動画: Adobe Premiere Proなどのソフトでキャプチャされた人の目のエクストリームクローズアップ

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ズームを超えるエクストリームクローズアップの撮り方

現代のカメラと編集ソフトは、優れたズーム能力と精度を備えています。エクストリームクローズアップを慎重に使って、自分だけの作品スタイルを確立しましょう。

エクストリームクローズアップの基本

  • 映画においてクローズアップは、アクションのディテールを見せてくれますが、エクストリームクローズアップ(ECU) はそれよりさらに被写体に近づき、強烈で威圧的な効果を加えます
  • エクストリームクローズアップは、編集のテクニックと映画撮影について理解した上に使い、観客を混乱させるのではなく、観客をシーンに引きつけるために使うと効果的です       
  • エクストリームクローズアップのシーンは撮影時にカメラで捉えることもできますが、 Adobe Premiere Proのような編集ソフトを使って作成することもできます

ズームを超える撮影

エクストリームクローズアップを撮影する時、映画制作者は事前にさまざまなことを調べなければなりません。こうした極端なクローズアップは、映画のシーンで、被写体の一部分のみを映し出すことで観客の注意を引きつけ、シーンに含まれる思いや事実を観客に示唆します。

       

「エクストリームクローズアップは、大抵の場合、何かを伝えるというより特定の効果を出すために使われます。例えば、舌を鳴らしたり、眉をひそめたり、というようにです」と語るのは映画監督のアリシア・J・ローズさんです。まさにその通りと言えるでしょう。クローズアップが俳優の顔全体を捉えるのに対して、エクストリームクローズアップは、俳優の唇、耳などのディテールを表し、それらは映画全体の流れの中で筋の通ったシーンにするための大変重要な存在です。

       

このようにしてストーリー全体で筋の通ったシーンを作っていきます。 

良いクローズアップを撮る方法

クローズアップは、その時の思いつきで衝動的に使うものではありません。クローズアップは特別な撮影法で、ストーリー全体の流れの中で重要な役割を果たしています。エクストリームクローズアップは人に刺激を与え、そのシーン全体の雰囲気を決定づけます。このような撮影法を使う時は、それを使う意向を明確にし、ストーリー的に筋の通ったものにする必要があります。エクストリームクローズアップの定番の使い方として、例えば極端にワイドなショットあるいはミディアムショットのエスタブリングショットから、エクストリームクローズアップへトランジションする方法があります。しかし、使い方はこれだけではありません。ビデオグラファーのリサ・ボールデンさんは、「ミディアムクローズアップは『知人』で、エクストリームクローズアップは『親友』といった感じです」とこれら2つの撮影の違いを説明しています。

牧場主の横顔に焦点を合わせるためエクストリームクローズアップを使用
革製のカウボーイ鐙と拍車のエクストリームクローズアップショット

例えば、セルジオ・レオーネ監督の『続・夕日のガンマン』など、マカロニウェスタンの多くは、決闘のシーンで敵対する2人の目、ガンベルト、顔、手などをエクストリームクローズアップで見せています。素早いカットとクローズアップを合わせることで、シーンに決闘の困惑感や緊張感を加えます。

            

しかし、これらの映画制作の技巧を使う前に、事前の準備を充分にしておく必要があります。

シーンの説明をする

劇場用映画でも短編映画でも、撮影台本は必要不可欠です。撮影台本には色々な役目がありますが、クローズアップに関して最も重要なのは、カメラショットについての詳しい撮影の指示です。すなわち、撮影台本には撮影リストと、特定のショットをどのように撮影するかという指示が書かれていますが、これは映画の「見栄え」を手がけるシネマトグラファーのためのものです。

 

エクストリームクローズアップは特別なタイプのショットなので、そのための準備をし、撮影シーンの中でエクストリームクローズアップのことについて説明を加えておきます。エクストリームクローズアップを使う場合は、必ず撮影台本でその指示を加えましょう。そうすれば、制作者、シネマトグラファーともに事前にエクストリームクローズアップの撮影に備えることができます。撮影リストを作成するにあたり、ボールデンさんは 「エクストリームクローズアップは、ディテールにこだわり、また緊密感を出す方法です。必ずしも人である必要はなく、どんな被写体でも構いません」と説明します。

機材をチェックする

エクストリームクローズアップを撮影する前に、適切な機材が揃っているか確認しましょう。ズームレンズやマクロレンズを使えば、大抵は被写体にかなり近づくことができますが、エクストリームクローズアップはそれだけでは済まないことが多いです。もし被写体が動いているなら、その動きとフォーカスを事前にリハーサルして、うっかり被写体がブレてしまわないように注意しましょう。三脚無しにエクストリームクローズアップを撮影するのは、ほぼ不可能なことです。また、撮影前に、シーンに映る物すべてが静止状態であることを確認します。 

撮影する

撮影当日、撮影台本が手元にあり、エクストリームクローズアップをどのように撮影するのか計画が立てられていれば、撮影の準備は万端です。このタイプのショットはディテールをはっきりと見せるので、照明器具が適切に設置されていることを確認します。また編集で誤りを修正しなくてもいいように、テイクをいくつか撮影しておきましょう。

エクストリームクローズアップの作品3本

1. 『コンタクト』(監督:ロバート・ゼメキス、シネマトグラファー:ドン・バージェス)

ここでは定番のエクストリームクローズアップが、非常に効果的に使われています。ジョディ・フォスター演じる登場人物が、異星人からのシグナルをヘッドフォンで聞いた時、クローズアップされた顔は、彼女が聞こえてくる音に神経を注ぎ集中している様子と、異星人からのシグナルを初めて聞く驚きを観客に見せます。

2. 『シャーロック・ホームズ:シャドウゲーム』(監督:ガイ・リッチー、シネマトグラファー:フィリップ・ルーセロ)

この映画の1シーンで、登場人物が林の中を駆け抜けていくときに、巨大な武器が彼に向かって発射されます。編集済み画像が、エクストリームクローズアップで武器を映し出し、戦争に使われる新兵器の恐ろしさを表現しています。

3.『 スコット・ピルグリム vs ザ・ワールド』(監督:エドガー・ライト、シネマトグラファー:ビル・ポープ)

映画全体に多くの撮影技術が用いられたマスタークラスと言える映画ですが、特にアクションや動きをエクストリームクローズアップで表現している点に注意してください。

どのようなテイクでも、Adobe Premiere Proには、作品のクローズアップ撮影を編集して洗練された仕上げにするツールがあります。ズーム、チルト、フレーミングエラーなどの補正機能や、その他さらに高度な機能が揃っています。専門学校で映画撮影を学習中の人も、劇場映画を制作中の人も、これらの機能を使って思い通りのニュアンスを表現してみましょう。

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