映画の効果音の作り方

映画制作者やサウンドデザイナーが、どのように効果音を使って雰囲気を盛り上げ、映画の中で没入感のある音を創り出しているか探ってみましょう。    

動画とオーディオ編集タイムラインのスクリーンキャプチャ

リアルな感じを出す効果音

バスター・キートンやチャーリー・チャップリンのようなサイレントムービーの巨匠をお手本とする場合を除き、映画には編集の段階で 効果音 を入れる作業があります。サウンドデザインがうまく作られている場合、映画の観客はそれに気がつきません。そのため効果音のことが忘れられがちです。しかし、映画に効果音がないと観客は必ずそれに気がつきます。注意深く構成された環境音や背景音、その他の効果音(SFXと呼ばれることがあります)が、それぞれのシーンを自然な感じでリアルさを与えます。

       

プロのサウンドデザイナーやサウンドエディターは、完璧な環境音を作り出すため、効果音のミキシングやレイヤー作りに力を入れています。映画監督でありシネマトグラファーでもあるスティーブン・バーンスタインさんからのコツやアドバイスを基にサウンドをつくれば、将来成功するかもしれません。 

 

オーディオトラックを切り離してコントロールする

映画のサウンドについて覚えておきたいのは、劇場で映画を見ている時に聞こえてくる音は、ほとんど撮影時には作られていないということです。映画制作者は、撮影現場のセットでフィールドレコーディングをし、それを基に編集時に再録音します。本来の音は別にオーディオ用として録音され、別のオーディオトラックに一つずつ重ねていきます。

       

「音を映像から独立させてコントロールするというのが基本です。撮影日に音を録音することもありますが、映像とは別に録音をします。そして編集で手を加えて、音をよりリアルなものにするのです」とバーンスタインさんは説明します。 

独自のサウンドチャネルを動画クリップに適用して音を個別にコントロールする

セリフから始める

3人の登場人物がレストランで話しているシーンを撮影するなら、後方にいる俳優達に声を出さずに口を動かして話しているふりをする指示を出すようにと、バーンスタインさんは助言します。こうすれば、全く静かなセットの中で登場人物のセリフを明瞭に録音できます。編集時に、1人の俳優のセリフがうまく録音されていなかったら、スタジオで録音してそれを編集で組み込むことができます。このプロセスをアフターレコーディング(アフレコ)またはADRと言います。

 

背景の音を捉える

レストランの背景の音、例えば後方で話している人達の声、皿、ナイフ、フォークの音などは、別に録音しなければなりません。これらの音はアトモストラックと呼ばれ、雰囲気を伝える日常的な音を意味します。

       

空っぽの状態を録音する

撮影する部屋に人が来る前、または全員が出て行った後に、ルームトーンの環境音を1分ほど録音します。これは部屋が完全に空っぽの状態の時の音です。こうすることで照明器具の音や、その部屋だけにある現実の音を録音することができます。これはサウンドミックスの時にとても役に立ちます。

       

この方法は、そのシーンのそれぞれ異なる音を別々のサウンドトラックに収めるために用います。「前景や背景など、それぞれの音量の関係をコントロールするのです。前景の音量を大きくしたら、背景の音量はそのまま小さくしておきます。例えば、屋外の音で、車の走る音を入れたいとします。その音をよりリアルなものにするために、車の音は別に録音し、それを別のチャンネルに入れて音量をコントロールするのです」とバーンスタインさんは説明します。    

動画:スティーブン・バーンスタイン

効果音クリエーターとしての能力を高める 

撮影が終了したら、編集の始まりです。ここで映画のアクションとマッチするように、またはそれをより効果的に見せるために効果音を加えます。効果音には、椅子が床を擦るときの、ありふれた音から、『スター・ウォーズ』スタイルの宇宙船が飛び立つ時の轟音まで幅広い種類のサウンドが含まれます。Adobe Creative Cloud のサブスクリプション契約者は、Adobe Premiere Pro または Auditionで使える、1万種類以上の効果音が揃っているロイヤリティフリーライブラリを利用できます。または、フォーリーワークというプロセスで、独自のサウンドを作ることもできます。

       

効果音をどのように作るのかを説明するために、バーンスタインさんは2人の登場人物が砂利道を歩きながら話しているシーンを例にとっています。

       

「撮影セットでは俳優の靴の下にフォームを付けて、足音が全く聞こえないようにします。足音というのは、世界で1番自然な音ですが、私達はそれを別のトラックに録音します。効果音作成の段階では、靴を一足手に取り、砂利を用意して靴を砂利の上で俳優の足の動きに合わせながら動かすのです。このサウンドは、俳優の話す声とは別のサウンドトラックなので、映画を見ている人は、俳優が話している声を明瞭に聞き取ることができます」とバーンスタインさんは説明します。 

 

音楽を聴く

音楽が背景に少しでも聞こえていると、それが、映画の中で登場人物が聞いている音楽(物語世界の音楽と言われます)でも、観客にしか聞こえない音楽(非物語世界の音楽)でも、そのシーンがとても生き生きとしてきます。人気のある音楽のライセンスを取得して映画で使うのは、コストも時間もかかりますが、 Premiere Pro の編集プログラムには、アプリから直接検索、ダウンロード、ライセンス取得ができる安価なストックミュージックのライブラリが用意されています。

映画のセットで音を捉えているサウンドデザイナー

効果音のミックスとレイヤー

サウンドデザインとは、映画に使われるすべての音を合体させるプロセスのことです。その中にはセットで録音したセリフ、アトモストラックやルームトーンのような環境音、その他どこかで見つけた音や自分で創作した効果音などがあります。これらの音をすべて合わせると、オーディオファイルとしてはかなりの分量になります。

       

「30、40、50 といった数のトラックになるかもしれません。それが全部異なるサウンド、異なるボリュームコントロールなのです。「なぜ効果音を後処理で編集するか理解するには、それぞれの音を個別にコントロールする必要があるという考えを理解する必要があります」とバーンスタインさんは言います。

       

サウンドデザインで覚えておきたい重要な事は、音を別の音の上にレイヤーとして重ね、ブレンドして完成させるという点です。この時点でそれぞれのトラックの音質は、すべての音が合体した時の全体的な効果に比べると、さほど重要ではありません。「映画を通して観客に多くのものを見せ、そこから観客は自分にとって重要なものを意識し、現実の世界での自分の体験を重ねるようになります。そうすることで、その映画がより迫力のあるものになるのです」とバーンスタインさんは説明します。

       

作品の規模が大きくても小さくても、適切にデザインされ編集されたサウンドミックスがあれば、ハリウッド映画のプロが作成した映画のような雰囲気を出すことができるでしょう。 Premiere Proで、作品を感動的なサウンドの傑作にする方法をさらに学びましょう。

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