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カウボーイショットでドラマチックな撮影を
「カウボーイショット」といった技法は、名前の印象とは異なり、西部劇以外でも使われています。かつて西部劇で使われた手法を、映画監督がどのように、他のジャンルでも活用しているか見てみましょう。
映画のカウボーイショットとは?
- 映画撮影でカウボーイショットというのは、顔から腿の中間までのショットのことです
- このショットは、クリント・イーストウッドの西部劇「荒野の用心棒」などの映画の決闘のシーンによく使われた撮影法です
- 現在では多くのジャンルで、カウボーイショットは使われています
カウボーイショットは映画の歴史の一部
西部劇がハリウッドで全盛期だった頃、映画監督はヒーローや悪人に、もっと観衆の注目を引きつけるため、特別なカメラアングルを使い始めました。登場人物をミディアムショットで撮影すると、人物の頭から腿の中間までフレームに収めることができ、家畜泥棒の歪んだ顔と腰にかかっている銃を、同時に映像に取り入れることができました。
この構図はカウボーイショット(米国以外では「アメリカンショット」)と呼ばれ、何にでも使えるという多用性があるため、映画界で広く使われるようになり、西部劇が作られなくなった今でも存続するテクニックです。
カウボーイショットの基本
一行のセリフを一言も言わずに、カウボーイショットは登場人物について多くのことを素早く表現することができます。
「カウボーイショットは大抵の場合、登場人物が持っている武器を見せるために使われます。これは、その人物が相手より強く、優位に立っていることを表現する方法です。
人物の顔、手、武器を同時に見せることで、観客は人物の顔の表情から何をしようとしているのか推測し、そこにサスペンスが生まれます。それが現在でも、西部劇以外の映画でカウボーイショットが多く使われている理由です。
カウボーイショットは使われなくなったのか?
カウボーイショットは、映画監督やカメラマンが使う多くのショットの1つで、ストーリーを伝えるためにジャンルを問わず、使われています。カウボーイそれ自体は必要ありません。昔の映画と最近の映画でカウボーイショットが巧みに使われている例を見てみましょう。
『パルプフィクション』
タランティーノ監督の有名な映画です。サミュエル・L・ジャクソンが演じる登場人物が彼のボスから重要なブリーフケースを盗んだ泥棒を脅すという印象的なシーンがあります。カメラはジャクソンを下から映し、彼の怒りに満ちた顔と手に握った武器を同時にフレームに収めています。ジャクソンは背が高く、相手を威圧できで、強そうに見えます。彼が脅している相手にとっては、あまり嬉しくない光景です。
『ファイトクラブ』
カウボーイショットにカウボーイは必要でありませんが、武器も必要としません。荒々しい喧嘩の後、カメラはブラッド・ピット演じる登場人物の次のようなカウボーイショットを見せます。― アザだらけなのに、勝ち誇っていて、片手にビールを持っている姿―このショットは彼が強靭であることを表していると同時に、腰の位置に見えるビールが、喧嘩をした後にもかかわらず、彼は余裕があることをうかがわせています。
『ワンダーウーマン』
ワンダーウーマンが第一次世界大戦の戦場で、マシンガンを持った一味に対抗する時、パティ・ジェンキンス監督はカウボーイショットを使って、敵を見下ろすワンダーウーマンを表現しています。このショットは彼女の鋼のような固い決断を示す顔の表情と、ベルトにかかった「真実の投げ縄」に彼女の手が届くのを見せ、これからアクションたっぷりのシーンが来ることを連想させます。
カウボーイショットを撮る方法
このショットの良い点は、そのシンプルさにあります。「比較的簡単に撮影できるショットです。特別な機材は要りません。少し複雑にしたければ、ステッドカムやリバースドリーを使って、人物がカメラに向かって歩くと同時にカメラも動かします。しかし、三脚とカメラがあれば、十分です」とクレインさんは言います。
撮影リストにカウボーイショットを入れる時、セルジオ・レオーネ監督の映画のような古典西部劇を参考にしましょう。カウボーイショットから俳優の顔へとエクストリームクローズアップして、そのシーンのドラマチックな緊張感を高めてみましょう。または主人公が、自分のいる場所を確かめるために周りを眺めているのを表すように、カウボーイショットの前にその場所のエスタブリッシングショットをエクストリームワイドショットで見せるのも良いでしょう。
Adobe Premiere Proで本格的なカウボーイショットを撮る
カウボーイショットを撮影したら、Premiere Proの充実した機能でそのシーンに磨きをかけましょう。
ドリーを使って、動いている人物のカウボーイショットを撮影した場合、 Premiere Proのワープスタビライザーエフェクトを使って、揺れをスムーズにしてカメラの動きをプロ並みにしましょう。またはモーショントラッキングを使用してフレームを安定させ、被写体の人物に焦点を合わせることもできます。
登場人物の個性を印象付け、映画のシーンに緊張感を加えたいなら、カウボーイショットはとても効果的なショットになり、ストーリーを盛り上げます。
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