればよいかを説明します。

ZUH Visualsによって3Dファイル形式で作成された3Dの建築物のレンダリング

画像提供元:ZUH Visuals

OBJ

OBJファイル(.obj)には3Dジオメトリの情報が含まれています。これは、ほとんどのモデリングソフトウェアからオブジェクトを書き出すときに古くから使用されている、一般的な形式の1つです。この多角形形式にはスケール感(センチ、インチなど)を含めることができます。マテリアル定義は、最新のマテリアルや陰影をつけるテクニックに比べて古いものです。直線のジオメトリを書き出す際は、標準として活用すべきものです。

メリット

  • 単位空間(センチ、メートル、インチ、フィート)をサポートします。

  • 1つのファイルで複数のオブジェクトをサポートします。

  • OBJファイルは通常、同じモデルを別の形式で保存する場合よりも軽くなります。

  • 業界標準のゲームエンジンやVFXおよびゲーム業界の次世代のDCC(デジタルコンテンツ作成)ツールと互換性があります。

FBX

FBXファイル(.fbx)にはOBJと同様に3Dオブジェクトのデータが含まれていますが、それだけでなくアニメーションのデータも含まれます。そのためこのファイル形式は、映画ゲームVFXなど、複雑なモデル、マテリアル、アニメーションが必要なあらゆる業界でよく使用されます。このファイル形式はAutodeskが開発したもので、VFXとゲームエンジンの両方で広くサポートされています。より高いレベルのマテリアル定義を保持でき、多くのレンダリングエンジンをサポートします

メリット

  • FBXファイルには、カメラ、ライト、ジオメトリ、ボーンなど、アニメーションを作成するために使用するフル3Dシーンのデータが保存されます。

  • 業界標準のゲームエンジンやVFXおよびゲーム業界の次世代のDCC(デジタルコンテンツ作成)ツールと互換性があります。

  • FBXは古いファイル形式ではありますが、広くサポートされており、単なる3Dモデルデータよりもはるかに多くの情報が含まれているため、ビデオゲームなどのビジュアルを重視した制作によく使われています。

gITF

GL Transmission Format(.glTFおよび.glb)は、FBXのような形式のオープンソース版、ロイヤリティフリー版として提供されるポリゴンファイル形式です。元々はCOLLDAワーキンググループによって作成されましたが、現在はKROHONグループがモデルとシーンの交換用にこの共有されたオープンファイル形式を保持しています。このファイルはFBXと同様に、静的モデル、アニメーション、動きのあるシーンをサポートしています。開発者はネイティブwebアプリケーションでこの形式をよく使用しています。最新のファイル形式の1つとして、シェーディングとマテリアル定義の最新のメソッドをサポートしており、更新された2.0バージョンでは物理ベースレンダリングPBR)の材質をサポートしています。

メリット

  • WordドキュメントとPowerPointプレゼンテーションに埋め込むことができます。
  • よく使用される3Dアプリケーションと互換性があります。
  • Webおよびリアルタイムの双方向性のために最適化されたGLTFおよびGLBファイルは、ファイルサイズが比較的小さく、アプリケーションへの読み込みが速いことが判明しています

USD/USDZ

USD(Universal Scene Descriptor)は元々Pixarが開発したファイル形式ですが、現在はオープンソースになっています。オブジェクト、マテリアル、シーン、アニメーションのデータが含まれています。USDはシーン全体のデータを効率よく保存できるため、多くの点でファイル形式に対して通常期待されるレベルを上回っています。

 

USDZはAppleとPixarがAR向けに共同開発した専用フォーマットです。この形式では比較的新しいAppleデバイス向けに3D拡張現実コンテンツを作成できます。

メリット

  • 3Dのファイル形式とその将来の可能性に期待している大手企業が参加する、成長中の活発なコミュニティです。
  • この形式は柔軟性があり、パワフルかつ効率的なため、プラグインや拡張機能による拡張性が高く、企業がUSDに追加した機能を共有できます。
  • PBRマテリアル、最新のリアルな定義、または3Dオブジェクトのマテリアルやシェーディングと互換性があります。

その他の3Dファイル形式

3Dが関わる業界は多く、ファイル形式も様々なものがあります。上記の他に、次のようなファイルもよく使用されています。

 

  • CADファイル – クローズドエコシステムでのみ使用される独自のものもあれば、より高いレベルの幾何学的定義を維持するために機能するものもあります。これらのファイルには2D、3D、さらにパラメトリックソリッドが含まれる場合があります。Substance 3D StagerでサポートされているCADファイルの一覧については、ドキュメント(IGES、STP/STEP、IPT、IAM、.SLD、.JTなど)を参照してください。
  • BLENDファイル – 使用するクリエイターが増えているオープンソースのDCCツールであるBlenderで使用されるネイティブファイル形式です。
  • Substance 3Dファイル – SBSARはSubstance 3D Designer、Sampler、Painterによって作成される最も一般的なファイルで、3Dコンテンツのマテリアルを作成したり、シェーディングを定義したりします。Substance 3Dファイルについて詳しくは、概要をご覧ください。
  • AMFとSTL – この2つは、3Dプリントで最も一般的なファイル形式です。AMFはより最新のバージョンであり、印刷と拡大・縮小をサポートする内部メタデータを保持します。STLは古い形式であり、カラーと拡大・縮小の情報を保持していません。
ZUH Visualsによって3Dファイル形式で作成された3Dの建築物のレンダリング

画像提供元:ZUH Visuals

3Dプロジェクトで最適なファイル形式を選択するには

プロジェクトでどのファイル形式を使用するかは、いくつかの要素によって変わる可能性があります。まず、何よりも互換性を確認します。3Dコンポーネントをソフトウェア間でやりとりする必要があるなら、互換性のないファイル形式に書き出しても時間の無駄です

他に考えるべきこととしては、書き出されたファイルのサイズがあります。これが特に重要となるのは、ハードウェア固有の制約があるビデオゲームなどの3Dプロジェクトを制作する場合です。重要なことは、ファイル形式は明確な理由があって作成されているということです。自分が使用するソフトウェアについて理解し、なぜそのソフトウェアでそのファイル形式が使用されているのかを理解することによって、書き出しについて、十分な知識にもとづいた判断を下すことができます

よくある質問

3Dファイル形式は特定の理由のもとに作成されます。したがって、最適なファイル形式は、そのファイルで何をする必要があるかによって異なります。

OBJ、FBX、STL、AMF、IGESなどがよく使用されます。

Photoshopでは、DAE(Collada)、OBJ、3DS、U3D、KMZ(Google Earth)といった3D形式を開くことができます。

 

Photoshopで3Dファイルを単独で開くには、ファイル/開くを選択し、ファイルを選択します。

 

開いているファイルのレイヤーとして3Dファイルを追加するには、「3D/新規3Dレイヤーをファイルから作成」を選択し、3Dファイルを選択します。新しいレイヤーに、開いているファイルのサイズが反映され、透明な背景の上に3Dモデルが表示されます。