
フォトモンタージュとは、複数の写真を貼り合わせて1枚の写真にする手法で、コラージュの一種です。
コラージュは写真のほかに、布、紙、雑誌の切り抜き、絵など多様な素材を繋ぎ合わせたものですが、フォトモンタージュでは写真素材のみを組み合わせ、1枚の写真として完成させます。
アートとしての表現はもちろん、建設業界や造園業界などの施工予想図や、美容業界における施術例のビフォーアフターなど、完成のイメージを描いてもらいやすくするためにも広く使われています。
この記事では、フォトモンタージュの魅力と、オンライン画像編集ツール「Adobe Express」を使った作成方法についてわかりやすくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
フォトモンタージュとは?
フォトモンタージュは、複数の写真を切り貼りして新しい作品を生み出す、コラージュの一種です。20世紀初頭、新しい芸術運動の表現方法として広まりました。この技法は特に、従来の考えに縛られない、自由な表現を求めたシュルレアリスムやダダイズムの芸術家に好まれたと言われています。
フォトモンタージュの特長
フォトモンタージュには、以下3つの特長があります。
・写真のみで構成する
コラージュが紙や布など多様な素材を使うのに対し、フォトモンタージュは写真だけで作られます。そのため、より鮮明でリアルな印象を与えられます。
・現実と非現実を融合する
異なる写真を組み合わせることで、現実と非現実が混ざり合う不思議なイメージを作り出します。実在しないものでもリアルに表現できることが魅力です。
・強いメッセージ性を表現できる
強調したいモチーフを貼り合わせることで、視覚的に印象的なメッセージを伝えることができます。
フォトモンタージュの特長を理解したところで、具体的にどのような場面で活かされているのか、さらに詳しく見てみましょう。
次は、芸術表現にとどまらず、私たちの身近な生活からビジネスシーンまで幅広く応用されている「フォトモンタージュの活用例」をご紹介します。
フォトモンタージュの活用例
フォトモンタージュは、かつて芸術家たちが実験的に取り組んだ技法でしたが、時代が進むにつれてその応用範囲は劇的に広がりました。現在では、個人の趣味やクリエイティブな表現だけでなく、ビジネスシーンでも欠かせないツールとして活用されています。
また、スマートフォンや画像編集ソフトの発達により、誰もが手軽に作品を作り出せるようになり、SNS上で多くの魅力的なフォトモンタージュが日常的に共有されています。
特に広告業界では、フォトモンタージュの力がブランドの世界観を表現するために大いに活かされています。ファッションやコスメなどの分野では、写真の組み合わせによって独自のイメージを創出し、見る者の記憶に深く刻まれる広告が次々と生み出されています。
また、建築の現場でもフォトモンタージュは重要な役割を果たしています。まだ完成していない空間に、完成後の建物や構造物を重ね合わせることで、施主や関係者に具体的な完成イメージを提示できるようになり、設計段階からプロジェクト全体の共有理解を深められるのです。
このように、フォトモンタージュは芸術の枠を超えて、現代社会の多様な分野で活躍しているのです。各業界で生み出されるクリエイティブな表現や、情報を効果的に伝えるコミュニケーションツールとして、今後もその存在感はますます大きくなることでしょう。
フォトモンタージュが幅広いシーンで活用されていることがわかったところで、実際にどのように作成するのか気になっている方も多いでしょう。
ここからは、オンラインで手軽に使える「Adobe Express」を使って、初心者でもカンタンにフォトモンタージュを作れる方法を、具体的な手順に沿ってご紹介します。
Adobe Expressを使ってフォトモンタージュを作る手順
Adobe Expressは、誰でもカンタンにコンテンツを作成できるデザインツールです。
SNSに投稿する画像の作成や加工、そのほかにもショート動画やロゴ、ポスター、チラシのデザイン、マーケティングに使用するバナー画像に至るまで、様々なものが作れます。
さらに、生成AI機能も搭載されており、美しい画像を生成したりテキストを装飾したりすることも可能です。
それでは以下のフォトモンタージュを例に作り方をご紹介していきます。今回はPCで作成していますが、スマホやタブレットからも編集できます。
※当記事の情報は、2025年3月時点のものです。アプリケーションのバージョンにより、操作画面のUIや機能が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
【手順1】Adobe Expressに無料ログインする
まず、GoogleアカウントやSNSアカウント、メールアドレスを使ってAdobe Expressに無料ログインしてください。
【手順2】作りたい画像をアップロードする
アクセスができたらホーム画面の「+」ボタンをクリックして、「作成開始」>「ファイルをアップロード」から始めましょう。
なお、Adobe Expressでは好みや目的に合わせてカンバスの大きさを設定できます。各種SNSの投稿にあった規格やハガキやポスターといった印刷に適したサイズ、そのほか自分で数値を設定することも可能です。
【手順3】メインの画像の背景を削除する
今回は写真の被写体のみを使用するので、画像がカンバス内に追加されたら「背景を削除」で切り抜きましょう。
もし、うまく切り抜けなかったときは、「画像」>「消しゴム」で切り抜き残しを消すことが可能です。消したい箇所に合わせて、消しゴムのサイズをツールバーで調整してください。
※「消しゴム」の利用は有償版へのアップグレードが必要です。
【手順4】画像や素材を追加する
メインとなる画像にイメージに合った写真や素材を重ねていきます。人物に重なるように花のモチーフを重ね、色やサイズを調整してください。
「メディア」>「写真」で検索窓に探したい画像のキーワードを入れて検索し、画像を追加しましょう。追加した画像も前回の手順同様に、重ねやすいよう、背景を削除しておきます。
もしくは、「追加」>「素材」>「デザイン素材」で好みの素材を追加してください。検索窓にイメージのキーワードを入れると、カンタンに探せるので便利です。
【手順5】素材の色や明るさを調整する
追加した素材を選択し、他の素材に合わせて調整します。今回ははかなげな雰囲気を出すため、「調整」で「彩度」を下げ、全体的に「ライト」「カラー」を暗めに仕上げています。
いくつか素材を重ねたら「不透明度」をクリックし、スライドバーを左に動かして調整しましょう。下に重ねた素材が透けて見え、奥行きやボリューム感が出ます。
【手順6】生成AIで素材を追加する
次に、生成AIで作った画像を追加してみましょう。「生成AI」>「画像を生成」で生成画像のサイズを指定して開始します。
生成したい内容を入力する際は、作りたい画像の情報を細かく入れてください。
フォトモンタージュは被写体を切り抜いて使うことが多いので、「背景削除」をしやすい「白バック」というワードを入れると生成後の切り抜きがスムーズです。
指示の文が入力できたら「コンテンツタイプ」を「写真」にして「生成」ボタンを押してください。
すると、画像が生成されます。生成された画像がイメージと違う場合は、「さらに生成」で何度も試せます。生成した画像は重ねやすくするため背景を削除し、メインの人物に重ねましょう。
【手順7】描画モードで素材にニュアンスを持たせる
続いては、白い背景の画像を効果的に演出できる「描画モード」の使い方をご紹介します。
描画モードを使うと、画像や素材に効果を加え、雰囲気のある仕上がりにできます。まずは効果を加えたい素材や画像を選択し、「不透明度」>「描画モード」>「スクリーン」を選んでください。
すると、このように下の画像が透け、重ねた画像に一体感が出ます。コントラストが強調され、幻想的な雰囲気が生まれます。
さらに【手順4】~【手順7】を参考にして、複数の画像や素材を重ねると、より複雑なフォトモンタージュが作れます。「調整」でレイヤーの下にある素材を暗くしたり、上に重ねた素材の「不透明度」を調整したりして、立体感や奥行きのある画像に仕上げましょう。
テキストを追加・編集する
テキストを追加したい場合は、「追加」>「テキストを追加」でテキストボックスを追加できます。入力したテキストを選択して、フォントやフォントサイズ、色などを編集してください。
なお、フォトモンタージュでは複数の画像や素材が重なるため、レイヤーの数も多くなりがちです。そうしたとき、上にレイヤーが重なっていると、下になっているレイヤーの編集が操作しづらい場合もあるでしょう。
そうした場合は、一度テキストのレイヤーを一番上にし、編集が完了してから適切なレイヤーの位置に戻すとよいでしょう。
【手順9】ダウンロードする
最後にダウンロードを行います。編集が完了したら、右上の「ダウンロード」ボタンをクリックし、ファイル形式を選択のうえ、ダウンロードを実行しましょう。
Adobe Expressでプロ並みのフォトモンタージュを作ろう
今回は、フォトモンタージュの基礎知識や具体的な作り方をご紹介しました。
フォトモンタージュとは、複数の写真を自由に組み合わせて、新しい世界観やイメージを生み出す写真表現の手法です。「なんだか難しそう・・・」と感じる方もいるかもしれませんが、Adobe Expressを使えば、直感的かつシンプルな操作で、プロのような仕上がりがカンタンに叶えられます。
SNSに投稿したくなるようなアート作品や、広告に使える魅力的なビジュアル、学校の課題、ファッションのイメージ作りまで、アイデア次第で幅広く活用できます。
ぜひあなたも、自分だけの特別な一枚をAdobe Expressで楽しんで作ってみてくださいね。