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デザイン

スポットカラーとプロセスカラーの違いを学ぶ

カラー印刷を正しい方法でおこなうために、プロのグラフィックデザイナーからコツを習得しましょう。

Illustratorを知る

スポットカラーとプロセスカラーの違いを紹介

複雑な色の使い方

印刷の対象物が会社のロゴでもデジタルアートの作品の場合であっても、コンピューターのスクリーンに現れている色をそのまま印刷できるような適切な方法を選択することは重要です。印刷する際、スポットカラーにすべきかプロセスカラーにすべきか選ぶのは難しいかもしれません。しかし、これら印刷方法には印刷物の性質によって向き不向きがあります。

スポットカラーとは?

スポットカラーは、特別にミックスした色を使って作った単一のことで、通常はパントンマッチングシステム(PMS) の色を基本とします。パントンカラーは規格化されていて、それぞれの色に数字と名前が付いています。そのため、別々の場所で働くデザイナーやプリンターであっても、目的とする色を正確にしかも容易に識別することができるのです。スポットカラーは大胆で鮮やかですが、オフセット印刷に出した場合、印刷会社は多くの場合、この作業に対する追加料金を請求するでしょう。

オフセット印刷

デジタル印刷の技術が進歩してきたにもかかわらず、商業印刷の分野においてはオフセット印刷が、過去100年余りの間、定番の印刷技術となっています。オフセット印刷では、金属のプレートにインクを塗り、画像を紙に転写します。モノクロ印刷の場合、使用するプレートは1枚のみですが、色の数が増えるほど使用するプレートの数も増えます。プレートの数が多いほど、作業にかかる費用も増してきます。

プロセスカラーとは?

プロセスカラーでは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色を使い、何百万もの小さな点を印刷します。その点が重なり合い、色が ブレンドされ所定の全色を作り出していきます。この方法はCMYKプロセスと呼ばれ、使用するプレートの数を4枚に限定するので、作業コストを節約することができます。ただし、CMYKのインクを使って特定の色を出すには限界があります。

プロセスカラーはシアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、ブラック(黒)で構成されています

どちらの方法をとるのか?

「それぞれの印刷方法に利点があります」と イラストレーターでグラフィックデザインアーティストのジェームズ・ウェインバーグは語り、続いて、「写真の印刷または影や繊細な色合いの物を印刷するにはプロセスカラーが最適です。スポットカラーは、もっとグラフィック的なものに適しています。Tシャツに印刷するには、それぞれの色を個別に分ける必要があるので、スポットカラーを使うべきです。Tシャツの印刷はほとんどの場合、スクリーンプリントでおこないます」と付け加えました。

スクリーンプリント

スクリーンプリントでは、印刷したいデザインの表面にメッシュのスクリーンを被せ、その上にスクイージーを使ったカラーインクで表面をコーティングします。メッシュの目を通ってインクが、下の素材の表面に接していきますが、メッシュの目がステンシルで覆われた部分はインクが通りません。このようにスクリーン、ステンシル、インクを使ったプロセスを何回か繰り返すことで、印刷を完了させます。

「一般的に、スポットカラーならスクリーンプリント、プロセスカラーならオフセット印刷を使います」とWeinberg氏は推奨しています。

スポットカラーを使ってグラフィックのスクリーンプリントをつくる

スポットカラーとプロセスカラーを同時に使う方法とは

ほとんどの印刷作業では、スポットカラーまたはプロセスカラーのどちらかを使います。しかし、両方の方法を用いることが必要で、その方が効果的な場合もあります。例えば、Starbucksのグリーンや McDonaldの赤のように、企業ロゴの多くは特別なパントンカラーを使っています。こうした色はCMYKカラーで出すことはできません。「この場合、4色のプロセスカラーとパントンスポットカラーを使います」とWeinberg氏は説明します。

アーティストにとっても、両方の方法を使うのが効果的になるでしょう。例えば、スポットカラーによっては色を重ねてブレンドすることができ、その方法を用いて新しい色を作ることができます。「マゼンタやシアンといったスポットカラーは、重ねるととても面白い効果を出し、見事な紫が出来上がります。私はイラストでよくこの色を使います」とWeinberg氏は語ります。

印刷しやすい画像を作る方法

画像をデザインする際にいくつかのステップを踏んでおくと、印刷時のストレスを少なくすることができます。

「私の場合、画像を印刷するときは3色に絞ります。そのようにすると、少しですが色を構成することができます。暖色と寒色の関係が非常に大切です。それぞれの色のコントラストも重要です」とWeinberg氏は言います。使う色の数を慎重に選ぶと、印刷コストを抑え、作業をうまく管理することができます。

また、スワッチ、つまり作品の中で使いたい色色を混ぜたサンプルを作っておくのも良いでしょう。Adobe Photoshopのようなプログラムを使えば、スワッチを作成してCMYKカラーを使った時の外観をプレビューとして見ることができ、それを調整して画面のものと同様に良い画像を印刷することができます。


提供元

James Weinberg


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