リール動画の静止画コラージュで、俳優の幅広い演技力を宣伝

動画

リール動画で注目を集め、仕事につなげよう

出来栄えの良いデモ用のリール動画で自分のスキルと経験を宣伝して仕事の案件の獲得につなげましょう。いくつかの手順に従って編集し、カットする方法を学びましょう。

リール動画とは?

リール動画は、シズルリール、デモ用のリール動画、アクティングリール、ショーリールとも呼ばれます。これらはすべて動画クリップの短い寄せ集めまたはモンタージュ動画で、俳優の一番光る演技を紹介するための動画です。この動画を見てキャスティングディレクター、映画監督、タレントエージェントなどは、新人俳優の演技能力を判断することができます。

印象を残すことが重要

経験のある俳優でも、この業界に入ったばかりの新人でも、魅力的なリール動画は仕事を得ることにつながるためとても重要です。

       

「リール動画は俳優にとって、初対面の人との握手のようなもので、良い第一印象を与えるチャンスになります。大勢の人に自分の演技の能力を披露することができます」と俳優のクエンティン・トムソンさんは言います。

 

リール動画の作成方法を学ぶ時、業界でよく知られている方法を掴んでおくと良いでしょう。例えば、リール動画のほとんどは約2分ぐらいで、どちらかと言えば短めです。また、別の仕事あるいは別の業界向けに、別途他のリール動画を作成しておいたほうが良いでしょう。例えば、シリアスでドラマチックな短編映画で役を得ようとする場合、そのリール動画は、コメディタッチのコマーシャルとは全く異なってきます。 

 

以下、リールについてさらに詳しい解説や、自分でリールを作る方法について紹介します。

磨きのかかったリール動画で自己PRする

映画のキャスティングのプロセスは長く、複雑です。何度も呼び出されオーディションを繰り返すかもしれません。演技のデモ用のリール動画は、キャスティングの選出の初期段階をスピードアップさせることができます。「私はキャスティングディレクターですが、演技ができる人はリール動画を見れば分かります。ただ演技ができるだけでなく、特定の作品で求められている演技ができる人は、リール動画でもそんな演技を見せることができます」とトムソンさんは説明します。

 

リール動画は、まだプロとしての経験が浅い新人でも、自らの演技を披露する役割を果たします。リール動画は動画編集ツールで簡単に作成することができ、完成品をオンラインですぐシェア、宣伝できるほか、俳優がエージェントやマネージャーを見つけるのにも役に立ちます。新人の俳優にとって、磨きのかかったデモ用のリール動画は自己PRし、特定の分野での演技力と才能を披露する良い手段となります。「リール動画を作れば、特定のタイプの役で自分は他の俳優より優れていることを、口頭で伝えるだけでなく、実際に見せて証明することができます」とトムソンさんは語ります。

ヒョウ柄の服を着た人のデモ用のリール動画動画の静止画

リール動画の内容

リール動画は、希望する役やその作品に合わせて作成すべきですが、すべてのリール動画に共通する基本的な要素があります。

名刺代わりの映像

動画の冒頭には自分の名前と、可能であれば顔の画像が入ったオープニングのビジュアルまたはグラフィックを作成します。オープニングで動画全体の文脈やトンマナが分かるようにしておくと、見ている人はこの後に続く動画の流れを掴むことができます。

動画クリップを選ぶ

最も出来栄えの良い演技の動画クリップを4つか5つ選びます。1つの動画クリップは30秒から60秒の長さにします。自分が出演している作品であれば、プロの制作による映画、テレビ番組、コマーシャルなど何でも、その動画クリップを使うことができます。また自分の演技の幅やスキルを説明するナレーションも加えましょう。全くの新人の方なら、学生時代に作成した作品など自作の動画クリップを使用します。

 

「私は自分自身が話している1分間の動画クリップを作りました。それには、面白い自分、ドラマチックな自分など演技者としての自分を最高に表現できるものにします。そういった内容の動画をリール動画にに盛り込むことが多いです。しかし、別の自分を見せたいのなら、テレビ番組の一部か自作の中から最も魅力的な30秒間の動画を使うと良いでしょう」とトムソンさんは語ります。 

帽子を被りカメラから顔をそむける人
オレンジ色の背景の前でオレンジ色のパーカーを引っ張るモデル
クリームを塗りながら笑顔を浮かべるモデル

作品とジャンルのタイトル

それぞれの動画クリップにローワーサードグラフィックを使用して、動画クリップとモノローグの文脈が視聴者にとって分かりやすくなるようにします。「タイトルなどは動画の最下部に入れるという選択肢もあります。大抵の場合、自分が出演したテレビ番組のタイトル、どのシーズンか、どのエピソードかを加えます」と語るのは俳優のナディヤ・サロモンさんです。リール動画を披露することで、自分の演技の経験に信頼性が生まれます。またエージェントは必要に応じて、参考になる自分の他の動画を要求してくるでしょう。そして、その動画クリップが学生時代に作成したもの、または自作プロジェクトだった場合、その動画のタイトルに少し詳細を加えることで、視聴者は内容を把握しやすくなります。

連絡先を記載

リール動画の最後には自分の名前と連絡先を入れましょう。自分のWebサイトとEメールアドレスのほか、エージェントやマネージャーがいる場合は、彼らのEメールアドレスと電話番号も忘れずに入れましょう。     

高く評価してもらえるリール動画を作成する方法

1. コンテンツを決めて撮影する

まだ動画のポートフォリオを作り上げている途中であれば、モノローグはリール動画を肉付けするのに最適な方法で、自分の才能やスキルを披露するのに役立ちます。自分をアピールできるような台本を、出演した映画やショー、舞台劇などさまざまなジャンルから探して使いましょう。自分の演技の幅を披露するには、さまざまなジャンルからの動画が必要です。台本を見つけたら、それをモノローグとして練習し、台本の内容も記憶しましょう。 

 

モノローグをうまく収録できたら、撮影場所を決め、機器を揃えましょう。静かで、あまり雑音の入らない場所を選んでください。「光の当たり具合と、音をよくとれる場所を選ぶことをお勧めします。プロ用のカメラを使う必要はありませんが、私自身はそのようなカメラを使うこともありました。でも、iPhoneであれば問題なく撮影できます」とサロモンさんは語ります。スマートフォンやプロ用のカメラ、自宅用撮影スタジオを使って撮影する場合は、三脚を使ってカメラを高い位置に設定し安定させる必要があります。

 

カメラから1メートルから1.2メートルほど離れて立ち、同じモノローグを数回録画します。モノローグを数回録画すれば、それらから出来栄えの良いものを選ぶことができます。撮影を終了したら、映像を見直し、照明、カメラ位置、音質などを調整する必要があれば、再度撮影しましょう。

2. 演技の映像をすべて集める

自撮り撮影が終了したら、他の動画クリップを見つけてリール動画に加えます。作品を作り終える度に、監督かキャスティング担当に自分の出演箇所の動画クリップを共有してもらい、リールに使えるようにしておくと良いでしょう。映画関係者による動画制作や編集のスケジュールは大変詰まっていますので、映像をもらうまでに時間がかかるかもしれません。演技の作品が完成する都度、必ず映像を依頼しましょう。演技の初心者であれば、過去に撮影したものなら何でも、例えばYouTube動画やコメディ短編、学生時代に制作した作品などを残らず集めましょう。サンプルは出来栄えの良い作品である必要はありません。自分の演技のスキルを知ってもらうものであれば、それで結構です。

       

デモ用のリール動画に入れるのは演技だけとは限りません。声の吹き替え、ラジオ出演、ポッドキャストなど、声を使った仕事のサンプル動画があれば、良質なオリジナルのオーディオを入手して、デモ用のリール動画に入れます。 

3. 動画クリップの順序を考える

リール動画はプロフェッショナルな出来栄えにする必要があります。Adobe Premiere Proのような編集ソフトを使って、すべての動画クリップをうまくまとめましょう。動画編集のアドバイスやチュートリアルに従って動画クリップをインポートし、思い通りの順序で動画クリップが表示されるよう整理します。動画クリップを適切な長さにトリミングし、トランジションを使って、サンプル動画が次から次へとスムーズに移動するようにしましょう。「私の場合、1つのシーンが長すぎないようコンパクトにして、リール動画に無駄が無いようにしました」とサロモンさんは言います。

 

簡潔で洗練された動画を作る「視聴者は動画の良い所だけ見たり、最初の10秒だけ見てあとは見なかったりします。見る人リール動画にしっかり引きつけるには、最初の10秒が肝心なのです」とトムソンさんは説明します。動画の流れのペースが重要です。映像をトリミングし、動画のタイムラインをスムーズにしましょう。

 

ローワーサードグラフィックに動画のタイトルを入れ、最後に自分の連絡先を入れてイントロとアウトロのシーケンスを作成します。イントロとアウトロの動画クリップは別のファイルに保存すれば、映像を追加したことによってリール動画を更新するときに、簡単にイントロとアウトロを入れることができます。

 

イントロとアウトロを入れる時は、オーディオを編集する時でもあります。動画の中では自分に焦点が当たるようにします。モノローグを撮影する時は、邪魔になるものが無いようにし、また大きな物音が後ろで聞こえないようにしてください。作業が完了したら、リールをエクスポートして保存します。

4. リール動画を投稿する

どんなに上手く仕上がったリール動画でも、それを見る人がいなければ意味がありません。俳優用のデモ用のリール動画は多くの場合、YouTubeやVimeo に投稿され、ポートフォリオ、Webサイト、履歴書、SNSのページにリンクされています。「私はEメールの署名の部分に入れます。またWebサイトや、私の情報が掲載されている場所には必ず入れます」とトムソンさんは言います。リール動画をオンラインでホスティングすると、キャスティングディレクターと簡単にシェアしたり、キャスティングディレクターのWebサイトにアップロードできます。 

 

リール動画をオンラインで投稿できるチャンスを逃さないようにしましょう。「自分が出た作品を宣伝する場合で、テレビ番組の新シーズンが始まる時など、私は自分のデモ用のリール動画を投稿して『この番組に出演しています』とひとこと添えます。」とサロモンさんは説明します。リール動画をInstagram、Twitter、TikTok、そのSNSでシェアしましょう。「人目がつく場所やメディアなど積極的に投稿することをお勧めします」とサロモンさんは付け加えます。        

「リール動画は俳優にとって、初めて会う人との握手、つまり第一印象です。世界中に自分がこの仕事で何ができるのかを披露することができます」 

覚えておきたい撮影のコツ

リール動画で本当の自分を見せる

新人俳優でもベテラン俳優でも、リール動画は自己PRし仕事を得るのに役に立ちます。魅力的なリール動画を作成するために、以下のことを念頭に入れましょう。

 

  • 簡潔にする「リール動画は短めに、そして色々な面の自分を見せられるよう、簡潔に収録しましょう」とトムソンさんは言います。リール動画の理想的な長さは2分間です。どの動画クリップを入れたらよいのか慎重に選びましょう。映画監督やキャスティングディレクターは忙しい人達です。彼らが時間を取っても見てもらえるようなリール動画にしましょう。
  • 最新のリール動画にする過去の演技をまとめたリール動画は常に最新の状態にしておきます。2年以上も前の動画は避けると良いでしょう。「新しい仕事をどんどん引き受けていくと、リール動画を更新することになり、その都度動画の品質もアップしていくのがわかります」とトムソンさんは語ります。
  • バラエティに富んだリール動画にするデモ用のリール動画では、テーマはひとつの分野に限定しないほうが良いでしょう。その代わり、俳優としての自分のすべてを披露できるような動画にします。「個人的な意見として、リール動画では、他人が自分に対して持つイメージに合わせるのではなく、自分の全体像を見せるのがベストだと思っています」とトムソンさんは説明します。スキルを磨いて、リール動画にチャレンジしましょう。
TikTokのようなアプリでさまざまな表情を見せるモデル(左の画像は笑顔、真ん中の画像は薄ら笑い、右側の画像はふくれっ面)
 
  • 宣伝を続ける忍耐強く自己PRし、挫折しないようにしましょう「自分のキャリアは自分で作り上げていくものです。コンテンツを作って、自分のInstagramリールに投稿しましょう。得意の分野がドラマなら、今では実に多くのことができます。ミームを作ってTikTok動画で拡散させることも可能です。何でもやってみることをお勧めします。キャリアの方向性に関して、自分でハンドルを握ることが大切です」とサロモンさんは言います。魅力的な作品を生み出すには練習が必要です。そして新たしい経験を積める機会をもつことです。SNSのコンテンツ、学生が制作した映画やコマーシャルなど、演技の能力を披露できるデモ用のリール動画を作りましょう。さらに、良いデモ用のリール動画は、俳優としての自分に自信を与えてくれます。

 

作品に編集を加えてデモ用のリール動画を作りつつ、俳優としてのキャリアが成功するよう演技を磨いていきましょう。       

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