3DテクスチャリングとAdobe Substance 3D

3Dキャラクターが、灰色で平板、かつ単調ということはほとんどありません。むしろ、服の擦れ具合や頬の色などにこそストーリーが込められているものです。芸術的に作られた3Dキャラクターは、美しい場合も、怪物のような場合もありますが、何よりも個性的で、一目でその個性を感じ取ることができます。そのキャラクターのテクスチャ、つまりモデルを覆う表現力豊かでディテールに富んだサーフェスレイヤーは、その味わいを伝える重要な役割を担っています。

 

同様に、3Dで描かれた森の風景も、平板な灰色の木が並んでいるだけでは森とは言えません。雰囲気のある森は、例えば木の皮の色や模様、地面に並ぶ松葉などによって呼び覚まされる感覚によって生み出されます。森は、木がまばらで明るい場合もあれば、密集していて暗い場合もあります。ここでもシーンのテクスチャが重要です。テクスチャは、サーフェスの色や模様だけでなく、サーフェスの反射率などの情報によっても表現されます。

 

3Dマテリアルの作成と、そのマテリアルをモデルやシーンに適用するためのテクスチャリングのプロセスは、3Dワークフロー全体の中でも重要な要素です。ここでは、そのプロセスについてさらに詳しく説明します。

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3Dテクスチャリングとは?

すべての3Dオブジェクトは、様々なテクスチャレイヤーで覆われています。テクスチャには、単純な繰り返しパターンから、特定の3Dモデル用に作成された独自の画像まで様々なものがあり、単純なシェイプやシーンを、フォトリアルで魅力的なキャラクターや環境に演出できる力を備えています。

 

3Dマテリアルには、無地もあれば、草や砂利、石などのマテリアルに似せた精巧なものもあります。3Dマテリアルのデータには、通常、カラーやカラーの組み合わせ、反射率、透明度(まったくの不透明を含め)などの情報が含まれています。

 

3Dテクスチャリングとは、3Dオブジェクトにテクスチャを追加するプロセスです。このプロセスには、テクスチャの作成(写真の利用またはゼロからの作成)、3Dオブジェクトへのテクスチャの適用、シーンの照明、最終的なディテールの適用などが含まれます。

 

テクスチャを作成するには、大きく分けて3つの方法があります。手作業のペインティングでテクスチャを作成する方法、現実世界のマテリアルをスキャンしてテクスチャにする方法、コンピューターのアルゴリズムにテクスチャを作成させる方法(手続き型生成と呼ばれるプロセス)の3つです。多くの場合、アーティストはこれら3つの方法を組み合わせて使用します。

 

手作業によるテクスチャの作成は、制作を思いどおりコントロールできる、自由度の高い方法です。テクスチャに自分のデザインを配置したり、傷や磨耗などの要素を加えたりすることができます。この方法は、スタイルを定義するのに適しています。スタイルを使用することで、例えば、アニメゲームのテクスチャを独自のタッチで作成できます。例えば、Adobe Substance 3D Painterなどのアプリケーションは、独自の3Dオブジェクトのすべてのテクスチャを完全にコントロールするのに最適です。

 

しかし、このような方法でペイントしてテクスチャを作成するには多くの作業が必要です。特に非常にディテールの多いサーフェスを作成する場合には、リアルなテクスチャがすぐに必要であっても膨大な作業量が必要になります。そのような場合に威力を発揮するのが、手続き型生成です。手続き型テクスチャリング技術では、時間のかかる部分や難しい部分をスマートなアルゴリズムが代行します。例えば、テクスチャリングアプリケーションは、ジオメトリの形状や方向にもとづいて、隠れた隙間に小さな石を散らしたり、露出したふちに小さな傷や色落ちを加えたりすることができます。このようなスマートテクニックはすべてのSubstance 3Dアプリケーションに搭載されていますが、中でもSubstance 3D Designerは初心者がゼロからテクニックを習得できるように、豊富なコントロール機能を備えています。

 

手続き型のテクニックであっても、現実世界の物体を再現する能力には限界があります。この問題に対応するのが、サーフェスを「スキャン」してその画像を記録する方法です。スマートフォンで撮れるような簡単な写真でも構いませんし、ハイテクなサーフェス測定器を使ってもよいでしょう。このスキャン画像をもとに、テクスチャリングプロジェクト用の完全なバーチャルマテリアルを作成できます。この分野では、Substance 3D Samplerが非常に便利で、わずかな手順で写真をデジタルマテリアルに変換できます。

 

テクスチャには大きく分けて、タイリングテクスチャとユニークテクスチャの2種類があります。ユニークテクスチャは、特定のモデルやサーフェスのために作成されるもので、基本的には他の場所では使用できない「専用」のテクスチャです。これに対して、タイリングテクスチャは、任意の平面を覆う目的で作成されます。このようなマテリアルの端は、必要に応じて、わずかな作業で隠すことができます。これにより、3Dアーティストはテクスチャを「タイル化」して、比較的小さなテクスチャで非常に大きなサーフェスを覆うことができます。

Adobe Substance 3Dでテクスチャを作成する方法

ドライウォールにペンキを塗ったり、壁紙を貼ったりしてインテリアデザインを施工するのと同様、3Dオブジェクトの制作では、基礎となる部分にディテールを加えていく必要があります。Substance 3Dは、用途の異なる3種類のテクスチャ作成用デスクトップアプリで構成されるスイートです。

Substance 3D Sampler:写真をテクスチャに変換

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フォトリアルな3Dテクスチャを作成する最良の方法のひとつは、実在する物体の写真を使い、その写真をSubstance 3D Samplerに読み込むことです。Samplerは、アドビのAI技術であるAdobe Senseiを利用して写真を変換し、すぐに使える3Dマテリアルを作成します。このマテリアルは、必要に応じてテクスチャに簡単に適用できます。

 

「画像をマテリアルに変換」オプションでは、Samplerがサーフェスのテクスチャ画像を精査して、マテリアルの凹凸やシワ、滑らかさ、反射などを判定します。AIが、このサーフェスの外観画像を作成し、より大きなサーフェス領域に適用できるように補間します。

 

ユーザーは、Adobe PhotoshopやPhotoshop Lightroomから自分の写真を取り込んで、3Dテクスチャに変換することもできます。Lightroomで編集、加工した写真や、Adobe Stockで入手した写真も、Samplerに簡単に取り込んで3Dマテリアルに変換し、そのまま利用できます。このようにして、本物の草の写真が3Dシーンの草のサーフェスになったり、実在するトカゲの皮膚の写真が3D多角形のトカゲのサーフェスになったりするのです。

 

このようにして作成されたマテリアルは、そのまま使用するだけでなく、必要に応じて変更することもできます。例えば、布地のマテリアルのカラーを変更したり、舗装された歩道にひび割れや小石などのディテールを加えたりすることができます。

Substance 3D Designer:テクスチャをゼロから作成

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Designerには、3Dアーティスト、グラフィックデザイナー、スカルプターが、3Dマテリアルをゼロから作成するために必要なものがすべて揃っています。このアプリを使用する場合、写真にもとづいてデータを推定するのではなく、自分でゼロからデータを作成することになります。これにより、複雑なプロセスをシンプルなタスクに分割したノードベースの環境で、タイルのテクスチャ、パターン、マテリアルを完全にコントロールした状態でデザインすることができます。

Substance 3D Painter:3Dオブジェクトにテクスチャを適用

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Painterは、キャラクターをはじめとするモデルや、環境全体などの3Dアセットにマテリアルを適用することができます。Photoshopの経験があるユーザーにはおなじみのレイヤーシステムにより、テクスチャを使ってペイントしたり、テクスチャを組み合わせたり、カスタマイズしたりすることができます。Painterにはスマートマテリアルやスマートマスクなどの機能があり、例えば浜辺に捨てられた物体を作成する場合に、これらの機能を使って、縁の摩耗や特定の方向からの風による風化などの特徴を手早く「上塗り」することができます。 

 

Painterは、スマートで効率的なワークフローを念頭において設計されています。このことは、Painterが多様なクリエイティブ業界でテクスチャリングツールとして選ばれている理由のひとつです。

豊富なリソース

3Dワークフローでは、自分でテクスチャを作成することが絶対に必要というわけではありません。数多くのオンラインリソースから、3Dプロジェクト対応の既製のマテリアルを入手することができます。このようなリソースのひとつに、Adobe 3Dアセットライブラリがあります。このライブラリでは数多くの3Dマテリアルが提供されており、これらはそのまま使用したり、個性的なテイストに変更したりすることができます。

 

一方、独自のテクスチャを作成する場合は、Substance 3Dツールセットに必要なものがすべて用意されているので、お好みの方法で作成できます。

作品に命を吹き込む

3Dマテリアルを作成するか、購入するかにかかわらず、それらを3Dオブジェクトに適用したり、グラフィック環境で使用したりする際には、活き活きとしたリアルな印象を与える必要があります。Substanceツールセットで作成したマテリアルは、物理ベースレンダリング(PBR)の原理を採用しているので、あらゆる状況で光を適切に反射してリアルに表示されます。

 

アーティストはPainterを使用することで、ワークフローを簡略化、効率化できるので、クリエイティブな作業にさらに多くの時間を費やせます。さらにPainterは、Substance 3D StagerやPhotoshopへのワンクリック書き出し機能のほか、カスタム書き出しテンプレートの作成にも対応するなど、作業効率を高めるための使い勝手の良い機能を備えています。

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